今回、編集長アッキーが気になったのは、山形にある創業90年の東北ハムの「無添加国産生ハム 庄内プロシュート ノービレ」。株式会社東北ハム・代表取締役社長の帯谷伸一氏に商品の魅力を取材陣が伺いました。
本場パルマの味を再現 18ヶ月熟成させて作る逸品「無添加国産生ハム 庄内プロシュート ノービレ」
2024/04/22
株式会社東北ハム・代表取締役社長の帯谷伸一氏
―貴社のこれまでの沿革を教えてください。
帯谷 創業が1934年、今年で90周年になります。もともと成沢商会として発祥しましたが、創業時は全国各地で、肉の加工品としてハム・ソーセージを製造するところが増えた時期でした。日本はそれまでたんぱく源は魚に頼ってきましたが、肉を食べて健康を増進するため、国策として食肉の普及が進められていました。山形県庄内は鉄道があり、流通のインフラが整っていたため、製造場所としても適していたのでしょう。1939年に東北畜産工業株式会社として会社が設立されましたが、国の資本が半分の国営企業でした。たんぱく源に対する地元の資本家の方々の期待があり、興された会社でした。
祖父の帯谷幸次郎はもともと漬物の製造が本業で、東京の中野で漬物工場を営んでいました。財閥解体に伴い事業を引き継いだ祖父は、ハム・ソーセージ作りに熱意を注いできて、私が3代目となります。
庄内豚を使用して国産原料だけで実現した、
究極の無添加・庄内産生ハム。
―小さい頃から会社を継がれるつもりでしたか?
帯谷 長男として生まれた以上、跡を継ぐのだろうと漠然と思っていました。大学では経営を専攻し、卒業旅行で訪れたヨーロッパでハムやソーセージのおいしさに触れ、やはりこれが自分のやる仕事なんだと確信しました。卒業後は6年間、スーパーと食肉会社で修業をしていました。スーパーでは精肉の生産加工、食肉会社では営業を担当し、その経験は家業を継ぐうえで大変役に立ちました。
―会社として大事にしていらっしゃる思いを教えてください。
帯谷 実業家の稲盛和夫さんの「心を高める、経営を伸ばす」という言葉は意識してきました。自分自身が成長し、心を高めることが従業員の幸せにつながっていきます。常に努力して、常に勉強して、そして自分自身を高めていって、従業員の皆さんと一緒に成長していけるような会社でありたいと考えてきました。みんなが幸せになるための場として企業があり、仕事があるということを稲盛さんから学んできました。
―学校給食にもハムやソーセージをご提供してきた長い歴史がありますね。
帯谷 鶴岡の学校給食は1889年から提供され、日本の学校給食の始まりだと言われています。1965年に山形県内で最初の学校給食共同調理場が設置され、鶴岡市内の小中学校全38校で学校給食が始まりました。それと同時期に、鶴岡地区食肉協同組合が発足し、肉も含めて、ハムやソーセージを給食に提供することになりました。弊社はそれから60年近くに渡って、子どもたちが安心して食べられる無塩せきのハムとソーセージを給食に納入してきました。
―創業時から守り続けてこられたことを教えてください。
帯谷 昔のままの作り方を受け継いでおり、素材がおいしいものをおいしく加工するという考え方をずっと守ってきました。無塩せきで添加物を一切使わずに商品化することにも取り組んできました。
国内でも指折りの職人が製造しており、世界最高レベルの食品品質コンテストと評価されている「ドイツ農業協会(DLG)コンテスト」で、出品5大会連続で金賞を受賞しました。また、オーストリア国際食肉コンテストにて連続金賞受賞など様々な賞もいただいております。
熟練の職人が昔ながらの製法で手間暇かけてつくる「誠実な食品」が、評価されたのだと思います。
―今回ご紹介させていただく「無添加国産生ハム 庄内プロシュート ノービレ」はどういった商品でしょうか。
帯谷 生ハムのおいしさを存分に味わっていただけるおすすめ商品です。ハムやソーセージを無添加で作るのは難しいと言われてきましたが、山形県内の食品メーカーの製造者による異業種交流会に磯部晶策氏をお呼びし、勉強を重ね、チャレンジしてきました。構想20年、足かけ5年の研究の末、ついに庄内の風士・文化に根ざした庄内プロシュート「ノービレ」が誕生しました。
もともと20年ほど前にイタリアでパルマープロシュートに出合ったとき、そのおいしさに衝撃を受け、日本でも作りたいと思いました。ただ、まだ生ハムが一部の方にしか普及しておらず、さらに製造部門を整えるのが難しく、時期尚早だと思いました。それから生ハムづくりからは離れていたのですが、10年ほど前に工場に空きスペースができ、そこを生ハムの専用工場として稼働させることになったのです。
しかし、日本ではパルマープロシュートを作るノウハウはなく、法律的にも成分上、全く同じものは作れないので、日本でできる範囲の上質な生ハムを作っている帯広畜産大学の三上名誉教授に教えを請うことから始めました。
ようやく本場パルマの味を再現できるようになりましたが、まだまだ途中経過であり、もっともっとおいしくできるはずなので、開発は続けています。
作るのに18ヶ月かかるので、仕込んで結果が出るのが1年半後です。丹精を込めて仕上げた生ハムプロシュートをお楽しみください。
原料となる骨つきもも肉には、
庄内の米、水、空気で育った庄内豚を使用。
原料は海水塩、米粉、黒胡椒のみです。
しっかり水分を出しきり肉の旨みを醸成するため、
選び抜いた3種類の海水塩を使い分けています。
―注文を受けてからスライスされるのはどんな理由からでしょうか。
帯谷 生ハムは時間がたてばたつほど味と香りが落ちるので、一番おいしく食べていただくために、注文を受けてからスライスしています。賞味期限は30日になります。
―お客様からのお声で印象に残ったものはございますか。
帯谷 「しっかりとした味わいで、熟成された脂の旨みと適度な塩分。本場顔負けのプロシュートです」「バケットはもちろん、ドライフルーツの入ったパン、フルーツと組み合わせたサラダなどで甘じょっぱさを楽しむのが気に入っています」といったレビューがあり、きちんと評価いただけていてうれしいです。
この生ハムは量産できないので、地元でも売っておらず、お取り寄せかふるさと納税でお買い求めいただくことになります。今後、首都圏の高級スーパーなどでの取り扱いを広げていきたと考えています。
―今後の目標やビジョンをお聞かせください。
帯谷 日本で主力として売られている生ハムは1~2週間ぐらいで出来上がります。現在は完成まで18ヶ月かかる生ハムと1週間で出来上がる生ハムが同じスーパーの棚に並ぶような状態ですが、消費者の方々においしい生ハムの魅力をわかっていただくためには、生産者さんの輪を広げることが大事だと思っています。まだ日本国内での製法が確立できていないので、みんなで勉強しながら、作り方を標準化していきたいと考えています。生産量が増えていかないとお客さんが食べる機会も増えていきません。今後、生ハムが日本国内で、消費者の方の評価も含めて定着していくことを願っています。
また、世界を見渡したときにアジアの中で生ハムを作れる環境は日本ぐらいだと思うので、輸出もやっていきたいです。今はイタリアとスペインが生ハムのメッカになっていますが、日本国内でも市場がきちんとできていくことが我々の目標であり、価値だと感じているので、取り組みを広げていきたいなと思います。
―貴重なお話をありがとうございました。
「無添加 国産生ハム庄内プロシュート ノービレ」スライス 55g
価格:¥1,188(税込)
店名:東北ハム
電話:0120₋86₋7241(10:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.touhokuham.co.jp/c/item/cat_nama/sp1930
オンラインショップ:https://www.touhokuham.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
帯谷伸一(株式会社東北ハム 代表取締役社長)
1963年山形県生まれ。中央大学商学部経営学科卒業後、西友フーズ並びに明治ケンコーハムに入社して7年間の実務経験を経て、東北ハムに入社。2001年に同社代表取締役社長に就任。同社はDLG(ドイツ農業協会)食品コンテストで5大会連続金賞を受賞、経済産業省中小企業庁より2024年はばたく中小企業・小規模事業者300社に選ばれる。趣味は音楽鑑賞と旅行。学生時代は10年間吹奏楽部やオーケストラでフレンチホルンを演奏した経験をもつ。
<文/垣内栄 MC/伊藤マヤ 画像協力/東北ハム>