今回編集長アッキーが注目したのは、シャキシャキのれんこんの歯触りがたまらない餃子。れんこんの産地・愛知県愛西市で採れた、旬のれんこんをたっぷり使っています。長年地域に根ざして発展してきた遠山産業株式会社が、地域を活気づけるメニューにしたいと開発しました。社長自ら餃子メーカーで修行し、試行錯誤を重ねて作り上げた極上の餃子について、その味のこだわりを同社代表取締役社長の遠山卓郎氏にお聞きしました。
地産地消の素材で新しいおいしさ「シャキシャキれんこん餃子」
2024/04/25
遠山産業株式会社 代表取締役社長の遠山卓郎氏
―今回は餃子をご紹介しますが、御社は飲食だけでなく、さまざまな事業を手がけていらっしゃいます。
遠山 もともと江戸時代中期の1790年に米問屋として商いを始め、1877年には繊維業で創業しました。愛知県尾張西部から岐阜県西濃エリアの「尾州」と呼ばれるエリアでは毛織物産業が栄え、当社もその一翼を担っていたわけです。もちろん現在も会社の中核として、繊維関連の事業を展開しています。
繊維業以外にも、工場跡地の一部を利用して、自動車学校やゴルフ練習場などを展開し、今回ご紹介いただく食品加工にも事業領域を広げてきました。
―遠山社長はどのような思いでご家業に入られたんですか。
遠山 昔からいつかは会社を継ぐのかな、とぼんやり考えていたのですが、そのために備えていたということはありません。米国でIT系の勉強をして、そのスキルを活かして国内企業に就職し、その後米国でMBAを取得しました。会社を率いていた父が体調を崩し、それを機に、家業に戻ってきた感じです。
外部から戻ってみると、社内のデジタル化が進んでおらず気になりました。そこでまずは管理系や経理系のシステムを整え、さらに自動車学校の座学の授業のデジタル化も進めていきました。自動車学校というのは業務の特性上、規則事項が多く、なかなか変革を進めるのが難しかったのですが、オンラインでのサービス展開は今後必須だと考えました。実際導入してみると、メインターゲットの若者からの反応が良かったのはもちろん、テストの成績も上がったんです。当社は時代に応じてさまざまな事業を展開することで発展してきた会社です。柔軟に変化し、新しいことを取り入れていくのは大事だと改めて感じました。
常に新しい事業へ挑戦!生餃子「邦純」を展開。
遠山 変化しなければならないことも多い一方で、受け継がれてきた良い面もあると思います。売り手、買い手、世間がみんな得になるのが良い商売だという「三方よし」という言葉がありますよね。
私は伊藤忠グループに勤めていたので、この言葉、精神を叩き込まれました。MBA取得のため留学した時にこの話をしたら、教授に感心されました。経営の専門家も唸る理念だと思います。当社にも三方よしの精神は息づいていて、取引業者にもお客様にも、その先の地域社会にも良い影響を与えられる企業であり続けたいと思っています。
―餃子の製造、販売を始めたきっかけは。
遠山 一つの事業に安住せず、新しい事業を展開していくのが当社のDNAなので、餃子製造もその流れの中で生まれたものです。工場の跡地の一部が空いており、何かできないかと考えていたんですよ。
そんな時思いついたのが、留学時代に近くのチャイナタウンで買ってよく食べていた餃子でした。当社が運営するゴルフ場での練習が終わって買って帰るとか、当時当社が経営していたスーパー銭湯でも販売できるとか、事業のシナジー効果も望めると思いました。ちょうど知人に食品関連の業者がいて、ノウハウを学んで餃子の製造を始め、ブランド名を「邦純」としました。
みんなが大好きな餃子で、新たな事業シナジーを狙う。
―社長自ら餃子作りを学んだのですか。
遠山 もちろん。何の経験もない素人ですから、その知人の元でさまざまなことを学びました。餃子の製造はシンプルな作業ながら、品質を安定させるのが非常に難しかったですね。豚肉は品種によっては臭みが出てしまいますし、皮も小麦の配合によって仕上がりが変わります。柔らかすぎて中身が出てしまうようなこともあり、皮のメーカーと一緒に試行錯誤で作り上げました。
試行錯誤しながら品質の安定を目指した。
―シャキシャキれんこん餃子はどんな商品ですか。
遠山 工場のある愛西市は、全国有数のれんこんの産地なんですよ。地産地消ができるような餃子を作ってみたいと思い、従業員のアイデアで餡にレンコンを混ぜ込んでみたのがきっかけです。シャキシャキとした食感の楽しい餃子ができて、人気商品になりました。
―れんこんの食感にこだわっているんですね。
遠山 れんこんのおいしさ、食感を損なわずに餃子にするのが難しいんです。歯ごたえを出すためにれんこんを手で切っているのですが、生育時の天候や水につける時間によってれんこんの水分量が変わるので、ちょうど良い食感になるよう微調整しています。味付けも、れんこんが入ることで薄まってしまうので、普通の餃子とは違う特別な分量で製造します。
地産地消の食材にこだわって作り上げる。
遠山 また、地元の土採れれんこんにこだわっており、ハウス栽培のものは使用しません。そのため、れんこん収穫時期の10~3月に合わせた時期にしか製造できないんです。お客様には申し訳ないのですが、素材にこだわると、どうしてもお届けできない時期があることを知っていただきたいです。逆に言えば、常に旬のれんこんだけを使った餃子を販売しているので、おいしさは折り紙付きです。
―この商品で地域を活気づけていきたいですね。
遠山 れんこん以外にも愛知県のものを優先して使っているので、津島市のB級グルメに名を連ねられるようになったら良いなと思います。過去には地元の佐藤醸造さんとコラボして、名物の七宝味噌を使ったメニューを開発しました。地域を愛する食品メーカー同士でコラボするのは面白いですよね。またこうしたコラボも試してみたいです。
現在餃子を販売している自販機も、台数を増やしていきたいと思っています。サイネージの看板も好評なので、うまく展開していきたいですね。商品の魅力、地域の力を武器に、たくさんの人に餃子をお届けしたいです。
地域を代表するメニューとして育てたい。
―貴重なお話をありがとうございました。
「しゃきしゃきれんこん餃子(15個)」
価格:¥800(税込)
店名:お持ち帰り専門店「生餃子 邦純」
電話:0567-22-3918(水~日曜日 11:00~18:00)
定休日:月・火曜日
商品URL:https://www.ho-jun.com/#menu-gyoza
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
遠山卓郎(遠山産業株式会社 代表取締役社長)
1981年愛知県生まれ。青山学院大学卒業後、伊藤忠ケーブルシステム株式会社に入社。退社後MBA留学を経て2010年に遠山産業株式会社へ入社。2014年に同社代表取締役社長に就任。繊維事業を主とし、自動車学校、ゴルフ練習場を運営する。
<文・撮影/鈴木満優子 MC/山口優花 画像協力/遠山産業>