今回、編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、鮮魚のプロ・水産仲卸会社が製造する「鯛しゃぶ」と「ハモ鍋」のセット。選りすぐりの名活魚「鳴門鯛」に国内ブランドハモ認定第1号となった「きらびきハモ」を原魚に使用し、だしも高級料亭出身の職人技が光る逸品です。
「きらびき工房」ブランドで極上の魚料理を提供する徳島魚類株式会社・代表取締役社長の一新太郎氏に、商品の誕生秘話やこだわりなどのお話を取材陣が伺いました。
魚市場で生き締めの活魚を料亭職人が仕上げた鮮度バツグン「鯛しゃぶセット」「ハモ鍋セット」
2024/06/21
徳島魚類株式会社 代表取締役社長の一新太郎氏
―貴社の沿革を教えてください。
一新 1959年に別の創業者が会社を興して市場で営業はしていたのですが、その後に潰れかけたところを先代である父が助っ人として社長に就任して再建したというプロセスがあります。
この業界は不思議なもので、特に昔は「魚を売ってやる」と売り手の方が強い立場にありました。それを見た父は「それは違うだろう」と、お客様に対して謙虚な姿勢になって、喜んでいただけるサービスを充実するように変えていったのです。
異業種から入ってきた父は、右も左も分からない状態だからこそ、同業者からすると突拍子もないような、いろんなアイディアを出して取り組みました。それが、周りの会社と違っていたところです。当時から始めた魚の無料配達のようなお客様第一優先の方針は、現在ももちろん引き継いでいます。
―家業を継がれた経緯をお聞かせください。
一新 子どもの頃から後を継ぐという意識はなく、また、そう言われたこともなかったです。普通に京都の大学に進学し、卒業後に大手メーカーに就職して広報宣伝部で12年間勤めていました。
魚の売買とは関係のない新聞記者への対応やプレスリリースの制作などを担当し、そのまま会社員生活を全うする可能性もありました。
父親はもともと継がせる気はあまりなかったらしいのですが、歳を取るにつれてだんだん「息子に継がせたい」と周囲に漏らすようになったようです。
私も故郷の徳島がとても好きで、地元に貢献したい気持ちもありました。「戻って家業を継ぐのも親孝行だろう」と思うようになり、2003年に帰郷して入社しました。その後2020年に父が80歳になるタイミングで社長を交代したという経緯です。
桐箱に入れられた魚の造りはプレミア感たっぷり。
―今回ご紹介する「鯛しゃぶ」「ハモ鍋」セットを発売したきっかけは?
一新 以前に大手ビール会社の「日本全国47都道府県のうまいものを各都道府県1アイテムずつ、ビール6缶セットと一緒にしてプレゼントします」という企画がありました。幸い市場のなかでの業績がトップだった弊社が、その提供者として選ばれたのです。
ところが、企画段階で商品が決まっていたのではなく、これから新たに作る必要がありました。しかも、いきなり1,000個のオーダーが入っていたので大慌てです。あれこれ考えた末、従来から注力商品のハモを鍋セットにして出そうと決めました。
盛り付けをはじめ随所に料理職人の仕事が冴えわたる。
一新 この商品が現在の原型に当たるのですが、冷凍だと新鮮な野菜が入れられないのがネックに感じていました。
そこで「冷蔵で野菜を入れればお客様は用意する必要がないし、そのまま鍋に全部入れてすぐに食べられる方がよいのでは」という発想から、チルドパッケージとして現在と同じ形に発展したのです。
ハモの骨切りも本物の料理職人芸。
―当商品のこだわりを教えてください。
一新 原魚の新鮮さにはもちろん自信があります。タイもハモも高級厳選魚ですから、活魚車で泳がせながら生きた状態で市場に持ってきたものを採用しています。
そして、市場の中で生き締めされた魚を代車で場内の自社加工場に運びすぐに調理しているため、パッケージ化までの時間が極めて短いという大きなアドバンテージがあります。
高級旅館でいただける最上級のタイ料理を家庭で味わえる。
―味付けはいかがでしょうか。
一新 当商品はだしが最大のセールスポイントです。実は、根っからの魚市場スタッフが調理するのではなく、もともと昔から取引のあった料亭の料理長を歴任した本物の職人さんを誘致して、作ってもらっています。
そのため、同封のだしも市販のものではなくプロの技で仕上げたものです。魚に香ばしい焼き目をつけてから大きな鍋に入れて、それをベースに独自の調合でだしを仕上げていく本格的な料亭の味を再現しています。
「だしだけを売ってください」とご要望があるくらい、だしにこだわった商品です。鍋の後におじやで締めていただければ、2度ぜいたくなおいしさを堪能できますよ。
―今後の展望をお聞かせください。
一新 ハモは比較的安定した仕入れが可能なのですが、タイの方はいつでも必ず調達できるものではありません。自然界の魚を原料にしているため、現在では完全受注生産にしています。
今後はお客様のご要望に応えて安定供給できるよう、マンパワーの拡充を進めながらできる限り新商品の開発にも取り組んでいきたいと思います。
―本日はありがとうございました!
「きらびき工房 天然鳴門鯛 鯛しゃぶセット」(チルド、3~4人前)
価格:¥13,500(税込)
店名:西川商店
電話:088-622-4062(土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://tokushima.shop19.makeshop.jp/shopdetail/000000000195/011/O/page1/order/
オンラインショップ:http://tokushima.shop19.makeshop.jp/
「きらびき工房 ハモ鍋セット」(チルド、3~4人前)
価格:¥13,500(税込)
店名:西川商店
電話:088-622-4062(土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://tokushima.shop19.makeshop.jp/shopdetail/000000000194/011/O/page1/order/
オンラインショップ:http://tokushima.shop19.makeshop.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
一新太郎(徳島魚類株式会社 代表取締役)
1968年徳島県生まれ。1991年同志社大学経済学部卒業後、京セラ株式会社に入社、本社で広報宣伝部に勤務。その後、帰郷して2003年に徳島魚類有限会社(現・徳島魚類株式会社)に入社。2020年に同社代表取締役に就任し、現在に至る。
<文・撮影/田中省二 MC/澤水拳太 画像協力/徳島魚類>