今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、バターも乳も小麦も不使用のホワイトソース。クリーミーでコクのあるおいしさにびっくりです。開発したのは、100年以上の歴史をもつ、植物性食品メーカー。三育フーズ株式会社 代表取締役社長の平尾正弘氏に取材陣が伺いました。
驚くほど滑らかでクリーミーな「植物生まれのホワイトソース」
2024/05/30
三育フーズ株式会社 代表取締役社長の平尾正弘氏
―御社の成り立ちからお聞かせください。
平尾 三育フーズ株式会社の母体は学校です。学校法人三育学院はキリスト教教育を行う全寮制の学校で、寮の食堂で肉の代わりとなる植物性たんぱく製品の製造を担っていた食品部が独立して三育フーズ株式会社となりました。グループ企業には、病院や高齢者福祉施設も含まれます。
三育学院の前身である和英聖書学校でクッキーを作り始めたのが1896年のことなので、120年以上の歴史があります。今でこそ「ベジタリアン」「ヴィーガン」「プラントベース」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、120年以上前から、菜食料理を提唱してきました。
―菜食料理について詳しく教えてください。
平尾 正確には、一部に卵や乳を使った「穀物・卵乳菜食」として、穀物・豆・野菜・果物を中心とした植物性食品を原料にした商品を製造しています。動物性原料が環境汚染によって受ける影響がますます大きくなることを鑑みて、最近では「穀菜美食」をキーワードに、より健康的な食生活の提案をしています。
ヴィーガンや菜食というと、おいしくない、味気ないというイメージを持たれる方がいるかもしれませんが、私たちは「美食」にこだわって、おいしい食品をお客様に提供したいと願っています。おいしくなければ続けられませんからね。
その他安全性や環境への配慮も意識して、添加物はできるだけ使用せず、非遺伝子組換え、国内産、有機・減農薬原料優先、また製造時にアルコールやカフェインの不使用をモットーとしています。
環境や身体に優しい。
―「植物生まれのホワイトソース」はどのように誕生しましたか?
平尾 一般的にホワイトソースは牛乳を使います。私たちは「卵乳菜食」ですので牛乳は使用可能ですが、植物性原料だけで作った方がより健康的だと思っていましたから、昔から豆乳製品には力を入れていました。ホワイトソースも豆乳で試したのですが、ポロポロしてしまい、うまくいきませんでした。
乳化剤などの添加物を加えればいいのでしょうが、極力使用したくなくて、頭を悩ませました。そういえばヴィーガンの方がカシューナッツを使っていることを思いつき、それから7年の開発期間を経て、ようやく納得のいくホワイトソースが完成しました。
有機のカシューナッツを使い、小麦粉の代わりに玄米粉でとろみをつけ、他原料は塩、香辛料、一番搾りのなたね油のみ。自然の材料のみのシンプルでおいしいホワイトソースができたと自負しています。
控えめな塩味、ナッツのコク、ふんわり香る香辛料など奥行きのある味わい。
―一番難しかったところは?
平尾 化学調味料や添加物を使わずに、自然のものでおいしさを保つこと、バターを使わずにコクを出すことのほか、レトルト加工で高温高圧にする過程で風味が損なわれないように工夫したことなどでしょうか。
頭で計画しても、実際にやってみるとうまくいかないことも多くあって、それはもう試行錯誤の連続でした。
カシューナッの使用がポイントだったわけですが、弊社の主力商品は黒ゴマクリーム。他にもピーナッツやアーモンドのペースト製品も製造していて、ナッツを滑らかにペーストにする技術を持っていたことが幸いでした。
黒ゴマクリームのようなナッツをペーストにする技術には定評あり。
ほどよくとろみがあり、滑らかでクリーミーな食感を、
乳化剤などの添加物を一切使わず実現。
―おすすめポイントは?
平尾 ヴィーガン対応でグルテンフリー。160gあたり131kcalと低カロリーなこと。レトルトパウチ包装なので賞味期限が長く、なにより美味しい。作るのが面倒で、とても手間のかかるホワイトソースが、封を開けるだけで使えれば、手軽で簡単ですよね。
カロリー制限のある方にも、安心安全な食材へのこだわりの強い方にも、喜んでいただける商品だと思います。
2023年はおかげ様で、23,000人のフードアナリストによる食品・食材の審査・認定制度「ジャパン・フード・セレクション」第67回でグランプリを受賞しました。インバウンド対応のレストランやホテルからの引き合いも増えています。
―おすすめの食べ方は?
平尾 グラタンやパスタソースにはもちろんですが、ゆで野菜にそのままディップソースのようにかけることもできます。乳が原料だとレモン果汁と合わせてドレッシングにしたときに分離してしまいますが、本商品なら分離しません。カボチャやトウモロコシなどのピューレと合わせればまた風味の違う絶品ソースになります。
同シリーズに「植物生まれのミートソース」(税込¥378)もあり、組み合わせていただくとより料理の幅が広がります。
植物原料だけで作られたソースだけあって、野菜との相性は抜群。
―今後の展望をお聞かせください。
平尾 「ブルーゾーン」という言葉を聞いたことがありますか?イタリアのサルデーニャ島、日本の沖縄、米国カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島、ギリシャのイカリア島という5か所の世界的長寿地域を指します。米国ロマリンダには、私たちの母体であるセブンスデー・アドベンチスト教会系列の病院があり、信徒も多く住んでいます。穀菜美食を常食としている彼らが、非常に長寿であることが証明されているのです。
人生100年時代といわれますが、健康寿命はもっと短いものです。100歳まで健康でいたいですよね。心と体の健康と密接につながっている私たちの食生活、弊社では本当に良いものをこれからも提案していきたいと思っています。また食生活にとどまることなく、健康的ライフスタイルについての情報発信にも力を入れたいですね。
このホワイトソースを初めて展示会でご紹介した際、「有機」であることに反応する人が多いことに驚きました。今後は「有機」であることにも重きを置いて、もっと安心、安全な商品を開発、提供していく計画です。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「植物生まれのホワイトソース 160g」
価格:¥378(税込)
店名:セレクトショップ 三育ベジライフ
電話:0438-60-9678(月~木 10:00‐17:00・金10:00‐15:00 土日祝日休)
定休日:土日祝日(インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.saniku-vegelife.com/view/item/000000000076
オンラインショップ:https://www.saniku-vegelife.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
平尾正弘(三育フーズ株式会社 代表取締役社長)
1965年生まれ。グローバルな組織を持つセブンスデー・アドベンチスト教会(キリスト教プロテスタント)が運営する全寮制の学校(学校法人三育学院)に小学校から大学院まで通う。学生時代には牧師になるべく勉強をしていたが、いつのまにか経理畑の人間に。いくつかの教会系列の組織に勤務し、そのうち三育フーズには通算22年間勤務している。好きなものはグルテンバーガー(ひき肉風小麦たんぱく、三育フーズ製品)で作ったサンドイッチ。同級生の妻、1男1女の父親。
<文・撮影/植松由紀子 MC/石井みなみ 画像協力/三育フーズ>