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信州・佐久の酵母と自社栽培米を使った伝統製法の「マルト生酛純米大吟醸 SAKU1 720㎖(箱入り)」

2024/06/10

今回、編集長のアッキ―こと坂口明子は、「井筒長」のブランド名でも知られる醸造元の純米大吟醸酒「MARUTO」に注目。自社所有の田んぼでとれた米と地元由来の酵母で造った本商品は、2022年デビューのニューフェイスながら芳醇な香りと深いコクを生み出す代表作となっています。
幕末期に千曲川の上流で創業した黒澤酒造株式会社・代表取締役社長の黒澤孝夫氏に、商品や独自のお酒造りについて取材陣がインタビューしました。

黒澤酒造株式会社 代表取締役社長 黒澤孝夫氏
黒澤酒造株式会社 代表取締役社長の黒澤孝夫氏

―はじめに家業を継がれるまでの経緯をお聞かせください。

黒澤 東京農大を卒業して群馬県の食品メーカーに就職し、漬物の商品開発に3年ほど携わっていました。現在弊社でも漬物を取り扱っていますが、酒造りに通じる製造工程もあります。中でもレシピの開発といった部分でその頃の経験が生かされています。

漬物メーカーで任されていた仕事が一区切りした2001年、ちょうど新世紀のタイミングで当初の予定どおり実家の酒蔵に入社しました。

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マルト(丸登)のマルは太陽、トは「昇る」を表し、旭日昇天すなわち事業を伸ばすという意味の屋号。

―家業を継いで苦労されたことは?

黒澤 家に戻った頃は焼酎ブームのさなかで日本酒を扱うのは厳しく、今までどおりでは通用しなくなる時代でした。
劣勢状況を打開するためにも、少し遅れて入社した現在の杜氏(弟)と酒造りについて大きな方向性を見極め、「どういった味わいを目指すか」といった細かいことまで話し合いながら試行錯誤を繰り返してきました。

日本酒の厳しい環境は相変わらずです。当時から現在でも清酒だけでなく副産物の焼酎やリキュールなど酒類を増やし、多品種を取り扱うなど工夫を凝らしています。

―自社で田を所有して稲作を?

黒澤 はい、酒造りはもともと農業と関わりの深い業種ですので、自前の原料を作れば面白いと思って始めました。会社の半径500メートルの範囲に田んぼがありますので、作業も管理もしやすい環境です。

会員制で一般の方を集って田植えから稲刈り、そして酒造りまで体験してもらう組織も一緒になり、自社栽培に積極的に取り組んでいます。

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少し黄みがかった色合い。コスモス由来の酵母と米が芳醇な甘い香りを放つ。

―貴社がこだわる独自の製法はありますか?

黒澤 当蔵では伝統的な日本酒造りの技法を用いていますので、酒母づくりの工程で「生酛(きもと)造り」というクラシックなつくり方を採用しています。

これは蔵に住みついている菌を生かしながら、時間と手間をかけて酵母を育てていく方法です。労力がかかる代わりに奥行きのある力強いお酒を造ることができるのが大きなメリットです。

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通常の倍の時間をかけて酵母を育てる昔ながらの「生酛(きもと)造り」を採用。

―今回ご紹介する「マルト生酛純米大吟醸」の特徴を教えてください。

黒澤 年に1度は新商品の開発にチャレンジする中で、このお酒はトレンドをキャッチしながらマーケティングを繰り返し、2022年に生まれた比較的新しい代表作です。

原料は自社栽培米を精米し、酵母も同じ地域の自然界から採取しています。酵母は周辺13の酒蔵の共同開発で、東京農大にて1年がかりで分離・開発したもの。一番発酵力が強く味わいもバランスのいいものを選抜した良質な酵母ですから、商品タイトルにも入れました。

外部由来のものが入らず、佐久地区の気候や風土を醸したお酒に仕上がっているのが大きな特徴です。

―味わいはいかがですか?

黒澤 全体的に味わいのしっかりとした酒造りを目指している中で、当商品はどちらかといえばエッジの効いた酸味がポイントです。割とシャープでドライな感じで、その中から酸の余韻が楽しめる個性的なテイストです。

まずは冷で飲んでいただいて、そのあとに45℃ぐらいに少しお燗をつけると違ったニュアンスの味わいが出てきます。おつまみは冷でしたらソフト系やフレッシュ系のチーズなどと相性がいいでしょう。
食中酒として堪能できるものを造っていますので、どんな料理でも幅広く合わせやすいのが持ち味です。

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香りとコクは深くても後味は残さずさっぱりした味わい。
和食に限らずチーズをはじめ幅広い食材と合わせられる。

―今後のご展望をお聞かせください。

黒澤 酒の醸造と食と農業をうまく絡めながら商品づくりをしていければと思います。酒蔵といっても酒造りだけでなく、それを通して地元長野県の佐久という地域をパッケージ化して売りたい気持ちを強く持っています。

これまでも世界の6か国以上の国にオリジナル商品を輸出しながら、広く海外に向けて信州の味と文化を発信してきました。これからもSNSを利用するなどして商品や地域の周知活動を続けていきたいと思います。

―本日はインタビューをありがとうございました。

「マルト生酛純米大吟醸 SAKU1 720㎖(箱入り)」(アルコール16.5度)

「マルト生酛純米大吟醸 SAKU1 720㎖(箱入り)」(アルコール16.5度)
価格:¥2,970(税込)
店名:黒澤酒造オンラインストア
お問い合わせ:https://sake-kurosawa.com/store/inquiry/
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sake-kurosawa.com/store/2023/06/21/t016/
オンラインショップ:https://sake-kurosawa.com/store/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
黒澤孝夫(黒澤酒造株式会社 代表取締役社長)

1974年長野県生まれ。東京農業大学醸造学科卒業後、群馬県の食品メーカーで漬物の新製品開発部門に従事。2001年に黒澤酒造株式会社入社。2013年に同社代表取締役社長に就任。

<文・撮影/田中省二 MC/白水斗馬 画像協力/黒澤酒造>

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