手軽に食べられるミニサイズの即席麺は、小腹がすいたときやランチにもう一品ほしいとき、子どものおやつを用意したいときなど、さまざまなシーンで活躍するすぐれものです。お湯を注げばスープの香りがふわりと漂い、食欲をそそりますよね。
今回、編集長アッキーが気になった商品が、お湯を注いだりそのまま食べたりと、いろいろな食べ方を楽しめる「東京拉麺」です。家庭や職場にストックしておきたくなるミニサイズのラーメンがどんなふうに誕生したのか、代表取締役の今泉和成氏にお話を伺いました。
2024/05/27
手軽に食べられるミニサイズの即席麺は、小腹がすいたときやランチにもう一品ほしいとき、子どものおやつを用意したいときなど、さまざまなシーンで活躍するすぐれものです。お湯を注げばスープの香りがふわりと漂い、食欲をそそりますよね。
今回、編集長アッキーが気になった商品が、お湯を注いだりそのまま食べたりと、いろいろな食べ方を楽しめる「東京拉麺」です。家庭や職場にストックしておきたくなるミニサイズのラーメンがどんなふうに誕生したのか、代表取締役の今泉和成氏にお話を伺いました。
―会社の歴史と商品開発の経緯を教えてください。
今泉 創業は1935年で、創業者はうどん職人だった祖父です。1958年に日清食品さんがチキンラーメンを発売したことをきっかけに、全国にある何百社という乾麺屋が即席麺の製造を始め、当社も参入しました。しかし、他社よりも少し参入時期が遅く、苦戦したそうです。そこで特徴を持った商品が必要になり、当時としては珍しかったビッグサイズの「ガッツヌードル」を発売したのですが、あまり売れませんでした。
その頃、父がサンプルとして買ってきた即席麺を置いておくと、僕たち3人兄弟が食べてしまい、いつの間にかなくなっているということがよくありました。その光景を見た父が、「駄菓子屋さんに、子どもがお小遣いで買えるカップ麺があったらおもしろいんじゃないか」と考えて作ったのが、小さいサイズの「ミニカップラーメン」です。
今泉 ただ、これも最初は返品の山だったそうです。そのうち店頭でお湯を入れ、その場で食べられるような売り方をするお店が出てきたことで売れ始め、全国の駄菓子屋さんで取り扱っていただけるようになりました。子ども向けの商品が少なかった時代に、子ども向けにミニサイズにしたことが、現在まで生き残れたポイントだったのかなと思います。
―今回ご紹介する「東京拉麺」はどのように生まれたのでしょうか。
今泉 1990年前後のバブル期には当社もいろいろなことにチャレンジしていたのですが、あまりうまくいかず、バブル後の1997年に僕が入社した当時はかなり大変な状況でした。ただ、その頃に100円ショップやプライベートブランドの波が来たことで、ミニサイズのラーメンのニーズが出てきたのです。
当時、ミニサイズの商品を10食ほど詰め合わせた「ちび10ヌードル」という商品を作っていたのですが、小売りさんから「5食で100円の商品はできないか」という話があり、商品開発がスタートしました。そうやって誕生したのが「東京拉麺」です。今は原材料や経費の関係で、1袋4食入りで販売しています。
―「東京拉麺」の魅力を教えてください。
今泉 麺に味が付いているので、そのままでもポリポリと食べられます。手軽に食べたいときはお湯を注いで3分でできあがりますし、鍋で好きな具材と煮込めば本格的なラーメンになります。ラーメンといっても間食向きで、それでいてある程度のボリュームもあるという点が、ヒットした理由ではないでしょうか。現在は5種類の味を製造販売しています。
―開発にあたってこだわったポイントは。
今泉 製造のノウハウと原材料の味を生かし、おいしくて、なおかつ3分でできあがる商品にすることが即席麺メーカーの使命だと思っています。さらにある程度のボリューム感も必要だと考え、できる限り原材料にコストをかけました。当社の商品にはどれも、パッと見たときの割安感があると思います。
―「懐かしい味」という口コミが多いと伺いました。そういった部分でのこだわりはありますか。
今泉 「東京拉麺」で一番ベーシックなチキン味には、日本人にとってなじみ深いしょうゆの香ばしさがありますので、お客様の記憶にも刻まれているのではないでしょうか。即席麺のなかで「東京拉麺」の味付き麺はニッチな存在だと思いますが、即席麺が誕生してからずっと続いている味でもあり、懐かしさを感じていただけているのだと思います。
―お客様からの反響で印象深いものを教えてください。
今泉 お子さんだけでなく、年配の方からも応援のメッセージをいただくことがあります。ベーシックな味や、ミニサイズというボリュームが受け入れられたのかもしれません。やさしい味わいでスープもくどくないので、食べやすさはあると思います。ご家庭で家族がそれぞれ好きなように食べて、いつの間にかなくなっているような商品になるといいなと考えています。
―開発で苦労したことなどはありますか。
今泉 当時はさまざまな食品事故が発生し、食の安全に注目が集まりだした時期です。品質に関する要請も増え、製造技術があればよいという時代ではなくなり、あらゆる面で四苦八苦しました。ただ、そういったなかでも、父親が代表を務めていた時代からの古い社員さんをはじめ、皆さんが真面目に働いてくれて、諦めずにやり続けているうちにここまで来られたのだと思います。新商品の開発も苦労の連続で、「これだ」と思った商品が売れることは少ないのですが、反対に思わぬ偶然からヒットした商品もあります。
―どんな商品ですか。
今泉 ミニカップシリーズの「ペペロンチーノ」です。これはカップ焼きそばのようにお湯を切ってからパウダーを絡めて食べる商品なのですが、あるときペペロンチーノになじみのない年配のスタッフがお湯を捨てずに食べたら「うまかった」と。そこでお湯を切ったらパスタ、切らなかったらラーメン風パスタと、2通りの食べ方ができる商品として販売を始めました。
今泉 子ども向けの割には辛いので、最初は駄菓子屋さんからも「売れないよ」と言われたのですが、粘り強く売っていただいた結果、ヒット商品になっています。
―今後の展望を教えてください。
今泉 当社の商品は、日本全国どこへ行っても見かけるというほど広く販売できているわけではありません。今後も試行錯誤を続けながら社員と一丸となり、ニーズをくみ取りながら全国のマーケットにチャレンジしていきたいと考えています。
また、海外の方にもぜひ手に取っていただきたいと思い、10年ほど前から輸出も始めました。日本のラーメンは海外でも人気ですし、日本はだんだん人口が減っていることからも、海外に対してアプローチを継続していきたいと考えています。商品名に「東京」が付いていることから、日本の製品だと分かってもらえるので、アピールしながら世界に広めていければと思います。
―ありがとうございました。
「東京拉麺チキン」(28g×4食×12袋)
価格:¥1,296(税込)
店名:東京拉麺株式会社
電話:0284-70-1270
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.tokyo-noodle.com/SHOP/4906871022119.html
オンラインショップ:https://www.tokyo-noodle.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
今泉和成(東京拉麺株式会社 代表取締役)
1970年栃木県生まれ。大学を卒業後、アメリカに留学し経営学を学ぶ。卒業後1997年に東京拉麺株式会社に入社、2004年に同社代表取締役に就任。海外への販売活動にも注力している。
<文・撮影/坂見亜文子 MC/山口優花 画像協力/東京拉麺>