今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、日本の缶詰製造発祥の地、長崎県でつくられる九州産のサバ缶。地元特産品の温州みかん、甘夏みかんの缶詰製造も手がけています。長崎からグローバルに展開するモノづくりについて、相浦缶詰株式会社 代表取締役 加納洋二郎氏に取材陣が伺いました。
食卓を彩るプレミアムな缶詰「九州産サバ缶 4種セット」と「温州みかん・甘夏みかんセット」
2024/06/20
相浦缶詰株式会社 代表取締役の加納洋二郎氏
―会社の沿革を教えてください。
加納 1949年に父が創業し、今年で75年目になります。戦後の混乱期に、水産業の大手企業の子会社だった缶詰工場を買い取ったのがはじまりです。長崎は缶詰発祥の地といわれており、当時は軍隊に物資を支給する役割が主体でした。その後、九州で水揚げされるサバや、地元の特産品の温州みかんなどの缶詰づくりをはじめて、1980年代以降は、海外向けの缶詰製造にも取り組んでいます。
―転機となったできごとは?
加納 2011年の東日本大震災が、缶詰業界のひとつの転機になったように思います。それまでは、レトルトパウチや冷凍食品が主流になり、缶詰の存在はなくなるとまでいわれていて、このまま缶詰製造だけを続けていくことに不安もありました。ところが、震災がきっかけで缶詰が注目を集めたのです。缶詰は常温で長期保存できますし、開けてそのまま食べられる。当時、非常食として缶詰を手に入れた方が、食べてみたら意外においしかったと。これまで口にする機会が少なかった方も、震災を機に常備する人が増えたことで、缶詰の需要が高まったのかもしれません。
―缶詰の製造時、工夫していることはありますか?
加納 加工時に出る廃棄物をなるべく再利用しているところです。サバを缶詰に加工する際、頭や尾、内蔵などを取り除きます。缶詰には入れませんが廃棄はせず、養殖マグロやハマチのえさとして利用し、無駄なく活用します。柑橘系の缶詰だと、みかんの皮を乾燥させて陳皮に。陳皮は、七味唐辛子の原料やカレールーの発色剤などに使われています。廃棄物を有効活用し、食品ロスをおさえる取り組みにも力を入れています。
鮮度のいいサバを缶詰に。骨までやわらかく、栄養をまるごと摂取できる。
―九州産サバ缶の特徴は?
加納 シンプルな水煮と、日本人に馴染みのある味噌煮・醤油煮、濃厚なトマト煮の4種あります。味付けには九州産の調味料を取り入れ、少し甘めの九州醤油や麦みそなどを使っていて、地元九州の味を詰め込んだ商品です。
また、弊社は西日本で唯一の青物缶詰(サバ・イワシ)の製造拠点です。九州北部や東シナ海、太平洋など、さまざまな海域のサバが九州で水揚げされます。時期や旬を見極め、おいしいサバを厳選して仕入れ缶詰に加工しています。
シンプルな味付けでアレンジしやすい「九州産サバ缶(水煮)」。
九州醤油の甘みとサバの旨味を味わえる「九州産サバ缶(醤油煮)」。
甘さとコクのある麦みそを使用した懐かしい味「九州産サバ缶(味噌煮)」。
和洋どちらでも合わせやすい「九州産サバ缶(トマト)」。
―サバの缶詰でトマト煮は珍しいのでは?
加納 創業時、主に海外向けに「イワシのトマト漬缶詰」を作っていました。青魚とトマトの相性は抜群で、現在でも欧米はもちろんのこと、かつての輸出先であったマレーシアやインドネシアでも、トマト味が大変人気です。国内だと千葉県・長崎県で需要が高く、これは長崎でイワシのトマト缶の輸出が盛んだったことと、千葉の銚子港でも海外向けに缶詰を作っていたからだと思われます。昔からトマト味に慣れ親しんだ人たちにとっては、トマトが一番おいしいと感じるようです。
ブランド名「旬ほとぎ」には、
“旬のおいしさをいつでもどこでも味わってほしい”という想いが込められている。
―「温州みかん・甘夏みかん」はどのような商品ですか?
加納 九州産みかんを、はちみつ入りのシラップに漬けた缶詰です。温州みかんはライト、甘夏はヘビーと呼んでいますが、これは甘さの違いです。甘夏は温州みかんよりも酸味が強く苦みがありますので、その苦みを活かしつつ、はちみつ入りのシラップでバランスのいい味に仕上げています。
太陽をたっぷり浴びて育った、九州産の温州みかんを缶詰に。
甘夏みかんは、大きな身が入っていてフレッシュな味わい。
―特徴を教えてください。
加納 温州みかんは、大粒の身が入っていてプリプリとした食感です。お子様からご年配の方まで、幅広い方においしく召し上がっていただけます。甘夏は収穫時期や地域にもこだわり、素材のもつ苦みを活かして上品な味わいに仕上げています。どちらも素材の風味を楽しめる缶詰ですので、おやつやお菓子づくりなど、いろいろなシーンでご活用いただければと思います。
温かみのあるパッケージデザインも魅力。
―今後の展望をお聞かせください。
加納 厳選した素材を仕入れ、丁寧に缶詰づくりを続けていきたいと思います。長年、お取引のある大手メーカーとの協力体制を維持しつつ、自社ブランド商品の展開も少しずつ広げていきたいと考えております。
また、サバ缶のトマト煮のように、少しマニアックな味付けの商品開発に挑戦できるところが弊社の強みであり、小ロット製品の販売もネット通販なら実現可能です。長い歴史の中で培われた技術とアイデアを活かし、新商品の開発にもチャレンジしながら、お客様に喜んでいただけるモノづくりを続けて参ります。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「九州産サバ缶 4種セット【12缶・税込】」
セット内容:「伝統のサバ缶シリーズ」(水煮・トマト煮・味噌煮・醤油煮)が、各3缶ずつ入った計12缶
内容量:1缶あたり150g
価格:¥4,320(税込・送料込)
店名:相浦缶詰オンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://www.abccan.co.jp/collections/all/products/%E6%97%AC%E3%81%BB%E3%81%A8%E3%81%8E-%E3%81%8A%E8%A9%A6%E3%81%97%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-br-%E6%B0%B4%E7%85%AE-%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88%E7%85%AE-%E5%91%B3%E5%99%8C%E7%85%AE-%E9%86%A4%E6%B2%B9%E7%85%AE%E5%90%84%E7%A8%AE3%E7%BC%B6-%E9%80%81%E6%96%99%E8%BE%BC
オンラインショップ:https://www.abccan.co.jp/collections/all
「温州みかん・甘夏みかんセット【6缶・税込】」
セット内容:温州みかん・甘夏みかん各3缶ずつ入った計6缶
内容総量:1缶あたり295g
価格:¥2,700(税込・送料込)
店名:相浦缶詰オンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://www.abccan.co.jp/collections/all/products/%E6%B8%A9%E5%B7%9E%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%82%93-%E7%94%98%E5%A4%8F%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%82%93%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-br-6%E7%BC%B6-%E7%A8%8E%E8%BE%BC-new
オンラインショップ:https://www.abccan.co.jp/collections/all
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
加納洋二郎(相浦缶詰株式会社 代表取締役)
長崎県生まれ。1949年、「いわしのトマト漬缶詰」を生産する缶詰工場として、長崎県佐世保市相浦にて父親が創業。1998年に代表取締役就任。「生業(なりわい)を通じて、従事する人々の生活の安定と人間力の育成を図ることが地域貢献の基本」を企業理念に掲げ、“HEART TO HEART”の精神で、喜びを分かち合える風通しのよい会社経営を目指している。
<文・撮影/香川けいこ MC/伊藤マヤ 画像協力/相浦缶詰>