今回、編集長アッキーの目に留まったのは、フランスのパリで行われた品評会「Kura Master」で金賞を受賞した「アビス スパークリング」。日本酒でありながら、シャンパンのようなテイストのお酒で、静岡県にある花の舞酒造株式会社が開発しました。そして同社の最高品質のお酒である「花の舞 小仕込み原酒 純米大吟醸」にも注目です。今回は、静岡県の花の舞酒造株式会社 代表取締役の高田謙之丞氏に取材陣が伺いました。
パリの品評会で金賞受賞!シャンパンテイストの日本酒「アビス スパークリング」
2024/06/17
花の舞酒造株式会社 代表取締役の高田謙之丞氏
―江戸時代に創業されたと伺いました。
高田 弊社の創業は1864年です。南アルプスの地下水が豊富にある土地で、創業時から日本酒を作ってきました。私は7代目です。
代々酒蔵を継いできた家柄ですが、継いでほしいとは言われませんでした。私もあまり継ぐつもりはなかったです。しかし、酒蔵にも役に立つと思い、東京農業大学に入学して微生物などを学びました。頭のどこかで継ぐ可能性を考えていたと思います。
そして、大学3年生で就職先を考えるときに、真剣に継いだ方がいいと思うようになりました。大学卒業後は酒造メーカーに就職して3年ほど修行した後、2005年に入社しました。代表取締役に就任したのは2017年です。
―お酒造りのこだわりを教えてください。
高田 弊社のお酒は、地元の静岡県産米100%です。酒米で一番いいお米である、山田錦を使っています。
また、弊社はリキュールが得意です。日本酒と果実をブレンドするなど、フルーティーなお酒を作っています。また、二次発酵といって、瓶の中で発酵させてガスを入れる技術があります。そのため、フルーツ酒も炭酸が入ったお酒も製造可能です。
生産量も静岡県で一番なので、ロットにも対応できます。
「Abysse Sparkling」は酸味が強く、フレンチや洋食にも合わせやすい。
―「アビス スパークリング」をなぜ開発したのですか?
高田 残念ながら、日本酒の需要は落ちています。最盛期の半分以下です。落ちている理由は、日本酒が満足いただけるものになっていないからだと思います。そのため、違う飲み方や見せ方が必要だと考えました。
そこで、白ワインのような日本酒を作ろうと、開発をはじめました。ワイン酵母を使っていますが、ワイン酵母だけではワインの酸味・風味は出ません。酸味と甘みの調節が大変でした。試作を繰り返し、2019年にワインテイストの日本酒であるアビスを発売しました。
その後2021年に発売したのが、アビスに炭酸を加えたアビス スパークリングです。開発はアビスに2年、アビス スパークリングに2年、両方合わせると4年かかっています。
ボトルも洋風に仕上げました。味もデザインも新しい日本酒を提案しています。飲まれた方は、白ワインと間違うこともありました。米からできたお酒とは思えない、という感想をいただいています。
また、フレンチや洋食にも合わせやすいお酒です。酸味が強くて炭酸なので、日本の天ぷらなどの揚げ物にも合います。新しいお酒を楽しみたい方や、若い世代の方に特に飲んでいただきたいです。
―品評会で金賞を受賞したそうですね。
高田 フランスのパリで行われている「Kura Master」という品評会で金賞をいただきました。世界的にも認められている、フランスの日本酒の品評会です。業界では有名な品評会で、全国の酒蔵が出品します。
花の舞酒造の最高品質のお酒「花の舞 小仕込み原酒 純米大吟醸」
―「花の舞 小仕込み原酒 純米大吟醸」について教えてください。
高田 弊社は、酒蔵見学に力を入れています。見学で試飲される方にも最高品質のお酒を飲んでいただくため、小仕込み原酒の大吟醸というコンセプトで開発をはじめました。
小仕込み原酒は、小さく仕込むことで温度管理を厳密にできます。雑味が消えてキレがある、最高品質の香りや味になります。温度管理はかなり繊細です。1月に仕込むか5月に仕込むかなど、仕込みの時期によっても違います。
1タンクから1本720mlを300本作れます。そのため、タンクごとに300本限定で発売となり、それが繰り返されます。
酒蔵がこだわった、おいしいお酒が飲みたい方に飲んでいただきたいです。また、弊社のお酒は、辛口で香りがそれほどありません。口に含むとフルーティーな味がしますが、すぐに消えて、水のように飲めます。とても飲みやすく、食事と一緒に楽しみたい方に向くお酒です。
辛口でキレがあるが、とても飲みやすい。
本当においしいお酒を飲みたい方に飲んでいただきたい。
―今後の目標を教えてください。
高田 以前は市内の地酒メーカーでしたが、先代(父)が東京に支店を作り、海外に輸出する規模まで拡大してくれました。
今後はさらに海外輸出と、知名度拡大に力を入れます。特に新しいお酒であるAbysseを通じて、多くの方に弊社を知っていただきたいです。
また、日本酒を単純に飲むだけで終わらせないように展開したいです。洋食と合わせるなど、日本酒の新しい飲み方を提案していきます。
そして、酒蔵見学にも力を入れています。幅広い年齢の方に、年間1万5,000人ほど来ていただいております。毎日受け入れておりますので、ぜひお越しください。国内外問わず、多くの方に弊社の日本酒の味を知っていただきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました!
「アビス スパークリング」(720ml)
価格:¥1,980(税込)
店名:花の舞オンラインショップ 百花繚乱
電話:05-3582-2121(9:00~18:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hananomai-shop.com/?pid=163668413
オンラインショップ:https://hananomai-shop.com/
「花の舞 小仕込み原酒 純米大吟醸」(720ml)
価格:¥3,850(税込)
店名:花の舞オンラインショップ 百花繚乱
電話:05-3582-2121(9:00~18:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hananomai-shop.com/?pid=178593973
オンラインショップ:https://hananomai-shop.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
高田謙之丞(花の舞酒造株式会社 代表取締役)
1979年静岡県生まれ。東京農業大学を卒業し、他酒造メーカーで修行後、2005年花の舞酒造に入社。2017年に同社代表取締役に就任。近年では伝統の日本酒以外に革新的なスパークリング日本酒なども開発している。
<文/林本直 MC/矢口優衣 画像協力/花の舞酒造>