今回、アッキーこと坂口明子編集長が推したのは、大阪で半世紀以上にわたって不動の人気を誇るラーメン店「古潭」のお土産用ラーメン。まろやかで深みのあるスープに歯応えのある麺が絡む安定感のある味で、定期的にお取り寄せする常連客もいるそう。大阪府下で約20店舗の「古潭」を展開する株式会社吉光代表取締役、山本宴子氏にこの商品の魅力を取材スタッフが伺いました。
創業55年、大阪で親しまれるラーメン店の味を家庭でも
2024/04/19
創業当時から変わらぬ味を守り続けてきた。
―創業して55年と伺いましたが、創業の経緯をお聞かせいただけますか。
山本 創業は7年前に亡くなった私の父(山本善彦)ですが、多くを語らない人だったので、継承にあたり会社の歴史を聞き出すのに大変苦労しました。もともとは繊維業に携わっておりましたが、これから先は飲食業の方が魅力があると、新しい業界へ転身しました。大阪地下サービスの社員となり、様々な業種の営業責任者として手腕をふるっていた頃、アベノ地下センターの開業を迎えます。しかし、たった8坪の小さな区画だけは借り手がつかず、大阪地下街も困っていたそうです。そんな時に父へ「この小さな場所で何かできないか」と大阪地下街から声がかかったそうです。父は、この小さな場所でできるのはラーメン屋しかないと、当時東京で流行っていた札幌ラーメンに目をつけ、手探りながら出店に向けて奔走を始めました。開業まで時間がなく、ラーメン経営のノウハウもない中、夢と情熱をもって、1968年「札幌らーめん古潭」をアベ地下にオープンさせました。毎日1,000人ものお客様にご来店いただき、当時厨房にいた社員が麺の湯切りのしすぎで腱鞘炎になるほどだったそうです。この店は今でも昔の面影を残したままにしており、「古潭 アベ地下店」として多くのお客様にお越しいただいています。
「古潭 アベ地下店」は今も多くの顧客で賑わっている。
―どんなお父様でしたか。
山本 様々なことに興味を持つクリエイティブなアイディアマンでした。札幌ラーメンを調べる中で、北海道のアイヌ語で、古潭は「大勢の人が集まる場所」を表す言葉だと知り、店名にすることに決めました。1号店のアベ地下店は、北海道の山小屋をイメージして作ったもので、熊の置物やアイヌの彫り物がおかれています。店舗が増えていく中で店舗内装の様々なアイデアが浮かんできたのか、屋根の上に沖縄のシーサーが乗っている店舗や壁に貝殻を埋め込んである店舗など、1つ1つ違った店舗の雰囲気がありますので、是非探して楽しんでみてください。
私は、人に聞かれたときに説明に困るので、「なんで沖縄のシーサーがのってるの?南と北でおかしいやん」と言ったのですが、父は「ええねん。いいと思ったもんは、なんでも取り入れたらええ」って(笑)。そういう感性の持ち主でした。どれ一つとして同じ店舗ではない、1つ1つの店舗づくりを楽しんでいたのだと思います。
―創業者ならではの自由な発想ですね(笑)。会社を継がれたのはいつですか。
山本 短大卒業後、社会人研修や自己啓発をすすめる企業に就職して事務を担当していたのですが、結婚を機に当社に2003年に入社しました。勤務していた会社では、人材育成やポジティブ思考の大切さを学びましたが、何よりも社長としての在り方を勉強できました。もともと次女なので、会社を継ぐつもりはなかったのですが、父が「わしの代で終わらせてもいいわ」という言葉を聞いて、勤めてくださっている社員さんや、「古潭」を愛して通ってくださっているお客様の事を思うと、私が継いで店を守らなければと思ったんです。だから、社員さんが幸せになれる会社、お客様にとって素敵な思い出のお店になれるように努力しています。
―ラーメン店は競争が激しいですが、激戦を生き抜いてこられたのはなぜだとお思いですか。
山本 「古潭」は現在大阪府下に約20店舗ありますが、すべてが直営店です。フランチャイズをしない理由は、味も人も管理が難しいと思うからです。味に対してもこだわりたい、スタッフに対しても一人一人を家族のように大切にしたいから、直営にこだわっています。一つ一つの店を大切に守っていくことを目指しています。
「古潭ラーメン」のほか、ぎょうざ、炒飯も名物。
―大阪で長く親しまれてきた味なのですね。
山本 最近、人気なのは個性的で特徴のあるラーメンですが、それに対して「古潭」のラーメンは、よく「普通やね」と言われます(笑)。「1度食べたらしばらくいらん」というラーメンではなく日常生活に溶け込むように、「毎日食べても飽きない」を目指している当店にとっては誉め言葉だと思っています。「ここのラーメンを食べるとなんか元気になんねん」と言って1日に何回も食べにこられるお客様がいらっしゃるのは、コラーゲンたっぷりのスープの効能だと思っています。「普通だけど真似できない」が55年続いた理由かもしれません。
―味は以前と変わっていないのでしょうか。
山本 時代とともに食材の多少の変化は致し方のないところですが、肝になる部分は変えないように努力しています。豚骨、鶏ガラと野菜に、マル秘の材料を使用しており、これが独特の深みのあるコラーゲンスープを生み出しています。
また、ラーメンのスープは微妙な変化で味が変わります。当店では常に全店で均一の味になるように気を遣っています。濃度計というスープの数値を図る機器もあるのですが、数値では表せられないコクや味わいがあるので実際に舌で確かめなくてはいけません。私もほぼ毎日ラーメンを食べ、スープの味を確かめています。
「古潭」の麺は中太のストレート麺。食べ応えがありスープに絶妙に絡む。
―食べ応えのある麺ですね。
山本 「古潭」の麺は中太の多加水麺で、私も大好きです。歯応えのあるこの麺がコクのあるスープに絡むのが当店のラーメンのおいしさの秘密。これにチャーシューや野菜などをトッピングしたシンプルさが特徴です。定番のナルトやシナチクが入ってないのはなぜか、これも父に聞いたことがあります。答えは「ワシが好きちゃうねん」でした(笑)。
―常連のお客様が多いと聞きます。
山本 そうですね。「この味が好きなんや」と言っていただくことが多いのはうれしいですね。これほど褒めていただけるラーメン店はほかにはないと自負しています!
私は入社して約20年になりますが、「50年通ってんねん」と私より「古潭」に詳しいお客様がいらっしゃって、厳しいご意見も含めていろいろ教えてくださいます。ですから、私はお客様が私の師匠だと思っています。
「お土産ラーメン」は4食~、しょうゆ・塩の組み合わせでも購入できる。
―今回紹介くださる「お土産ラーメン」はいつからある商品ですか。
山本 創業当時からやっていたようで、パッケージは色々と変わってはおりますが、店舗でお出ししているものと全く同じ製法で作られていますので、ご自宅で「古潭らーめん」をお楽しみいただけます。(チャーシューは別売り・野菜はご用意ください)店舗での持ち帰りではお客様がご家族へのお土産になさったり、オンラインで注文なさる方はお知り合いの方への贈り物にしたりしているようです。また、大阪から地方に転勤になった方から「古潭のラーメンが食べたい」と定期的に注文が来たりしています。
濃縮スープを鍋に入れて溶かし、同時に麺をゆでて作る。
濃縮スープはコラーゲンたっぷりなのでお肌つやつや効果も期待できる。
―「しょうゆ味」と「しお味」の2タイプですね。
山本 「しょうゆ味」と「しお味」はコラーゲンスープと合うよう、厳選した食材を使用しています。「みそ味」のご要望も多いのですが、みそは味が変化しやすいため、なかなか商品化するのが難しくなっています。どちらも生麺、濃縮スープ、調味油、たれ、すりごま、こしょうがついています。
「お土産ラーメン」はシンプルなので、自分好みにいろいろアレンジしてみてください。
―おすすめの食べ方はありますか。
山本 私がいつも家で食べているのは、せん切りしたたっぷりのキャベツともやしをフランパンでさっと炒めてトッピングして食べる方法です。野菜がたっぷり摂れて栄養バランスがいいのでおすすめですね。野菜はゆでてもいいと思います。最後にはスープにご飯を入れて、コラーゲンスープを最後まで飲み干しています!
「古潭お土産ラーメン」はせん切りキャベツ、もやしを炒めてトッピングすると、
店舗とはまた違った家庭ならではのおいしさが味わえる。
―今後の御社の目標などありましたらご紹介ください。
山本 数年前に本部をリニューアルして1階に「古潭 中津本店」を作りました。ここでは新商品の反響を見るなどしてアンテナショップの役割を持たせています。また、この店ではバリアフリーで車椅子も通れるよう通路を広くしたり、お子さん向きの席などを用意したりしています。今後は立地にもよりますが、ご家族そろって楽しんでいただける店を展開したいと思っています。
店舗も広げたいですね。それは儲けるというより、社員に店長になるチャンスを作ってあげたいからです。大阪出身で今は東京在住の常連さんから「東京にも店出して」と言われていますが、なかなか手が回らないし、東京はまた難しいことが多いのかなと思っていますが、夢のひとつです。できれば海外進出もしてみたいですね。これも利益を上げるというより、「海外の人に『古潭』のラーメンを味わってもらえたらいいな。大阪の味を知ってほしいな」という思いからです。
―本日は楽しいお話をありがとうございました。
「古潭お土産ラーメン(4食入り)」
価格:¥2,320(税込・送料別)
店名:古潭(KOTAN)ネットショップ
電話:06-6451-9156(10:00~18:00 土日祝休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://ramenkotan.shop-pro.jp/?pid=144291066
オンラインショップ:https://ramenkotan.shop-pro.jp/
※ほかに8食入り、10食入りがあります
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山本宴子(株式会社吉光 代表取締役)
1972年大阪府生まれ。人財研修会社に就職し、10年間勤務後、2003年株式会社吉光入社。本部事務、店舗、他業種店舗店長を経験後、同社代表取締役に就任。研修会社での経験を活かして、様々な社内改革に着手。子育てを契機に幼児教育事業にも注力している。
<文・撮影/今津朋子 MC/山口優花 画像協力/吉光>