良質な砂糖にこだわって70年。砂糖の専門店がつくる風味豊かなリキッドタイプの砂糖に編集長アッキ―こと坂口明子が注目。コーヒーや紅茶のみならず、調味料としても使いやすい1本は、「気軽に砂糖を楽しめるように」という思いが込められています。製造元の株式会社竹内商店 代表取締役の竹内信一氏に取材スタッフがお話を伺いました。
ドリンクにも料理にも。豊かな風味と香りを添える砂糖専門店のリキッドシュガー「AQUA(アクア)」。
2024/06/24
株式会社竹内商店 代表取締役の竹内信一氏
―御社の沿革を教えてください。
竹内 1954年、砂糖専門の卸問屋として創業しました。今年の1月でちょうど会社は70歳。私が3代目になりますが、ずっと変わらずに砂糖だけを取り扱っています。全国的に見ても珍しい、面白い会社かなと思います。
実は創業当初、販売先は和菓子屋さんや調味料メーカーさんなどが主だったので、「砂糖以外に小豆やきな粉などは取り扱っていないの?」と聞かれていたようです。でも、どこまでも砂糖1本にこだわり続け、今の時代になって、それが当社の強みになっています。
MARUKICHI SUGARを代表する成形したお砂糖。キューブ型。
富士山のほか、コーヒー豆、
ハートなど見た目もかわいらしい砂糖が揃う。
―創業当時は、砂糖が貴重な時代ですか?
竹内 いえ、砂糖は明治時代に広まったと言われています。なので、70年前は一般の方たちに砂糖が行き渡っていた時代です。ただ、日本で取れる砂糖の原料は、沖縄で作っているサトウキビか北海道のてんさい(甜菜)のみ。気候などの影響もあって、本州で作れるものではありません。そのため、原料調達は輸入に頼ることも多いのが現状です。
特に近年、「砂糖は太る」といったネガティブな声も聞こえてくるため、砂糖のマーケットは緩やかに縮小しています。その一方で、砂糖の中には精製された白い砂糖(精製糖)だけではなく、産地の味わいが生きる未精製の砂糖(黒砂糖、てんさい糖など)も多くある。会社を継いで砂糖について学んでから、それを皆様に知ってほしいという思いが芽生えました。
同時に、昔は鯛の形に成形された砂糖など、おめでたい席などで砂糖菓子を贈る伝統文化が日本にはあります。それが徐々になくなってきている。日本独自の文化が廃れていってしまう中で、70年間、砂糖だけを扱ってきた会社として何ができるのか。それを考え、砂糖に注目してもらえるように、「MARUKICHI SUGAR(マルキチシュガー)」というブランドを立ち上げました。コーヒ豆やハートといったかわいらしい形や会社のロゴマークなどに成形した固形の砂糖などを取り扱っています。
ドリンクのシロップとしてもお料理の調味料としても使える「AQUA」。
3種類を味比べしても楽しそう。
――「AQUA」シリーズも「MARUKICHI SUGAR」の商品です。
竹内 「AQUA」はリキッドタイプの砂糖になります。先程も触れましたが、「MARUKICHI SUGAR」は、成形した砂糖作りから始めました。でも、成形した砂糖は、基本的に温かいものにしか使用できません。そのため、梅雨時期から夏場にかけて注文がぐっと減少します。
そこで、アイスドリンクに使えるシロップをつくろうと考えたのが製作のきっかけです。アイスコーヒーやアイスティーの「味わいをぐっと広げられるようなシロップ」をコンセプトに開発しました。ただ、液体シロップの商品化は苦労もありまして……。
―どのような点ですか?
竹内 糖度のバランスです。液体のものは固形の砂糖よりも糖度が低い。そうすると作業工程の中で、様々なリスクが発生してしまうことがあります。それを抑えるには、糖度を上げる必要がありますが、高すぎると砂糖の結晶に戻ってしまう。
そうならないように水飴などを使うことがありますが、当社は一切使用していません。それはこだわりです。そのため、奇跡のような絶妙なラインの糖度にして、シロップにしています。
―こだわり抜かれた「AQUA」の原料は3種類です。
竹内 当社の基本である「含蜜糖」3種の中の2つ「01」、「03」と「氷糖蜜」です。それぞれに特長があります。「01」は、沖縄で育ったサトウキビから作った未精製の国産砂糖です。乳白色の美しい色合いと、和三盆に近い風味があります。柔らかい味わいなので、ミルクにとても合う。お菓子作りの原料などにも用いられことが多いです。
「03」はオーストラリアで育ったサトウキビが原料。何にでも合う万能なタイプで、コクがあり後味はあっさりしています。優雅な風味です。「氷糖蜜」は、グラニュ糖から氷砂糖が作られた後に残る糖蜜です。コクのある甘さを持っています。
アイスティーと相性抜群の「01」。
「03」はアイスコーヒーに合わせてみるのがおすすめの楽しみ方。
―おすすめの合わせ方は?
竹内 「01」はアイスティー。「03」はアイスコーヒーが合います。これは、本当におすすめできるので、ぜひ、合わせてみていただきたいです。「01」に関しては、私たちがテイスティングをしたときに、市販の無糖アイスティーを使って「入れる・入れるない」で飲み比べをしました。
まず、香りの立ち方。これが、まったく違う。その場にいたスタッフがみな、同じ感想を持つほどで、こういう「楽しみ方もできるんだ」と驚きました。「03」はアイスコーヒーの味わい自体を引き立ててくれますし、「氷糖蜜」は牛乳などに加えると優しい甘さを加えてくれます。
こんなふうに、味全体をひとつにまとめながらも奥行きを出せるのは、未精製の砂糖の力。これまで体験したことのないような味わいなども楽しめます。
トーストにかけるとほどよい甘さのシュガートーストが誕生。
何枚も食べてしまいそうです。ヨーグルトにはコクも風味もプラス。
―飲み物以外での楽しみ方・使い方は?
竹内 黒蜜のような色味ですが、そうではないので様々な食材、料理に合わせられます。中でも「01」「03」に絞ってお話をすると、まずはヨーグルトやフルーツ。ほのかな甘さが加わり食べやすくなると思います。
それからパンケーキ。メイプルシロップのようにかけていただくと、AQUAの風味を楽しんでいただけます。シンプルにトーストもおすすめです。トーストにバターを塗って、ザーと「AQUA」をかけるとシュガートーストになります。変わり種で言うと、ドレッシング。バルサミコ酢と「03」を合わせてサラダにかけるとおいしいです。
また、抵抗があるかもしれませんが、お豆腐も試していただきたい。「01」をたっぷりとかけると、ヘルシーなスイーツのようになります。「01」がお気に召したら「03」も、ぜひ。「03」の方が味わいは強いのですが、おいしいです。
―最後に、今後の展望をお願いします。
竹内 砂糖の良さ、おいしさを多くの皆様に知っていただくこと。良質な砂糖にこだわって、新しい砂糖の形を皆様にお届けしていきたいと思います。まずは、しっかりと日本で足場を固めながら、いずれは海外にも提案できればうれしいです。
砂糖菓子を贈る文化は、海外の人から見ると驚くようですが、かわいらしく成形された砂糖などは受け入れてもらいやすい。大切な日本の文化を守りながら、アレンジしながら、砂糖の可能性を広げていきたいと思います。
―貴重なお話をありがとうございました。
「AQUA(Short)01」(140g)
価格:¥801(税込)
店名:MARUKICHI SUGARオンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.marukichi-sugar.com/items/33058539
オンラインショップ:https://shop.marukichi-sugar.com/
「AQUA(Short)03」(140g)
価格:¥801(税込)
店名:MARUKICHI SUGARオンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.marukichi-sugar.com/items/33058591
オンラインショップ:https://shop.marukichi-sugar.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
竹内信一(株式会社竹内商店 代表取締役)
1966年埼玉県生まれ。大学卒業後、凸版印刷(現TOPPAN)に入社。15年間、主にパッケージ関係の営業として勤務。2005年に家業である竹内商店へ入社。2006年に同社代表取締役に就任。砂糖離れが加速する現状において、新商品開発のみならす、ワークショップなどで啓蒙活動にも注力している。
<文/青柳舞子 MC/三好彩子 画像協力/竹内商店>