煮物などに甘みを付け、照りを出してくれる調味料、みりん。ですが最近は、料理だけでなくデザートにも使える濃厚なみりんが注目を集めています。今回編集長のアッキーが気になったのは、みりんの本場といわれる愛知県碧南市で造られた、三河仕込みの「愛桜純米本みりん」。ECサイトでの販売を扱う株式会社杉八 代表取締役の杉田洋氏に商品の特徴を伺いました。
デザートにも使える濃厚な甘みのみりん。ひと味違う三河仕込みの「愛桜純米本みりん」
2024/06/18
株式会社杉八 代表取締役の杉田洋氏
―御社の創業からの歩みについてお聞かせ下さい。
杉田 弊社は1854年創業となっており、私は9代目となります。しかし、伝わっている古文書を見ると1818年頃からいろいろな商いをしていたようです。その後明治時代に入ってから酒類の卸売業の会社になりました。
昔は酒類の販売免許を手に入れるのは難しかったのですが、30年ほど前から規制が緩和されました。するとコンビニやドラッグストアでもお酒が買えるようになり、弊社のような地場の卸売業は淘汰されていったのです。そこで今までの業態を少し変え、15年ほど前からECで消費者の方に直接お酒をお届けするようになりました。
―今回紹介する「愛桜純米本みりん」の製造元である「杉浦味淋株式会社」さんに注目された理由は?
杉田 杉浦味淋さんは弊社と同じ愛知県にある会社で、ご家族で営まれているような規模の小さなメーカーです。みりんだけでなく焼酎や清酒のメーカーも、小さな蔵はそれぞれ独自の特徴を持っています。そういった、社長とすぐ会ってお話ができる小さな業者さんを大切にしたいという思いがあります。
また、杉浦味淋さんはフジテレビの番組「アンビリーバボー」で取り上げられ、「愛桜純米本みりん」によって倒産の危機から復活したと話題になったメーカーでもあります。弊社はそれ以前から取引がありましたが、こういった話題性に改めて注目しこちらのみりんを紹介することにしました。
―「愛桜純米本みりん」の1年醸造・3年醸造の特徴を教えて下さい。
杉田 どちらのみりんにも砂糖を入れるのとは違う、醸造の過程で生まれた自然な甘みがあります。料理に使うと照りが出たり、魚の臭みを抑えたりはもちろん、非常に優しい味わいに仕上がるのが特徴です。1年醸造のものがすっきりとしているのに対し、3年醸造のものは味わいのバランスが良くまろやかになっています。
明るい色とすっきりとした甘みの1年醸造(左)と、
濃い色と黒糖を思わせる濃厚な甘みの3年醸造(右)。
―まろやかな味わいの秘密は作り方にあるとか?
杉田 大手メーカーではみりんに甲類焼酎という無臭の焼酎を使うことが多いのですが、「愛桜純米本みりん」などの三河みりんは乙類焼酎という本格焼酎を醸造の過程で使います。「愛桜純米本みりん」は国産原料のもち米に米麹、本格米焼酎で造ったみりんなので、普通のみりんと異なるまろやかさを感じられるのです。
―「愛桜純米本みりん」のおすすめの使い方は?
杉田 最近は日頃のお料理に加え、アイスクリームにかけたりホットケーキのシロップにしたりなど、大人のデザートとして活用する方が増えてきました。特にアイスクリームにかけると、甘い味わいがさらにまろやかになるのでおすすめです。アルコールが気になる場合は、一度加熱してアルコール分を飛ばすといいでしょう。
また、酒税の関係で強くはおすすめしないものの、グラスに氷とみりんを入れ、ロックで味わう方はいるようです。特に3年醸造のものはまろやかで雑味も少なくなっているため、確かに「飲める」みりんかもしれません。最近は自宅で料理をする方が減っており、調味料としてのみりんの需要が下がってきているので、いろいろな使い方があると知っていただき需要が戻ればと思っています。
アイスクリームにかけると、より甘みの引き立つ大人のデザートに。
濃厚でまろやかな3年醸造みりんを、ロックで楽しむ人もいるそう。
―御社の今後の展望についてお聞かせ下さい。
杉田 現在は多くの方がコンビニやドラッグストアなどでお酒を購入するようになり、酒屋さんがどんどん減ってきている状況です。そんななかで、全国で唯一とは言わないものの「一番酒屋として生き残れる会社」でいたいと思っています。そのために品揃えをさらに充実させ、ECを通してより皆様にお酒を知ってもらい、酒屋として唯一といえる何かを作ることが今の目標です。
―新しいお店の構想もすでにお持ちだとか?
杉田 ECには「味見ができない」という弱点があるので、そこをクリアしたいと思います。例えばお酒の味見ができるアンテナショップを出店すれば、お客様はウィンドウショッピングのように味見ができ、気に入ったお酒を弊社のECで購入していただけるでしょう。
そういった仕組みがあれば我々とお客様という、今まで姿が見えなかった存在が見える場所ができ、もっとお客様と近づけるのではないでしょうか。そのために、具体的なアンテナの出し方を現在構想しています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「愛桜純米本みりんセット」(500ml×2本)
価格:¥3,850(税込、送料込)
店名:おいしく飲呑会
電話:0532-62-6491(10:00~17:00 日曜日・お盆・年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/nondonkai/10008837/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/nondonkai/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
杉田洋(株式会社杉八 代表取締役)
1966年千葉県佐倉市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、1989年に現 キリンホールディングス株式会社に就職し営業業務に携わる。1995年愛知県へ赴任。当時、株式会社杉八も担当。2000年、結婚を機に株式会社杉八へ入社し、2004年代表取締役に就任。2012年、インターネットモール楽天市場へ酒類販売ページ「おいしく飲呑会」の出店を皮切りにアマゾンなどへ次々と出店。2017年に出店店舗の売上上位0.3%から選出される楽天ショップオブザイヤーを獲得。
<文・撮影/ふるとりあやめ MC/髙橋美羽 画像協力/杉八>