今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、佐賀県を代表する銘菓「丸ぼうろ」。こだわりの製法でつくられる素朴な味わいは、子どもから大人まで幅広い人たちに愛されています。「丸ぼうろ」の生産数日本一を誇る、本村製菓株式会社の代表取締役社長の本村一真氏に取材陣が伺いました。
九州のおやつの定番!しっとりソフトな食感の「森永ミルクキャラメル丸ぼうろ」と「佐賀ぼうろ」
2024/04/17
本村製菓株式会社 代表取締役社長の本村一真氏
―会社の沿革をお聞かせください。
本村 1953年、祖父が本村製菓所として創業しました。当初は丸ぼうろの製造ではなく、芋けんぴなどの砂糖をつかったお菓子を小売りしていました。1967年頃、工場の移転に伴い、佐賀県のお菓子特化型の工場を建設することになり、そこから現在に至るまで丸ぼうろ専門の菓子メーカーとして製造を続けています。私は3代目なのですが、祖父の代で小売りから流通卸にシフトしました。今後はスーパーマーケットが主流になるだろうと考えたようで、祖父の先見の明により成長することができました。
―御社の特徴を教えてください。
本村 工場をオートメーション化しているのが特徴で、1日に約20万個の丸ぼうろを製造しています。ひとつずつ手で型抜きすると、1日に1,000~2,000個くらいが限界ですが、生地を鉄板に直接落としてラインで焼くことで大量生産を可能にしました。おかげさまで、丸ぼうろの生産数は日本一となっています。
―「丸ぼうろ」が日本に広まったきっかけは?
本村 約400年前、ポルトガルから長崎に伝わった南蛮菓子がはじまりです。長崎ではカステラとして広まり、丸ぼうろは佐賀の職人が南蛮菓子を食べやすく改良し、地元に持ち帰ったのが由来です。小麦粉・砂糖・卵が主原料のシンプルな焼き菓子で、しっとりソフトな食感と甘みが特徴のスイーツです。実はカステラと原料は同じで、製法によって仕上がりが異なります。
九州では定番の丸ぼうろは、カステラと同じ原料でつくられている。
―卵ボーロとの違いは?
本村 卵ボーロは小さくてコロンとしたボール状です。水分を飛ばして焼くので、カリッとした硬い食感で、大きさも硬さも丸ぼうろとはまったく違います。どちらも原料はほとんど同じですが、丸ぼうろは大きくて、口当たりもソフトです。丸ぼうろは九州では一般的なのですが、“ぼうろ”と聞くと卵ボーロをイメージされる方が多いようで、九州以外の地域ではあまり認知されていません。佐賀の丸ぼうろは、しっとりしていて食べやすいので、幅広い方におすすめのお菓子です。
しっとりとやわらかい丸ぼうろは、卵ボーロとはまったく違う食感。
―製造工程で、とくに工夫されていることは?
本村 弊社の丸ぼうろはすべて高温で一気に生地を膨らませ、3~5分くらいで焼き上げています。気泡を少し大きめにすることで、よりソフトな食感に仕上がります。通常は10~15分くらいかけて焼くお店が多いのですが、弊社では短い時間で焼き上げて、しっとりやわらかい丸ぼうろを製造しています。硬い丸ぼうろは食べたときにポロっと欠片がこぼれることがありますが、弊社の丸ぼうろは食べこぼしが出ないほどかなりソフトに仕上げています。
また添加物等は入れず、お子さまでも安心して食べられる商品づくりにこだわっております。原料がとてもシンプルなので、素材の風味をしっかり感じられます。九州では丸ぼうろは子どものおやつの定番で、ほとんどの家庭で常備菓子として親しまれています。
素朴でやさしい味わいは、子どものおやつにもぴったり。
―森永製菓とコラボした「キャラメル丸ぼうろ」誕生のきっかけは?
本村 森永製菓の創業者、森永太一郎(もりながたいちろう)さんのご出身が佐賀県であることがきっかけです。森永製菓の社員の方と話す機会があり、「森永太一郎さんも、子どもの頃は丸ぼうろを食べていたのでは」と盛り上がりぜひコラボしましょうという流れで実現しました。
キャラメル風味の丸ぼうろは、子どもから大人まで幅広い世代に人気だ。
―苦労されたところは?
本村 丸ぼうろにキャラメルソースを練り込んで焼き上げるのですが、配合や焼き加減を調整し何度も試作しました。どれだけキャラメル感を残せるのか、完成まで試行錯誤を重ね、お互いが納得できる仕上がりになるまでが一番大変でした。
苦労の甲斐あって、一口食べるとキャラメルの香りがふわっと鼻に抜ける味わいが実現できました。「キャラメル丸ぼうろ」には、森永キャラメルソースを13%配合しているので、食べた後もしっかりキャラメル感が残ります。おかげさまで評判も上々で、お問い合わせやご注文もたくさん頂戴しております。キャラメル味は、特にお子さまに好まれているようです。
―定番商品「佐賀ぼうろ」の特徴も教えてください。
本村 「佐賀ぼうろ」は、九州産の小麦粉と卵、佐賀産のもち米飴で作られています。もち米飴には砂糖よりも上品な甘みがあるので、通常の丸ぼうろより、食べたあと口の中に甘みが残ります。どなたでも召し上がっていただけるよう、飽きの来ないプレーンな味わいです。賞味期限が120日と長めですので、九州ではお供え物としても重宝されています。
「佐賀ぼうろ」は、地元九州の厳選素材からつくられている。
―おすすめの食べ方は?
本村 オーブントースターで2~3分ほど焼いて、バターを塗って召し上がっていただくのがおすすめです。少し焼くと、中はふわふわ、まわりはサクサクになります。工場見学を実施していたとき、焼き立ての丸ぼうろを食べていただくと「とってもおいしい」と大変好評でした。ただ工場で製造しているので、出荷する頃には少し落ち着いて、しっとりした仕上がりになります。ご家庭で焼き立てのおいしさを味わいたいときは、ぜひオーブントースターで焼いてみてください。九州の子どもたちは、菓子パン代わりに朝ごはんとして食べることもあります。
ほかにも、電子レンジで10秒くらい加熱すると、ラスクのようにカリカリとした食感になります。丸ぼうろの水分が飛んで、また違った味わいになりますので試してみてください。
バターの風味が加わり、絶妙な味わいに。至福のおやつ時間になりそう。
―ほかにも人気商品があるとか。
本村 チロルチョコとコラボした商品もご好評をいただいております。チロルチョコの製造工場が田川市(福岡県)にあり、同じ九州同士でコラボしましょうというのが発端です。チョコレートを丸ぼうろに練り込むのは難しいので、チロルチョコの中身のコーヒーヌガーに着目しました。「キャラメル丸ぼうろ」は比較的若い世代に好まれますが、「チロルチョココーヒーヌガー」の丸ぼうろはビター系なので、大人向けの味わいに仕上がっています。
丸ぼうろをベースに、次々とコラボ商品が生まれている。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
本村 佐賀の丸ぼうろを全国の方に知っていただけるよう、さまざまな取り組みを進めていきます。そのためには社員一丸となり団結力を高めること。また機械や製造方法も工夫しながら、より効率良く商品を作れるような仕組みづくりを行っていきたいと考えています。お菓子を食べているときは、誰もが自然と笑顔になります。その笑顔を絶やさないような商品を開発・製造することで、地元の佐賀を盛り上げていきたいと思います。
実は長年の構想として、丸ぼうろのテーマパークの建設があります。本社の目の前に公園があるのですが、例えばそこに丸ぼうろの遊具を置いて、カフェも併設する。子ども達が遊んでいる間、親御さんがゆっくり休めるような憩いの場です。工場で製造体験もできるようにすれば、丸ぼうろの魅力がより伝わるのではと考えています。
まだ実現できるか分かりませんが、子ども達にモノづくりの面白さを伝えられたら、これほどうれしいことはありません。今後も佐賀の丸ぼうろを広めるべく、挑戦を続けていきたいと思います。
―貴重なお話をありがとうございました!
「森永ミルクキャラメル丸ぼうろ 【1袋8個入】」
価格:¥324(税込)
店名:本村製菓 BASEネットショップ
電話:0952-98-3659(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sagabolo.thebase.in/items/78158011
オンラインショップ:https://sagabolo.thebase.in/
「佐賀ぼうろ 【1袋8個入】」
価格:¥324(税込)
店名:本村製菓 BASEネットショップ
電話:0952-98-3659(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sagabolo.thebase.in/items/78158410
オンラインショップ:https://sagabolo.thebase.in/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
本村一真(本村製菓株式会社 代表取締役社長)
1980年佐賀県生まれ。大学卒業後、本村製菓株式会社へ入社。製造部で5年間程、丸ぼうろの製造に従事したのち、営業部に異動して流通菓子の仕組みを学ぶ。会社全体のマネジメント業務を担う統括部長を経て、2020年代表取締役社長に就任。
<文・撮影/香川けいこ MC/石井みなみ 画像協力/本村製菓>