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京都の名酒「英勲(えいくん)」から生まれた、飲み口すっきり辛口の日本酒シャンパン「英勲 SPARKLING SAKE」

2024/06/18

世界的品評会IWCで受賞した話題作を送り出している京都・伏見の名酒「英勳」ブランド。今回編集長のアッキ―こと坂口明子は、その醸造元がリリースする「日本酒スパークリング」に注目しました。明治時代に呉服業から酒造業に転業したという革新的なDNAを受け継ぐ、齊藤酒造株式会社13代目代表取締役社長の齊藤洸氏に、商品の開発エピソードなどのお話を取材スタッフがうかがいました。

齊藤酒造株式会社 代表取締役社長 齊藤洸氏
齊藤酒造株式会社 代表取締役社長の齊藤洸氏

―歴史が長くてらっしゃいます。創業からの歩みを教えてください。

齊藤 弊社の歴史をひも解くと、先祖は元禄時代から京都・伏見の地で呉服商を営んでいました。ところが明治時代になると鉄道が開通するなど社会変化の波が押し寄せ、同時に主要顧客だった伏見への観光客も減少していきました。

それを受けて9代目の齊藤宗太郎が商売替えを検討し、1895年(明治28年)に18歳で呉服から酒造に転業したのが現在の生業の始まりです。

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大正時代から引き継がれる「英勳」ブランド。

齊藤 大正期には天皇のご即位を記念して商標変更しています。既に他界していた9代目宗太郎をしのび、戒名からとった「勲」と、酒造へ転業の英断をした「英」の字から代表商標を「英勲」と名づけ、現在に至ります。

―醸造にあたってのこだわりは?

齊藤 原料米はすべて京都府産を使用し、中でも府内限定の酒造好適米「祝(いわい)」にこだわって酒造りをしています。この原料米で造ったお酒は米の味わいや甘さが大きく出てくる特性があるため、うまくコントロールしないと雑味の多いものになってしまいます。

先代の時代には祝の良さを引き出しながらバランスを取り、さらっと飲みやすいお酒にするための醸造技術を習得しました。他社では限られたアイテムにしか「祝」は採用されていないケースがほとんどですが、弊社は低価格帯から高価格帯までのあらゆる広い価格帯でこの原料米を使用しています。

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原料米は京都府限定の「祝」。わずかに褐色がかった純米辛口がベース。

―今回の「英勲 SPARKLING SAKE」誕生のいきさつは?

齊藤 日本酒需要の低迷を受けて新しいジャンルの開拓を模索し、行きついたのが「日本酒のスパークリング」です。8年半前にこれを造りたいと社内で持ちかけたところ、「わざわざ投資して売れるか分からないのに」と大反対されました。

しかし現在でも日本酒のシェアが酒類の5%程度といわれる中、この先も愛飲者の高齢化が進んで商環境は厳しくなる一方です。

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他のシャンパンにまったく引けをとらないシュワシュワの発泡酒。

齊藤 「今までと同じことを続けていても立ち行かない」と強い危機感を持ち、詳しいプレゼン資料で必死に社員を説得しました。その結果、1年後になんとか周囲の了承を取り付け、それから4年半かけた2021年に完成させました。

―開発で苦労したところは?

齊藤 要冷蔵にすると流通面でかなりハードルが上がるため、加熱殺菌して常温流通できるようにしたところ、これが予想以上に大変でした。

瓶詰めしてから2次発酵しますが、「栓が飛んでしまう」など炭酸が強すぎる現象には特に悩まされました。
しかも失敗したあと再度テストするにも発酵までに2ヵ月近くかかるので、成功するまでにかなりの時間と労力を要しました。

―どんな飲み口ですか?

齊藤 泡については、高品質で世界で通用するスパークリングにするため、瓶内2次発酵でスパークリングワインに匹敵するガス圧にし、きめの細かい上品な泡に仕上げました。
味わいについては、私たちのお酒は全般的に食事に合うものを良しとしているため、スパークリングについても辛口を目標に造っています。甘い方がファーストインパクトはありますが、食べ物より主張が強くなり後が続きません。

フレンチやイタリアンレストランに販路を築いていけるように、幅広い食事とマッチする飲み口に仕上げているのが特徴です。

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乾杯だけでなく食中酒として幅広い料理にマッチ。
香りをしっかり持ちながら後味はすっきりとした味わい。

―海外の代表的な品評会で受賞されていますね?

齊藤 はい、おかげさまで2022年IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)で銅賞をいただくことができました。実は過去の同品評会で他の日本酒でも「金」をとったのですが、スパークリングのほうが1.5倍のオーダーがあったのが印象的でした。

世界の各種レセプションの乾杯で採用されるのはほとんどシャンパンです。パフォーマンスとして国内で日本酒を使用することはあっても、ひとたび海外に出れば「よく知られていないアルコール」になってしまいます。

私たちのチャレンジングな姿勢が評価されたのかもしれません。この商品がIWCで受賞したことは、日本酒を世界に向けて拡散するためにも有意義なことだったと思います。

―今後の展望をお聞かせください。

齊藤 これからの経営方針として3つの目標があります。1つはお酒の中でも違うジャンルを開拓して新しいパイを取っていくこと。2つ目は海外への輸出です。スパークリングを代表例に海外でも通用する商材を開発してシェアを拡大したいと思います。

3つ目は地元伏見の観光需要の掘り起こしです。京都全体としてはオーバーツーリズムですが、ここ伏見に限っては稲荷大社だけ参拝して帰られる方が多く、街なかにはあまり来訪者がいないのが現状です。

幕末の舞台となった寺田屋や豊臣秀吉の伏見城もありますし酒蔵も数多く密集しています。皆さんにもっと伏見に足を伸ばしていただけるよう誘致活動に力を入れていきたいと思います。

―本日は素敵なお話をありがとうございました。

「英勲 SPARKLING SAKE 720ml」(アルコール13度)

「英勲 SPARKLING SAKE 720ml」(アルコール13度)
価格:¥5,940(税込)
店名:英勲ウェブショップ
電話:075-611-2124(9:00~16:30、土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://moromine.shop-pro.jp/?pid=158276109
オンラインショップ:https://moromine.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
齊藤洸(齊藤酒造株式会社 代表取締役社長)

1990年京都府生まれ。東京農業大学卒業後、齊藤酒造株式会社に入社。取締役、常務取締役を経て2022年に同社代表取締役社長に就任。「京の米・京の水・京の酒」を合言葉に京都にこだわった酒造りをしている。伏見酒造組合理事。伏見酒造組合販売対策副委員長。

<文・撮影/田中省二 MC/三好彩子 画像協力/齊藤酒造>

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