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甘味で幸せを届けたい。「Premium御門くぅへん」と「奈良こんふぇいと」

2024/06/11

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、「御門米飴」を使った「Premium御門くぅへん」。安政元年創業の砂糖傳増尾商店は、砂糖をはじめ甘味に関わる食品原料を用いたさまざまなお菓子を提供しています。
代表取締役の増尾朗氏に、創業170年以上の歴史を持つ老舗ながらも、日々新たなおいしさを追求する開発秘話などを取材陣が伺いました。

株式会社砂糖傳増尾商店 代表取締役 増尾朗氏
株式会社砂糖傳増尾商店 代表取締役の増尾朗氏

―創業時は、お茶と炭の販売から、自動車学校設立など異色ですね。

増尾 弊社の初代である増尾傳次郎は、奈良県山辺郡山添村の農家の次男として生まれました。当時の農家は田畑が限られていたので、長男と二人で農家を継いでしまうと、田畑を広げない限り、半分になってしまう状況でした。なので、農家は長男に譲り、奈良町で商売をしようと考えたそうです。

そこで、お茶や炭を船に乗せて大阪や神戸へ売りに出していましたが、帰りの船が空になってしまうのがもったいないので、当時貴重だった砂糖を積んで帰ってきたそうです。その砂糖を奈良で売ってみたら非常に好評だったので、砂糖の仕事に専念するようになりました。

戦後暫くは中古のアメ車が一番丈夫で、砂糖を運ぶのにちょうどよかったそうですが、運転の仕方が雑で脱輪してしまったり、車自体がよく壊れたりと、トラブルが絶えなかったそうです。時代的にもこれから車が増えるだろうと言われていたので、私の祖母が昭和33年に自動車学校を設立しました。

それ以降は砂糖と自動車学校というまったく違う分野の二足の草鞋を履きながら、事業をしていました。

―昭和63年に自社ブランド商品の「御門米飴」が発売されました。

増尾 昭和60年に「ならシルクロード博」という一大イベントがありました。開催にあたって何か新しい商品を出したいということで、私の祖父母が東大寺の長老をされていた清水公照さんと話していたら、「昔の水飴はもっとおいしかった」とおっしゃっていたそうです。

その言葉にピンときて、100年以上お付き合いのある水あめ製造会社さんに米を麦芽で糖化するという昔ながらの製法で作った米飴を作っていただき、オリジナル商品として出すことになりました。題字も清水長老に書いていただいています。

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米を麦芽で糖化して作られた「御門米飴」は綺麗な琥珀色が特徴。

―その米飴を使って作られた、「Premium御門くぅへん」の特徴は?

増尾 風味が豊かで甘さもしつこくない米飴を、バームクーヘンの生地に練り込んでいます。食感も非常にしっとりしていて、バームクーヘンと米飴は本当にぴったりの組み合わせだと思っています。ここでしか食べられない、唯一無二のバームクーヘンです。

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何層にも重なったバームクーヘンは、職人が1本ずつ手焼きしている。

―開発には苦労されたそうですね。

増尾 砂糖には形を保つ機能があるので、きれいな形のバームクーヘンが出来上がりますが、米飴を使うと熱を加えても固まりにくいので、最初はバームクーヘンの形にすることに苦労しました。商品化するまでに半年くらいかかっています。

製品化できるようになってからも、歩止まりが悪いという課題がありました。バームクーヘン屋さんも当然こだわりをお持ちなので、胸を張ってお客様に出せるものしか最終商品として出せません。だから、なかなか安定して生産ができませんでした。

さらに、そのバームクーヘン屋さんが火事になってしまいました。そこで働いてらっしゃった方が、新たにバームクーヘン屋さんを立ち上げられましたが、温度や湿度、釜の広さなど、開発時と環境が変わってしまったので、またバームクーヘンがうまく焼けなくなってしまったのです。

今はやっと安定して供給できるようになりましたが、いろいろなことが重なって、1年くらいは出荷を止めていました。再開した際は、再開を待ち望んでいたお客様から非常に喜んでいただきました。

―おすすめの食べ方は?

増尾 2分ほど電子レンジで温めて召し上がっていただくのがおすすめです。私は普通の状態で、熱々のブラックコーヒーと合わせて食べると、ほっこりします。日持ちもするので、お土産にもおすすめです。

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「Premium御門くぅへん」は温めて食べるとよりしっとりさを楽しめる。

―「奈良こんふぇいと」が開発された経緯は?

増尾 以前から取引のあるお客様から「こんぺいとうは作らないの?」というお声をいただいていましたが、私はこんぺいとうに対して、甘いだけでそれ以上の魅力はないというイメージがありました。

しかし、しっかり時間をかけて丁寧に作っていけば、おいしいお菓子になるとわかったので、お客様と一緒に改めて作った方がいいと思い、相談しながらいろいろな素材を試していきました。

発売当初のフレーバーは3種類ぐらいでしたが、お客様からのご提案などによって、徐々に味が増えてきて、現在は約30種類あります。数としてはいろは味が多く出ていますが、ほうじ茶や御門米飴、珈琲味なども人気です。

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見た目もかわいらしい「奈良こんふぇいと」のいろは味。

―パッケージの箱もかわいらしいですね。

増尾 最初は奈良町の本店のみの取り扱いだったため、奈良にお越しになって記念になるような絵柄ということで、奈良の風景をモチーフにした柄をメインにしていましたが、もう少しお土産っぽさを抑えた柄も追加したいと思い、天平模様をモチーフにしたものも用意しました。

また、袋入りのパッケージもあります。リピーターの方で、箱はすでに持っているというお客様は袋入りをお選びになる方もいらっしゃいます。用途に合わせて選べるところも特徴の一つかなと思います。

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天平模様の箱は本店限定。
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「奈良こんふぇいと」の御門米飴味。

―商品開発で意識していることは?

増尾 弊社は170年以上甘味に携わってきているので、その目利きと、長い間お付き合いをしているものづくりに精通したお客様の力を合わせ、「お客様にとって魅力のある商品を世の中に出していきたい」というコンセプトで商品開発しています。

お客様に喜んでいただけるものを作っていくためには、商売の姿勢やお客様に対する思い、商品に対するこだわりなどを信用いただくことが何よりも大事だと思っています。培ってきた信用をベースに、魅力ある商品を作っていくことが商品開発の一番の原則です。

―今後の展望は?

増尾 これからも甘味を中心に、お客様に幸せなひとときを味わっていただけるような瞬間を提供していきたいです。また、卸の商売でお世話になっている取引先様と様々な仕事を楽しみたいですし、今後も弊社にしかないオリジナルの商品をお客様に召し上がっていただく努力をし続けていきたいと思っています。

ここ奈良は和菓子の発祥の地であると言われていて、中心地には、饅頭の神様が宿る林神社があります。日本の甘味は世界的にも大変優れているので、甘味の魅力を海外にも発信していけるような事業をできればいいなと考えています。

―貴重なお話をありがとうございました。

Premium御門くぅへん

「Premium御門くぅへん」
価格:¥2,600(税込)
店名:砂糖傳増尾商店 ウェブショップ
電話:0742-26-2307(8:30~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://satouden.com/wcshop/products/detail/251
オンラインショップ:https://satouden.com/wcshop/

奈良こんふぇいと

「奈良こんふぇいと」
価格:¥540(税込)
店名:砂糖傳増尾商店 ウェブショップ
電話:0742-26-2307 (8:30~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://satouden.com/wcshop/products/detail/157
オンラインショップ:https://satouden.com/wcshop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
増尾朗(株式会社砂糖傳増尾商店 代表取締役)

1975年奈良県生まれ。コロラド大学ボルダー校卒業後エクソンモービル有限会社を経て2003年マスオグループ入社。2014年グループ各社代表取締役就任。まちづくり、ひとづくりに注力し、公益社団法人奈良市観光協会副会長、公益社団法人関西ニュービジネス協議会理事。

<文・撮影/サカモトアヤ MC/菊池美咲 画像協力/砂糖傳増尾商店>

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