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170年以上も支持されている福島の老舗の愛される和菓子「柏屋薄皮饅頭 こしあん」

2024/06/24

今回、編集長アッキーが気になったのは、日本三大まんじゅうのひとつである「柏屋薄皮饅頭」。株式会社柏屋 代表取締役社長の本名創氏に商品が長きに渡って支持される理由を取材陣が伺いました。

株式会社柏屋 代表取締役社長 本名創氏
株式会社柏屋 代表取締役社長 本名創氏

―会社の沿革を教えてください。

本名 1852年創業、今年で172年目で私が6代目になります。過去帳をさかのぼると本名家としては21代目で、命を繋いできてくれて今があることをありがたく思います。

当社のある郡山は宿場町だったので柏屋も元は旅籠でした。そこの1階で茶屋をやっていたらしく、饅頭を蒸して出していたというのが始まりです。初代の善兵衛はもともと仙台藩士の次男でしたが、旅籠の娘であった先祖に一目惚れをしたのか、婿に入れてほしいという話になりました。その際、京都に行ってお菓子の修行をしてきたら婿入りを認めるという条件を出されました。初代は当時、東北では珍しかったこしあんの製法を学び、柏屋薄皮饅頭を作り上げました。今の薄皮饅頭は茶色ですが、創業当初の薄皮饅頭は白いお饅頭でした。

その後、第2次世界大戦を迎え、職人さん達は徴兵され、企業整備令が施行されたため、菓子屋を続けられなくなりました。戦争が終わって、菓子屋を再開できるようになりましたが、白い砂糖が手に入らなかったんです。そこで黒糖で作ってみると白いお饅頭よりもしっとりとして風味が良く、おいしいお饅頭ができました。それから茶色い薄皮饅頭でやっていこうということになり、今に至ります。

また、4代目である祖父は子どもの頃、両親が朝から晩まで働いているのを見て、人間の代わりにお饅頭を作ってくれる機械があればと考えるようになりました。大人になってもその夢を諦めず、世界初のお饅頭を包む機械「自動包あん機」を発明します。人の手で作ると、1分間で10個も作れませんでしたが、機械だと1分間に40個以上作れるようになりました。饅頭に限らず、包むことを必要とする食品業界における産業革命といっても過言ではありませんでした。

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東北ふくしまの代表銘菓を作り、江戸時代から続く。

―小さい頃から家業を継がれるつもりだったのでしょうか。

本名 先代の父から仕事の場に連れて行かれることは多くはなかったですが、普通の子どもよりは経営者の方達と触れ合う機会やお客様の前に出るということは多かったと思います。小学校の頃は、友達からお菓子屋をやっていることを羨ましがられました。この頃から跡を継ぎたいという気持ちはあったのですが、大学に入ってから音楽がやりたくなって、大学も中退してしまいました。しかし父はその時何も言わずに応援してくれたのです。

バンドが解散して、東京でやるべきこともなくなり、福島に帰りました。しばらく考え続ける日が続きましたが、今まで好きにさせてくれたことへの恩返しをしようと、会社に入りたい旨を伝え、25歳の時柏屋に入りました。当時まだ元気だった祖父がとても喜んでくれたのを覚えています。

―毎月開催されている「朝茶会」が大人気だそうですね。

本名 朝茶会は1月を除く毎月1日朝6時~8時まで柏屋本店2階で開催しています。
手づくりの薄皮饅頭と季節のお菓子を食べながら会話を楽しめる場として、多くの方に親しまれています。40席ぐらいのところに400人前後のお客様が毎月いらっしゃるので、お客様にはご相席をお願いしています。1時間半~2時間くらい並んでいらっしゃる方もいます。4月は500回記念の会でしたが、京都、滋賀、鹿児島から来られた方もいらっしゃいました。

―企業として大切にしていることをお聞かせください。

本名 柏屋には家訓が200個程あるのですが、その中でエッセンスになるようなものを31個抜き出して、日めくりカレンダーにしています。特に私が好きな言葉が「暖簾は革新」です。「暖簾は守るものではなくて塗り替えるもの」という意味で、軸にしてきた言葉です。変わり続けなければ企業は存続し続けることができません。そして一番大切にしているのは信用です。何を変えてもいい、なんならお菓子屋じゃなくてもいいけれど、お客様に対する信用だけは守らなくてはいけない。取引先様、材料を仕入れさせていただいている業者様に対してもちゃんと心を配らなければいけないということは祖父や父から言われてきたことで、一番大事なことだと思っています。

―今回ご紹介させていただく「柏屋薄皮饅頭 こしあん」はどういった経緯で誕生したのでしょうか。

本名 こしあんを作るということは小豆の皮の部分を捨てることになるので、創業当時は、もったいないと考える人が多かったと思います。でも、創業者はこしあんのおいしさを東北に伝えなくてはいけないと考え、他のお菓子屋さんが一般的な皮とアンの比率で饅頭を作る中、あんこをたっぷり入れて皮を薄くするという形で差別化を図りました。

一般的なお饅頭のあんこと皮の比率ってあんこが3に生地が1ぐらいなのですが、うちの薄皮饅頭の場合は4.5対1です。本当にあんこたっぷりで、しかもこし餡という見たことがないあんこが入っているお饅頭が東北に誕生したので、話題になったのだと思います

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黒糖風味の香ばしさがふわっと香るしっとりとした「薄皮」。

―日本三大まんじゅうと言われています。

本名 筆頭が日本で初めてお饅頭を作られた塩瀬総本家さんで、歴史はまもなく700年です。もう一つが岡山県の大手まんじゅうさんで180年以上の歴史があります。なので、当社は三大まんじゅうの中だと一番末っ子なのですが、うれしいと同時に責任も感じています。饅頭文化をもっと後世に伝えていく、世界に伝えていく、そういったことに対して我々が旗振りをして、饅頭業界がもっともっと元気になっていかなければならないという気持ちでいます。

―こしあんの特徴を教えてください。

本名 自家製餡ですが、日本のお菓子屋さんで自家製餡を行っているところは全体の2割以下と言われます。当社は小豆の仕入れから製餡まですべてを自社で行っています。
必ず毎年、北海道の小豆の産地にお邪魔して、畑を見せていただいて、品質を確認していますが、自然に左右されるので年によって出来が違います。商品の味を安定させたいので、品種と地域の違う小豆を使用し、それらをブレンドしています。

和菓子は8割があんこで決まると言われ、心臓部なので、しっかりメンテナンスや設備投資をしています。

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「こしあん」は、上品でなめらか、口どけのよさとさらっとした甘味。

―お客様からの声で印象に残っているものはございますか。

本名 お客様のお父さんやお母さんが亡くなる直前、「何も食べられなくなったときに、薄皮饅頭だけは食べられた、最後に大好きな薄皮饅頭を食べられて幸せだったと思います、ありがとうございました」という話を少なくない方から伺うことがあります。

最後の晩餐に薄皮饅頭を選んでくださる方がいらっしゃるのがとてもありがたくて、お客様を裏切らない、信用を守るということがやはり大事なのだとあらためて思いました。

―社長一押しの食べ方を教えてください。

本名 フィルムをはがさずに15秒、レンジでチンすると、蒸し立てに近い味わいを楽しめます。
また、薄皮饅頭を半分に切って、そこに切れているバターを挟んで食べる、あんバターも美味しいです。

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お茶はもちろんコーヒーと合わせても美味しい。

―最後に今後の目標や会社のビジョンを教えてください。

本名 お饅頭という文化を未来に繋いでいくことが使命だと思っておりますので、会社の活動を通して貢献していきたいと考えています。そのためには、和菓子に興味がない人にも興味を持っていただく必要があり、和菓子に“かわいい”をインストールしたいと思っているんです。去年出した商品で「柏屋薄皮饅頭 ついつい」というのがあります。中身は何にも変わってないのですが、手のひらサイズの可愛らしい小箱に入れました。小箱には、ふくしまの観光名所などのモチーフが描かれています。赤べこ、会津 鶴ヶ城、白河だるま、三春 滝桜、フラガールの5種類です。

また、海外の方にも興味を持っていただけるような和菓子を作っていく、発信していくっていうことができれば、和菓子を未来に繋ぐことができるんじゃないかと考えています。

―貴重なお話をありがとうございました。

「柏屋薄皮饅頭 こしあん」10個入

「柏屋薄皮饅頭 こしあん」10個入
価格:¥1,593(税込)
店名:柏屋
電話:0120-39-0147(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.usukawa.com/c/usukawa_koshi/00139
オンラインショップ:https://www.usukawa.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
本名創(ほんな そう)(株式会社柏屋 代表取締役社長)

1980年9月生まれ、2006年株式会社柏屋入社。店長、商品企画、工場長を歴任し、2021年代表取締役社長就任。就任以来、「暖簾は革新」「不易流行」に代表される家訓の下、新商品開発、社内制度改革に精力的にチャレンジしている。

<文/垣内栄 MC/伊藤マヤ 撮影/坂口明子 画像協力/柏屋>

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