今回、編集長アッキーの目に留まったのは、秋田県で開発された酒米を、県内の自社田で育てて造った純米酒「純米酒 萌稲百田」「純米酒 萌稲一穂積」です。特に「百田」は、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024」と「美酒コンクール2023」で金賞を受賞しています。今回は、醸造元の秋田銘醸株式会社の代表取締役社長、京野學氏に取材陣がお話を伺いました。
秋田県で開発された酒米で造った純米酒、萌稲の「百田」と「一穂積」
2024/06/19
秋田銘醸株式会社 代表取締役社長の京野學氏
―創業の経緯を教えてください。
京野 弊社は1922年創業です。創業以前の秋田県産酒の流通は県内に限られてたそうです。そこで更に良い酒を造って、東京市場を開拓しようと、当時の政界、財界人が集まって作ったのが弊社です。
酒蔵から会社化するのが一般的ですので、最初から株式会社として立ち上げるのは、とても珍しいことです。
当時、秋田県の酒は、知名度が低く、品質の割に市場の評価も低かったため、東京市場へ打って出て、一気に評価を上げようとの意気込みだったようです。それだけ秋田の酒に対する自信と熱意があったのでしょうね。
ボトルラベルは、田んぼをイメージした爽やかなデザイン。
―8代目社長に就任されました。
京野 私は東京の学校を終えてから、しばらく大学院界隈でさまよっておりましたが、1979年帰郷し、湯沢ロイヤルホテルを創業しました。前社長の実兄の逝去をきっかけに、2021年8月に社長になりました。
そんな訳で、社長になってからの日は浅いのですが、ホテルで秋田銘醸のお酒を40年以上提供してきましたので、消費者が求めるお酒を良く分かっています。また、社外取締役として長年、秋田銘醸に関わってきましたから、造り手の気持ちも分かります。なお、祖父が3代目、父が6代目、兄が7代目、私が8代目です。
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024」メイン部門で2年連続金賞を受賞した「百田」。
―「百田」と「一穂積」を開発したきっかけを教えてください。
京野 弊社の主力商品、「爛漫」は熱燗で飲んで美味しい酒、という事をコンセプトにしてきました。しかし、今、消費者の嗜好は多様化し、熱燗よりも冷やで飲む酒を求める方々が増えています。また、メーカー名で選ぶのではなく、個別の銘柄や物語性で選ぶ傾向にあります。そこで弊社も遅ればせながら、個別のブランド、個別のコンセプトに取り組むことにしました。
その際に、新しいブランドには、新しい取り組みで、という事で、酒米は自社田で作る、その酒米の品種は秋田県農業試験場が、満を持して開発した品種を使おうではないか、ということになりました。テロワールを活かした日本酒を造る、ということです。
―お米作りは順調でしたか?
京野 平日は会社で働き、土日は家の農業を行なっている社員が多いため、酒米を作ることにも前向きでした。機械を使えばそこまで労力はかかりません。労力が必要なのは週に1〜2回で、あとは田植えや収穫のときに集中的に行ないます。
若い方やライトユーザー向きの一穂積。
あっさりと飲みやすく、優しい甘みを感じられる。後味すっきり。
―「百田」と「一穂積」の特徴を教えてください。
京野 「百田」はお酒を飲み慣れている方向きで、「一穂積」は若い方やライトユーザー向きです。「百田」のコピーは「芳醇な旨みとふくらみのある味わいと華やかな香り」、「一穂積」のコピーは「淡麗で米の甘みと酸味を感じるキレのある味わい」です。
「百田」は濃い・強い、「一穂積」はあっさり、という感想をよくいただきます。
特に「百田」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024」メイン部門で2年連続金賞を受賞しました。「美酒コンクール2023」でもリッチ&ウマミ部門で金賞を受賞しています。
どちらも、いわゆる磨き度(精米の際、玄米を削る割合)の高い酒ではなく、あえて、削りを少なくして、米本来の風味を保っていることが特徴です。
強い香りと旨味を感じられる「百田」。日本酒好きな方におすすめ。
―デザインがとても爽やかですね。
京野 最初にコンセプトを決め、広告会社の提案したデザインの中から、社内で協議して選んだのが「萌稲・MONE」です。「萌稲」のスローガンは「田んぼから作りました」です。
ラベルデザインもスタイリッシュで、若い世代にも受けが良いようです。田植え後のさわやかな青い田んぼをイメージしたのが「一穂積」です。「百田」は秋の、たわわに実った稲穂のゆらぐ田んぼをイメージしています。
また、2023年12月に「萌稲」の缶も発売(「純米酒 萌稲缶一穂積」180ml ¥440 税込)。気軽に手に取っていただけるサイズです。仕事帰りに買って、ご飯が出来る間に、飲んでいただきたいと考えています。
―今後のビジョンを教えてください。
京野 輸出に力を入れるため、2023年に海外事業部を開設しました。シンガポール、インドネシア、台湾、中国、アメリカ、オーストラリアなどに展開する予定です。
現在の海外市場は高級志向のようですが、弊社は限られた富裕層向けではなく、リーズナブルに飲めるお酒を提供して参りたいと考えています。
―秋田の日本酒が世界に広がるのが楽しみです。貴重なお話をありがとうございました!
「純米酒 萌稲百田」(720ml)
価格:¥1,210(税込)
店名:美酒爛漫 ネットショップ
電話:0120-73-5544(9:00~16:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.ranman.co.jp/i/133760
オンラインショップ:https://www.ranman.co.jp/ec-top
「純米酒 萌稲一穂積」(720ml)
価格:¥1,210(税込)
店名:美酒爛漫 ネットショップ
電話:0120-73-5544(9:00~16:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.ranman.co.jp/i/133620
オンラインショップ:https://www.ranman.co.jp/ec-top
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
京野學(秋田銘醸株式会社 代表取締役社長)
1946年生まれ。学習院大学大学院人文学修士課程修了。1979年帰郷し、湯沢ロイヤルホテルを創業。経営に当たりながら、秋田銘醸6代目である父の正樹氏を取締役統括部長として補佐。兄の勉氏社長就任に伴い非常勤になり、ホテルやその他で販売拡大に尽力。兄の逝去をきっかけに2021年8月から現職。座右の銘は「散花結実」。
<文・撮影/林本直 MC/石井みなみ 画像協力/秋田銘醸>