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こだわり原料と伝統製法で造る「日本一 香り醤油」「日本一スパイス」

2024/06/19

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、「日本一」と記された高級感ある醤油。材料、製法、味わい、日本一の秘密を、株式会社岡直三郎商店 代表取締役の岡資治氏に、取材陣が伺いました。

株式会社岡直三郎商店 代表取締役 岡 資治氏
株式会社岡直三郎商店 代表取締役の岡 資治氏

―1787年の創業とか。これまでの歩みをお聞かせください。

 群馬県大間々で醤油醸造荒物販売業を始めた近江商人です。近江商人は、自宅と会社のある場所を分けることが多かったんですね。確かな記録があるのが1787年ですが、もう少し古くから共同経営のような形で商売は初めていたようです。いわゆる行商ですね、滋賀県の産物を隣の岐阜県に売りに行き、岐阜県の物をさらに隣の愛知県に持っていくというような。栃木県で醸酒・売薬をしていたという記録もあります。

本居のあった滋賀県の日野という地域は、「千両店(せんりょうだな)」と呼ばれ、千両たまったら次の場所で次の事業をするというような習慣がありました。三重県の松阪などに拠点を作って海運や造酒業をやったなどという記録が残っています。

今の東京・町田に工場を作ったのが1919年。1971年、私が中学2年生のとき、本居を滋賀から町田に移しました。現在は町田に本社を置き、大間々には国の登録有形文化財に登録されている工場店舗兼主屋と文庫蔵があります。

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東京町田市にある本社の一角は木桶を加工した展示コーナーとなっており、
商品は店舗内で購入できる。
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創業の地、群馬県みどり市大間々町には、
木桶仕込み・天然醸造で醤油造りを続ける工場と店舗、文庫蔵がある。

―社長は8代目ですか?

 そうなりますね。直系だけでなく間に養子さんも入っていますが、基本的には岡家が継いできました。私も生まれたころからいずれは継ぐことになるという意識があり、東京農業大学の醸造学科で専門的に学びました。

卒業後は、そのまま自社に入らず、学校の就職課に相談をして食品メーカーに入社しました。今は長野県に移りましたが、当時は東京・府中に本社のあったエイワというマシュマロの会社です。商品開発を行う部署に5年間いました。研究開発にも携わっていましたので、当時の専門的な知識は今も役立っているように思います。

1985年に戻ってからは、会社に必要なことをすべてする、何でも屋のような立場でした。税理士と話をしたり決算書を読んだりするために、簿記を勉強しましたし、設備として必要だったのでボイラー技士の資格も取りました。そうして現職に就いたのが2000年です。

―社長になられてどのような取り組みを?

 私が戻ってきたころ、伝統的な製法で醤油を造ってはいましたが、原料は脱脂加工大豆、工場も清潔とは言えない状況でした。そこで、コンサルタントにも入ってもらって有機の丸大豆と国産の有機小麦を使った本格的な醤油づくりに挑戦。「日本一しょうゆ」の完成以後、新商品の開発にも力を注ぐようになりました。大間々の工場はHACCP(国際的な食品管理方法の衛生基準)に基づき、ISO22000やFSSC22000(食品安全マネジメントシステム)、有機JAS認証を取得するなど、安心安全への取り組みも強化しました。

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仕込み蔵の見学を随時受け付けている大間々の工場。

―もう少し詳しくお願いします。

 食品工場では、害虫や農薬の混入などが度々問題になりますね。うちの大間々の工場を思ったとき、正直、衛生面に自信がありませんでした。「お宅の工場には蜘蛛やネズミなどいませんか?」と聞かれたとき、言葉に詰まってしまい……。その時は廃業が頭によぎりましたよ。けれど、東京オリンピックの開催が決まり、HACCP等に対応した施設整備のため、やるなら今しかないという時期でした。10年以上かかりましたが、明治以来の大改修を敢行。今では仕込み蔵の見学も大歓迎、古民家再生技術によって生まれ変わった店内でのお買い物も楽しんでいただけます。

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古民家の風合いを残した趣ある店内で買い物ができる。

―「日本一しょうゆ」についても詳しくお聞かせください。

 うちは木桶で発酵熟成させる伝統的製法で醤油を造っていましたので、製法はそのままに、原料を国産丸大豆と国産小麦に変更。日本一しょうゆ名称の、国産有機濃口しょうゆ(一番しぼり)、国産有機再仕込しょうゆ(二段仕込)には、国産の有機丸大豆、有機小麦を100%使用しています。最上原料を使い、自然の温度変化で発酵熟成させる天然醸造の醤油なら「日本一」と名付けてもいいだろうということで完成しました。

国産丸大豆しょうゆ、国産有機濃口しょうゆ(一番しぼり)、国産有機再仕込しょうゆ(二段仕込)、たまりしょうゆ、生揚(きあ)げ醤油(非加熱搾りたて醤油)といったラインアップ。ポン酢、めんつゆ、すき焼きのたれ、タマゴかけ醤油などの加工醤油も開発しました。

―「香り醤油」の誕生は?

 日本一しょうゆの中でも、シリーズのトップに立つような冠商品を、と作りました。生揚げ醤油の中でも、国産の有機丸大豆と国産有機小麦、国産塩と上質な原料を厳選。木桶で1年以上、じっくりと発酵熟成させたもろみを搾っただけの醤油です。加熱処理やろ過をしてないので、麹やもろみの香り、酵母が残ったままで、風味高く、複雑味があります。

お客様からは、豆腐にかけるのが良いという声が多いでしょうか。鯛やホタテなどの刺身もおすすめです。煮物など火を通す料理だと、せっかくの風味が消えてしまうのでご注意ください。

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たまり醤油にも近い色だが味わいは別物。
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もろみや麹の風味が強く、コクや深みのある味わい。
調味料というより素材と一体化するソースのような使い方が合いそう。

―「日本一スパイス」についてもお聞かせください。

 醤油は、もろみを絞って作りますが、その搾りかすにも旨みが残っています。工場見学の際、高く積み上げられた醤油粕を食べたお客様が「おいしいじゃない」とおっしゃって。以前の工場なら、異物混入の心配があったので廃棄していましたが、工場を改修してからは安全だと自信があったので、再利用してみようと思い立ちました。

乾燥させた醤油粕に、コショウやガーリック、唐辛子などのスパイスをブレンドした醤油味の和風スパイスミックス。ステーキやフレンチフライ、炒め物など万能に使える調味料だと思っています。うちの息子は卵かけごはんがおいしかったと言っていますし、野菜嫌いなお子さんが、これで作る野菜炒めは食べるというお客様もいます。

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醤油味のスパイスミックスといったところ。これ1本でパンチの効いた味付けができる。

―フレーバーもありますね。

 チーズ風味とわさび風味を作りました。外国人にはオリジナルより評判が良いんですよ。チーズ風味は、卵との相性が良いので、オムレツなどでお試しください。わさび風味は、火を入れると香りが飛んでしまうので、焼いたお肉や浅漬けなどに食べる直前にかけてください。

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お茶漬けにも合うわさび風味(左)と洋風料理にも合わせられるチーズ風味(左)。

―今後の展望をお聞かせください。

 工場をリニューアルしたのが2017年ですから、かなり後発で、シェアの拡大はこれからといったところです。木桶でじっくり熟成させますから、ステンレスタンクに熱をかけて半年で完成する醤油に比べると時間もかかるし価格も安くはありません。しかし、だからこその良さをわかっていただける方を増やしていきたいと思っています。お客様には、こだわりのラーメン屋さんが多いのですが、そういううちのファンが増えたら嬉しいです。

海外への発信も強めていきたいと思っていますが、そのあたりから息子の代にバトンタッチできたらいいですね。そうそう、ロサンゼルスの展示会に行ったうちの息子が、私が勤めていた食品メーカーの社長さんとばったり会って食事をごちそうになりました。私は、友だちが多いことも自分の財産だと感じています。人に助けられて今がありますから。

町田と群馬そして郷里の滋賀、3つの地元を大事にしながら、関わる人たちとのご縁を大切にしていきたいと思っています。

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次世代を担うのは息子の岡 宗晃氏。

―貴重なお話をありがとうございました。

「日本一 香り醤油」(150ml・冷蔵)

「日本一 香り醤油」(150ml・冷蔵)
価格:¥1,296(税込)
店名:日本一しょうゆ(株)岡直三郎商店
電話:042-722-2024(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://nihonichi-shoyu.shop-pro.jp/?pid=177623515
オンラインショップ:https://www.nihonichi-shoyu.co.jp/shop/

「日本一スパイス(80g)/わさび風味(70g)/チーズ風味(45g)」

「日本一スパイス(80g)/わさび風味(70g)/チーズ風味(45g)」
価格:
日本一スパイス/¥581(税込)
わさび風味/¥734(税込)
チーズ風味/¥702(税込)
店名:日本一しょうゆ(株)岡直三郎商店
電話:町田本社042-722-2024(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://nihonichi-shoyu.shop-pro.jp/?mode=cate&csid=0&cbid=2907685
オンラインショップ:https://www.nihonichi-shoyu.co.jp/shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
岡 資治(株式会社岡直三郎商店 代表取締役)

1958年滋賀県蒲生郡日野町に近江商人8代目として生まれる。1971年東京都町田市に移住。1980年東京農業大学醸造学科を卒業し、菓子メーカー研究開発部に入社。1985年株式会社岡直三郎商店入社、2001年に代表取締役就任。青年会議所、商工会議所、法人会、ロータリークラブ等市内諸団体の役職を歴任。地域のプロスポーツクラブや劇団等の支援やイベントの立ち上げ、運営等まちづくり活動をライフワークとしている。

<文・撮影/植松由紀子 MC/伊藤マヤ 画像協力/岡直三郎商店>

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