今回編集長のアッキーが気になったのは、人気ランキング番組で1位を獲得した十割そば「特選そば」と、そば通が「これしか食べない」と絶賛する「究極そば」。製造販売を手掛けるのは、日本で初めて乾麺の十割そばの開発に成功した、山本食品株式会社です。代表取締役の山本修氏に商品へのこだわりを伺いました。
長年愛される日本初の十割そば乾麺「特選そば」と、そば通絶賛の九割そば「究極そば」
2024/05/10
山本食品株式会社 代表取締役の山本修氏
―御社の創業からの歩みをお聞かせ下さい。
山本 弊社は1974年に創業した会社で、今年で創業50周年となります。もともとは「山本機械工業」という、お米の精米やもみを削る機械の据え付け、新規装置のたて付けを行う会社が母体でした。
その業務は経済連の依頼で行っていたのですが、あるときから経済連内で同じ業務を行うことになり、弊社へのご依頼がなくなったのです。そこで何か違う業務をと考えたところ、ちょうど創業者である私の義父がそば好きだったため、そばの製造を始めることになりました。
「どうせ造るのなら、だれも挑戦したことがない乾麺の十割そばを、日本で初めて造りたい」という思いから始まった会社です。
―十割そばを乾麺で造るのは難しいのですか?
山本 はい。そば粉は小麦粉の「グルテン」のような網目構造による粘着力を持たないため、水とそば粉だけで生地を打っていくのはとても難しいのです。さらにそうやって造ったそばを乾燥させて乾麺にするのは、現在でも難しい技術です。
弊社はもともと機械の会社でしたので、そのノウハウを活用してオリジナルの製粉機を造り、独自に製粉したそば粉を使用して、日本で初めて乾麺の十割そばの開発製造に成功しました。
―そば粉など、粉の産地についてこだわりを伺えますか?
山本 粉については、国内産でこだわっている商品もありますし、外国産の粉で造っている商品もあります。粉はすべて国内産が良いのか、ということにも様々な認識があるからです。もちろん外国産で品質が低いなら使用しませんが、中国産でもロシア産でも、非常に品質の高い粉はあります。
そもそも日本のそば粉の自給率は低いので、国産だけでは弊社で年間に使用するそば粉の量を賄えません。「国産なら良い。外国産はだめ」という見方ではなく、自国の自給率が低いなか、グローバルな視点で良いものを選ぶことが最も大事だと思っています。
そば粉の産地は自らしっかり視察し、品質を見極める。
―そば粉の国内自給率は深刻な問題なのですね。
山本 自給率は上がってきてはいますが、たとえば北海道では去年のそば粉の収穫量がおととしの半分程度になってしまうなど、切迫した状況もありました。そばを含め様々な農作物の自給率が低い国の現状、正しい情報を発信することも、食品メーカーとしての責任であると考えています。
―お客様に支持される味を守るため、こだわっていることは?
山本 そば粉については、仕入れや製造などそれぞれの工程で味や香りを何度も確認しており、社員にも、自分の家族や大切な人に食べてもらうことを想定して製造するよう常に伝えています。お客様に「おいしい」と笑顔になっていただくため、徹底して良いものをみんなで造ることが理念です。
そのために、仕事場だけでなく日頃の会食の場でも、社員が味の良し悪しについて忌憚なく意見を言える関係作りを心掛けています。試作品に関しても、私が最初に「おいしい」と言うと社員の意見に影響が出てしまうので、最初は意見を控えます。
―今回紹介する「特選そば」「究極そば」について特徴をお聞かせ下さい。
山本 「特選そば」は国内産そば粉100%と水だけで打っている十割そばです。「究極そば」は国内産そば粉90%と長野県産小麦粉10%に、兵庫県産の塩を少し入れて打っています。「特選そば」と「究極そば」は姉妹品であり、弊社の2枚看板といえる人気商品です。
食べ方はざるそばがおすすめですが、温かい料理にしてもそばの風味をしっかりと感じられます。テレビのランキング番組でも「二刀流」という評価をいただきました。十割、九割のそばなので、めんつゆに負けない豊かな風味があり、どんな食べ方でもおいしいそばです。また、おいしく食べるにはパッケージの説明通りに正しく茹でることもポイントです。
豊かなそばの風味が引き立つ十割そば「特選そば」。
―お客様からはどのようなお声をいただきますか?
山本 おかげさまで「おいしい」というお声が多いのですが、面白いのは「特選そば」と「究極そば」でお客様の好みが二極化していることです。「特選そば」がお好きな方に「究極そば」を送ると「やはり特選がおいしい」とおっしゃるし、その逆もあります。
ただ、どちらかといえばそば通の方は「究極そば」を選ぶことが多いようです。「これしか食べない」という、固定のお客様がついているのは「究極そば」の方が多い傾向です。
特にそば通のファンが多い「究極そば」。
どのそばも、冷たくても温かくてもおいしい。
―今後、製造に挑戦したい商品などはありますか?
山本 いま挑戦したいと思っているのは、十割そばのカップ麺です。十割そばのカップ麺は、お湯を注ぐとそば湯ができてスープがドロッとしてしまうので、製造が難しいのです。ただ、そばの成分が溶け出したお湯には「ルチン」が含まれていて、これは血管を強くしたり、血圧を下げる助けをしたりする成分とされています。そのため、そのお湯を捨てるとそばの栄養成分も捨てることになってしまう。このお湯をどう麺と一緒に啜れるように造るか、そこが難しいところです。
また、現在扱っている乾麺や生冷凍そばについてもさらに追及し、乾麺はより生めんに近く、生冷凍麺はより手打ちに近いクオリティにしていきたいです。カップ麺に関しては、ロングライフ麵(※常温で長期保存できる麺)に近付けていくような構想を練っています。
―御社の今後のビジョンについてもお聞かせ下さい。
山本 弊社には現在、本社工場と飯綱町工場の2つの拠点があります。飯綱町工場は「十割そば専用工場」となっており、十割そばのみを造っている工場は世界でここしかありません。この工場を造ったのは、十割そばを「グルテンフリー食品」として海外へ輸出することが目的です。
欧米ではグルテンフリー食品への関心が高まっており、また、健康的な食品としてそばへの関心も高まっています。十割そばはグルテンフリーではありますが、同じ工場内で小麦粉を扱っていると、アレルゲンについて注意喚起する必要があり、海外の厳しいグルテンフリー基準に沿うことが難しかったのです。
専用工場であればコンタミネーションの危険がないため「グルテンフリー食品」として十割そばの輸出に力を入れることができます。いくつかの商品では、国際的に信頼のある「GFCO」のグルテンフリー認証も取得できました。グルテンフリー食品としての十割そばの知名度、ひいては信州そばの知名度を海外で高めていきたいです。
また、十割そばを食べられる場所作りやイベントの開催を飯綱町で積極的に行い、十割そばの魅力をさらに広く発信していきたいと思っています。
―本日は勉強になるお話をありがとうございました。
「特選そば」(200g×10袋)
価格:¥4,968(税込)
店名:山本食品株式会社
電話:026-222-3350(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.yamamoto-foods.jp/items/81175533
オンラインショップ:https://shop.yamamoto-foods.jp/
「究極そば」(200g×10袋)
価格:¥4,752(税込)
店名:山本食品株式会社
電話:026-222-3350(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.yamamoto-foods.jp/items/81175534
オンラインショップ:https://shop.yamamoto-foods.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山本修(山本食品株式会社 代表取締役)
1971年長野県生まれ。建設会社の営業職を1年半経験後、1993年9月に山本食品株式会社へ入社。2010年11月に同社代表取締役に就任。
<文・撮影/ふるとりあやめ MC/尾崎真佐子 画像協力/山本食品>