今回、編集長のアッキーが注目したのは、サゴタニ牧農が販売する「サゴタニお試しセット」。特に「はるとなつ牛乳」と「久保正彦の低温殺菌牛乳」は、一般的な牛乳と比べてみると明らかな味の違いがあり、おいしいと評判だとか。今回は、これらの商品の特徴や牧場の歴史について、砂谷株式会社の代表取締役である久保正彦氏に詳しくうかがいました。
先代の熱い心意気を引き継ぐ!広島の大自然に囲まれた牧場で搾られたおいしい牛乳
2024/05/24
砂谷株式会社 代表取締役の久保正彦氏
―お父様が創業されたのですね。
久保 そうです。父が初代で、1963年に現在の砂谷株式会社の前身である砂谷酪農有限会社を創立しました。私で2代目になります。
―創立するまでの歴史を教えてください。
久保 父は広島県佐伯郡砂谷村(現・広島県佐伯郡湯来町)の資産家の家に生まれました。文学青年であった父は、作家になる夢を抱いて上京したのですが、しばらくして健康を害するようになりました。
健康を回復するためには、新鮮で栄養価の高い食べ物を摂ることが必須と感じた父は、農業と酪農が盛んだった八丈島に移り住むことを決意。結果として、父は八丈島に定着して農業と酪農にいそしむことになり、お陰さまで健康を回復することができました。
―そこから、どのような経緯によって広島で牧場を開くことになったのですか?
久保 きっかけは、結核に侵されていた郷里にいる父の妹の死でした。当時の広島県砂谷村はとても貧しい村でしたので、「もっと栄養価の高い食べ物を食べられる環境であれば、妹が亡くなることはなかったのでは」と、父は苦悩しました。そこで、郷里の砂谷村を自分の力でもっと豊かにしなければと決意し、1941年に八丈島を離れ、牛23頭を引き連れて砂谷村で酪農をすることにしました。
牛は八丈島から連れてきたのが始まり(写真は現在の様子)。
―とてもパワフルな方ですね。
久保 そうですね。強い信念がなければできないことです。1941年というのは太平洋戦争が勃発した年なので、牛を連れて広島まで帰るということ自体が簡単なことではなかったはずです。
砂谷村に着いた父は、まずは1ヘクタールくらいの土地からスタートし、それから山の木を切って谷を埋めて、少しずつ牧草地を広げていきました。私が小さい頃は、まだ今のような大きさの牧場ではありませんでした。父は酪農の基本として土作り・草作り・牛作りを掲げ、徹底して事業を進めていき、人に任せずに自らが作ったものを自らが売っていくスタンスで頑張りました。
先代が活躍した当時の酪農の様子。
―2代目として継がれてからは、どういうところを重視されたのですか?
久保 父がこの地に牧場を作ってから83年経ちましたが、やはり消費者と直結して販売するという父の創業理念や哲学というものは、大切にしたいと思っています。消費者との交流こそが酪農の発展の原点であるというのが、私の想いでもあります。
そのためには、牧場にお客様が来ていただく仕組みなどをいろいろと作ることも大切です。ジェラート・チーズ・ヨーグルトなど、牧場ならではの食品の開発や、いちご農園でのいちご狩りなど、牧場での非日常を楽しんでもらえるようにしてきました。ここは、広島市内から車で40~50分くらいの距離にありますので、遊びに来やすい場所です。お陰様で、年間10万人のお客様にお越しいただいています。
牧場ならではの商品をいろいろと開発している。
―牛のエサはどうされているのですか?
久保 牛に与えるエサの牧草は、弊社の牧草地で刈り取られたものを使用しています。単に牛を育てるだけでしたらこれだけでも十分ですが、大量のお乳を出してもらうには、牧草だけでは栄養が足りません。その他にも、トウモロコシや大豆などの穀物を与える必要があります。
飼料となる穀物は日本では手に入りにくいので、アメリカなどから輸入したものを使っています。牧場を持たずに牛を飼育しているところは、牧草も輸入したものを与えていますので、少なくともこの牧草の違いが味に影響してくると思います。
サゴタニ牧場(久保アグリファーム)の牧草地。
―今回ご紹介いただく、「はるとなつ牛乳」と「久保正彦の低温殺菌牛乳」は、どのような商品ですか?
久保 日本で一番多く行われている牛乳の殺菌方法は、120~150℃で1~3秒かけて行う超高温殺菌ですが、弊社の牛乳の場合は「パスチャライズ製法」で殺菌しています。パスチャライズ製法とは、超高温殺菌よりも低い温度で、もっと長い時間をかけて殺菌する方法です。
4月~9月の「はるとなつ牛乳」はさっぱりとした味わいで、10月~翌3月の「あきとふゆ牛乳」は濃厚でコクのある味わいになります。これは広島県産の生乳を使用し、85℃で20分間殺菌しています。
「久保正彦の低温殺菌牛乳」は弊社の生乳のみを使い、65℃で30分間の殺菌を行っています。低温で殺菌していますので、牛乳本来の風味を損ないにくく、搾りたての生乳に近い味わいがあります。
「はるとなつ牛乳」と「あきとふゆ牛乳」で、年に2種類の味わいを楽しめるのが特徴。
―「はるとなつ牛乳」と「あきとふゆ牛乳」で味の違いが出るのはなぜですか?
久保 牛の飼育でベストな気温というのは、5~15℃ぐらいなんです。最近の夏は北海道のようなところでも気温が高くなりがちなため、牛も人間と同じように夏バテをして食欲が落ち、食べる量が少なくなってきます。そうなるとお乳の成分に影響が出るため、結果として冬よりもさっぱりとした味になります。
弊社の牛乳も夏と冬の味に違いがありますので、消費者にわかりやすいように「はるとなつ牛乳」「あきとふゆ牛乳」と季節によって切り替わるパッケージでお届けしています。
―ヨーグルトも自社で生産されているとか?
久保 はい。沢山の乳酸菌の中から試作を繰り返し、弊社の牛乳に一番合うものを選びました。
特に、プレーンヨーグルトはお客様からの人気商品で、これには砂糖が入っていません。サラダにかけたり、料理に入れたりしてもおいしいと評判です。
左からヨーグルト(きび糖・プレーン)、のむヨーグルト(加糖・野いちご)。
―御社の今後の展望などを教えていただけますか?
久保 これからは、地域のコミュニケーションも大切になってくるかと。物流問題などを考えたら、地域で採れたものを地域で消費する「地産地消」がもっと奨励される時代が来るはずです。そのときに、私どもの牧場が地域の活性化に役立てるようなかたちで協力できればと思っています。
―本日は大変有意義なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
「サゴタニ牧農お試しセット」
内容:
・はるとなつ牛乳(パスチャライズ牛乳)500ml×1 ※
・久保正彦の低温殺菌牛乳(パスチャライズ牛乳)500ml×1
・ヨーグルト プレーン110g×2
・ヨーグルト きび糖110g×2
・のむヨーグルト 加糖150ml×2
・のむヨーグルト 野いちご150ml×2
※10月~翌3月は「あきとふゆ牛乳」に切り替えてのお届けとなります。
消費期限:牛乳 発送日含めて5日以上
ヨーグルト 発送日を含め7日以上
保存方法:要冷蔵(10℃以下)ヤマト運輸のチルド便でお届けします。
価格:¥2,420(税込)
店名:サゴタニ牧農オンラインショップ
電話:0120-5959-39(お客様サービス係)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日対応
オンラインショップ:https://shop.sagotani.net
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
久保正彦(砂谷株式会社 代表取締役)
1952年 広島県生まれ。1975年3月 酪農学園大学卒業後、家業の手伝いを始める。
2018年 砂谷株式会社の代表取締役に就任。
<文・撮影/鶴良子 MC/三好彩子 画像協力/砂谷>