今回編集長アッキーが気になったのは、山口県萩市の特産品である夏みかんをふんだんに使用したジュース、ゼリー、マーマレードのセットです。食卓を彩り、子どもにも喜ばれる3品は、萩のお土産としても知られています。製造、販売しているのは、5万人以上のお客様に支持されている株式会社柚子屋本店です。今回は代表取締役社長の金史一氏に、商品の魅力をたっぷりと取材スタッフが伺いました。
香り高くジューシーな萩の特産をお取り寄せ!『まるごと夏みかんBOX』
2024/06/05
株式会社柚子屋本店 代表取締役社長の金 史一氏
―御社の沿革を教えてください。
金 1978年に私の父が「金城商店」という名で、山口県萩市にて創業しました。メインの事業はポン酢の製造販売です。ポン酢製造を柱とし、別事業として地ビールの製造にも取り組んでいました。
父が柚子の将来性を見込んで、市場で注目されると予測し、現在の「株式会社柚子屋本店」に社名を変更したのは2001年です。しかし、その時点では柚子製品はまだ広く認知されておらず、売上は伸び悩んでいました。
私が代表取締役に就任したのは、この7年後の2008年です。その翌年に海外で柚子果汁の販売を開始しました。現在は45カ国まで販路を広げており、販売先の8割弱が海外となっています。
―なぜ海外に進出しようと思われたのでしょうか?
金 事業を継いだ2008年、会社は資金繰りが厳しく、非常に困難な状況に直面していました。そのときに山口県の酒造メーカー「旭酒造」の方から「ニューヨークの展示会に出てみては?」というアドバイスをいただいたのです。そこで、2009年に初めて海外の展示会に出ることになりました。
その頃、海外の方にはまだ、柚子とはどのようなものなのかが伝わっていませんでした。そこで、ジャパニーズシトラス(柚子)とは何か、という話から始めました。味を確かめてもらったり、現地のレストランに行ってセールスした結果、非常に良い反応をいただいたのです。「これはいける」と手ごたえを感じたので、以降、さまざまな展示会に参加するようになりました。
アメリカ・シカゴに支社を持つ株式会社柚子屋本店。
世界的な拡大に向けISO22000やFSSC22000、ハラール認証を取得した。
―では、今回ご紹介する「まるごと夏みかんBOX」についてお聞かせください。
金 私たちは農業法人を設立し、柚子の栽培も行なっています。そこでは萩の特産である夏みかんの栽培も実施しています。「まるごと夏みかんBOX」は、この夏みかんを使った3種の商品「夏みかん4」、「夏みかんゼリー」、「夏みかんマーマレード」を詰め合わせています。
一つ一つ丁寧に育てられた夏みかん。
金 夏みかんは柑橘のなかでも非常にすっぱく、皮がゴツゴツしているという特徴があります。そのまま食べるには酸味が強いです。
一方で、香りが非常に良い。分厚い皮は夏みかん菓子に活用できます。このような特徴があるので、昔から夏みかんはジュースやお菓子に加工されてきたのではないかと思います。
私自身も萩市生まれで、幼い頃から夏みかんが身の周りにありました。しかし、夏みかんは市場価値が低く、現在は農家さんの高齢化もあって、栽培をやめる農家さんも増えています。このような状況のなかで、私たちは農地を管理しながら、夏みかんを用いた製品を販売させてもらっています。
「まるごと夏みかんBOX」は4倍希釈ジュース、
ゼリー、マーマレードの3品の詰め合わせ。
萩の特産品・夏みかんの魅力をこれ1つでたっぷり味わえる。
―希釈ジュース「夏みかん4(フォー)」の「4」とは?
金 「4」は、製品を4倍濃縮していることに由来した数字です。「夏みかん4」には、1~3月の旬の時期に搾汁した萩産の夏みかん果汁と、他から仕入れた夏みかん果汁等をブレンドしています。自社の夏みかん果汁だけですと酸っぱいだけなのですが、このようにすることで、香りや味が非常に良くなりますので。
―「夏みかん4」が誕生した時期はいつ頃ですか?
金 明確にはわからないのですが、私が入社するよりずっと前、30年以上前に誕生したのではないかと思います。ポン酢製造事業の傍らで、希釈ジュースやマーマレードを製造、販売していました。萩にあるポン酢製造企業では、一般的に行なわれています。
ただし弊社では、調合の仕方を時代によって変えています。実は昔は「夏みかんオレンジ4」という商品名でした。そのときはオレンジ果汁も多く使用していたのですが、私の代でオレンジ果汁の使用を減らしました。現在、使用している果汁は山口県産夏みかんがベースのため「夏みかん4」という商品名で販売しています。
―「夏みかん4」の楽しみ方を教えてください。
金 4倍希釈タイプなので、原液1:水3の割合で水で割って飲んでいただくジュースです。もちろん、ストレートでもおいしく飲んでいただけます。
おすすめは牛乳割りです。水の代わりに牛乳で希釈して飲んでみてください。果汁に含まれる酸と牛乳が反応して、少しだけどろっと固まり、飲むヨーグルトのようになるのです。
「夏みかん4」は洋菓子店にも卸しており、オレンジソースなどお菓子の材料に使っている方もいらっしゃいます。
酸味と甘味のバランスが抜群の「夏みかん4」。
そのまま楽しむだけでなく、お菓子やドレッシングの材料にも活用できる。
―「夏みかんゼリー」について教えてください。
金 ゼリーのポイントとなっているのが、ごろっと入った夏みかんの粒です。この実は、仕入れたものを使用しています。一方で、周りのゼリーの部分は私どもが製造している部分です。山口県産の夏みかん果汁をたっぷり使用しています。
袋の形のまま固まっており、袋から出せばすぐお召し上がりいただけます。ぜひ、冷やしてお召し上がりください。味は果汁そのものの風味を活かしており、お子様にも食べていただけるよう少し甘めに仕上げました。
コロンとしたかわいらしい形も特徴です。山口県のパーキングエリアや道の駅、ホテルの売店などでもお土産としても販売しています。
プルンとしたゼリーの中にジューシーな果肉がごろっと一粒入っている。
―「夏みかんマーマレード」について教えてください。
金 「夏みかんマーマレード」で私どもが非常に大切にしているのが、夏みかんピールの美しさです。弊社では、夏みかんの皮をカットする作業を手作業でしています。仕上がりの美しさを左右するため、みかんの皮の裏に付着している白い部分がなるべくマーマレードの中に入らないよう、外の綺麗な皮だけをピールにしていくのです。
最終的にはカッターに入れるのですが、前段階の夏みかんの皮を3cm×7~10cmの短冊状に切り出す作業は手でおこなっています。この基準に合ったものしか「夏みかんマーマレード」には使いません。
実際に商品を手に取っていただけたら、透明感が高く、キラキラしていることが伝わるかと思います。皮以外の不純物が浮遊してない状態を作るのに、非常に手間がかかっているのです。
―なぜピールの美しさにこだわるようになったのですか?
金 萩市内では多くの業者がマーマレードを製造しています。そのようななかで、先代の父が目指したのは、英国風の硬めのマーマレードでした。
このタイプのマーマレードだと、瓶の中でピールが沈まず、浮遊して見える状態になります。これを美しく見せることで、商品価値を高めていこう、と父は考えたのです。そこで「夏みかんマーマレード」のピールを一つひとつ丁寧に処理することになりました。現在は時代の流れに沿って緩やかな蜜のマーマレードに改良しましたが、ピールの美しさを守るためこのピール造りの製法は今も継承しています。
夏みかんピールがキラキラと輝く「夏みかんマーマレード」。
このおいしさをきっかけに朝食がパン派になったというお客様も。
―「夏みかんマーマレード」のおいしい食べ方を教えてください。
金 バターを塗ったトーストに、マーマレードをまんべんなく敷き詰めるように塗っていただくとおいしいです。また、鶏肉やスペアリブを煮込む際も活躍します。キレイなピールがもったいないと感じるかもしれませんが、マーマレードを入れて煮込むと、お肉が非常に柔らかくなるのです。柑橘の香りも漂い、料理がより一層おいしくなります。
紅茶との相性も良いので、紅茶に入れて飲んでいただくのもおすすめです。
―御社の今後の展望を教えてください。
金 売り上げの大部分を占める海外の販路を広げていきたいと考えています。柚子だけにとどまらず、他の果汁や調味料の販路を拡大していきたいです。
また、私は昨年4月に韓国料理店を開業しました。将来的には通販を利用するお客様にも、私たちが提供する韓国料理を味わっていただきたい。それに向けて、EC販売の体制を構築できたらいいなと思っています。
スンドゥブやチヂミ、最近人気のキンパなどは、電子レンジで簡単に調理できるような商品ができないかなと。まだ検討段階ではあるので、店舗をしっかりと成長させることが先決とは考えています。
地域の活性化や働きやすい職場づくりなどにも取り組みつつ、
これからも世界に向けて柑橘商品を届け続ける。
―貴重なお話をありがとうございました。
「まるごと夏みかんBOX」(「夏みかん4」×1本、夏みかんゼリー×3個、夏みかんマーマレード×1本)
価格:通常販売価格¥4,156(税込)のところネット価格¥3,100(税込)
店名:柚子屋本店ONLINE STORE
電話:0120-717-511(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.e-yuzuya.com/c/ichiran/first/natsubox
オンラインショップ:https://www.e-yuzuya.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
金 史一(キム サイル)(株式会社柚子屋本店 代表取締役社長)
1977年山口県萩市生まれ。1997年に株式会社柚子屋本店へ入社し、2008年に代表取締役就任。会社の経営危機を乗り越え、販路を海外へ拡大。2018年には輸出販売国が45カ国に。農業法人YUZUYA FARM株式会社やアメリカ・シカゴの支社YUZUYA USA INC.の設立、韓国料理店サランポチャの開業を経て、現在に至る。
<文・撮影/西村初音 MC/三好彩子 画像協力/柚子屋本店>