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一度食べたらやみつきに!サクッと香ばしいおかき「丹尺」と醤油がしっかり染みこんだ「しみてるおかき」

2024/06/26

今回、編集長アッキーが注目したのは、横浜にある「株式会社美濃屋あられ」の米菓。その歴史や、もち米100%にこだわった「あられ」や「おかき」にかける想いを、3代目である小森秀一氏に伺ってきました。

株式会社美濃屋あられ 代表取締役の小森秀一氏
株式会社美濃屋あられ 代表取締役の小森秀一氏

―創業は1957年。御社の歩みをお聞かせください。

小森 「株式会社美濃屋あられ」としての創業は1957年ですが、歴史はもっと古く、戦前にまで遡ります。初代である私の祖父は4人兄弟の四男。生まれ故郷は岐阜県美濃ですが、次男と三男が、横浜の米菓店で丁稚奉公をしていました。その後、米菓のつくり方を覚えた兄たちが兄弟を呼び寄せ、4人で小さなおかき屋を始めました。それが1921年のことです。

ところが戦争が始まると原料である米が統制されたり、横浜も空襲で焼けてしまったりして、店を閉めざるを得なくなりました。それでも戦後、長男が「もう一度始めよう」と横浜市上大岡に「美濃屋あられ総本舗」を設立。祖父に加えて、父も定時制高校に通いながら昼間は丁稚として働いていました。そして1957年、父が高校を卒業すると同時に、暖簾分けという形で創業したのが「株式会社美濃屋あられ」です。

―「美濃屋あられ総本舗」も、今も続いているのでしょうか?

小森 1987年に弊社と合併しました。もう1軒、4兄弟の次男が始めた「株式会社美濃屋あられ製造本舗」さんが横浜市中区にありますが、現在は別の道を歩んでいます。

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米本来の風味をいかした昔ながらの「あられ」や「おかき」の味わいを守り続けて60余年。
横浜市内に直営店と姉妹店を展開する「株式会社美濃屋あられ」。

―3代目として家業を継がれることは、若い頃からお考えになっていたのですか?

小森 それがそうでもないんです。私は末っ子長男で「跡継ぎだ」と言って育てられたので、何となく刷り込まれてはいました。子どもの頃は工場と住まいが一体となっていて、祖父や父が休みなく働く姿をよく目にしていて。仕込みが始まる朝早くから土曜も日曜も関係なく機械がガタガタと動き出す、という日々で、忙しいときには私もよく手伝っていました。そういうことへの反発心もあって、平日はスーツ姿で電車通勤、週末はきちんと休むサラリーマンに憧れた時期がありました。

でも専門学校時代に大きな事故をしてしまって、父にすごく迷惑をかけてしまったんです。それまで私はちゃらんぽらんで、いい加減なことばかりしていたのですが、何とか父に恩返しをしなければいけないと考えたときに「家業を継ぐしかない」と思いました。それでもやっぱり会社勤めを経験しておきたい気持ちはありましたので、勉強も兼ねて一度外に出させてもらい、24歳で家業に入りました。

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商品はもち米の風味が引き立つサラダ味から唐辛子をピリッと効かせた辛口まで約30種類。
お茶請けにもおつまみにも◎!

―企業として大切にしていることは何ですか?

小森 自分も食べることが好きなので、おいしいことは大前提なのですが、安全・安心であることも含めた「品質」を一番に考えています。職人として受け継いできた昔ながらの製法と生地のおいしさを守り続けていきたいという想いは持ちつつも、時代に合わせて進化していくことも必要だと思っています。

―製法へのこだわりを教えてください。

小森 やっぱり生地がおいしくないといけませんので、お米本来の甘さや香ばしい風味を生かせるような製法を心がけています。ですから原料であるもち米は当然、国産の水稲米100%。一度挽いて粉にしてから、生地を作っています。ここがメーカーごとに違うところで、丸粒のまま蒸して杵でついた方がいいという考え方もあるし、うちみたいに粉に挽いてから餅にした方がいいと言うところもあります。私たちの考えでは、粉にしたほうが焼いたときにふんわり柔らかく仕上がるんです。サクサクとした食感が出るので、あえてそういう製法にしています。

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ソフトな食感と口どけの良さは、長年の経験によって培われた職人の技術と勘の賜物。

―製造工程のなかで、最も気をつかう部分は?

小森 生地の乾燥です。生地を焼く前にしっかり乾燥させられるかどうかで、おいしさが決まると言っても過言ではありません。ベストは、ボロボロに崩れてしまう一歩手前のギリギリの状態。でも、そこを目指すのは容易ではありません。毎日同じように作っていても、その日の天候や湿度によって生地の状態が違うので、ジメジメした日はなかなか乾きませんし、カラッとしすぎているとあっという間に乾いてしまいます。乾燥具合によって味の染み方も違うので、その都度調整しながら仕上げています。

―人気NO.1のおかき「丹尺」は、どんな商品なのでしょうか?

小森 私が子どもの頃には既にありましたので、30〜40年ほど作り続けている商品です。焼いた生地にサラダ油をまとわせて天然塩をベースに味付けした“サラダ味”で、塩加減はあえて控えめにしています。味付けが濃いと食べた瞬間はおいしくても、2,3個食べると満足してしまうので。ちょっと物足りないくらいが丁度いいんです。ほどよい塩気とサクサクとした食感が相まって、ひとつ食べると次から次へと手が伸びてしまうような、後を引くおいしさに仕上げています。

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絶妙な塩加減がもち米の風味や生地の香ばしさを引き立てる「丹尺」。
サラダ油をまとわせることでコクとまろやかさも加わってやみつきに!

―「しみてるおかき」は醤油味なのですね。こちらもかなりの売れ筋だとか。

小森 こちらも20年ほど前からある商品です。もともと「黒松」という醤油味の堅焼きおかきを作っていて、これも人気だったのですが、あるとき直売店などで割れたり欠けたりした“こわれせん”を販売するようになったんです。割れたところに醤油が染みこんでいるのがおいしいということで、営業担当の社員からこういうものを商品として作れないかという声が上がって。わざと割った生地に醤油を染みこませようと提案したものの、当時社長だった父は「久助(=こわれせんなどの規格外品のこと)なんか作りたくない」と大反対。それならば、ということで試行錯誤の末、生地に穴を開けて焼き、そこに醤油を染みこませる製法を考案しました。そうして誕生したのが「しみてるおかき」です。

―先代のGOサインも得られたんですか?

小森 いえ、父は反対していました。本来、おかきの生地に穴が開くということは、乾燥がうまくできていない出来損ないです。さらに、当時原料には米だけでなくでんぷんも加えていましたので、職人肌の父は「そんな混ぜ物はしたくない」「そんなものはおいしくない」と言っていました。でも、商品化してみると徐々に人気が広がって、他社に真似されるまでになりました。とはいえ私も、もち米100%にはこだわりたかったので改良を重ね、今は国産もち米だけで作っています。そうすることで、もち米の風味が増してより良い味になりました。

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カリッとおいしい「しみてるおかき」。
生地に染みこませた低塩の特注醤油は、伝統的な寒仕込み製法でじっくり熟成させた深みのある味わい。

―できるだけ長くおいしく味わうための保存方法を教えてください。

小森 開封した後は、密閉性の高い容器に乾燥剤ごと移し変えるといいですよ。チャック付きの袋よりも、フタ付きのプラスチック容器がおすすめです。乾燥剤は出したままにしておくと部屋の湿気を吸収してしまうので、なるべく早めに容器に移してフタをしておくのが一番です。

―最後に今後のビジョンをお聞かせください。

小森 まだまだ時間はかかりますが、「横浜のメーカーといえば美濃屋あられ」と言ってもらえるような会社を目指しています。今、社員は43人いますけれど、まだ家族でがむしゃらに頑張っている“家業”のような形ですので、もう一段ステップアップした“企業”にしていきたいです。皆さんからおいしさでご評判をいただいて、それによって会社も成長していく——それが一緒に働く従業員の幸せや、地域や社会への貢献にも繋がるのではないかと思っています。

―本日はありがとうございました!

「丹尺」(100g)

「丹尺」(100g)
価格:¥324(税込)
店名:美濃屋あられ
電話:045-941-2041(9:00~17:00 土日祝除く)
WEBサイト:https://minoya-arare.jp/

「しみてるおかき」(100g)

「しみてるおかき」(100g)
価格:¥324(税込)
店名:美濃屋あられ
電話:045-941-2041(9:00~17:00 土日祝除く)
WEBサイト:https://minoya-arare.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小森秀一(株式会社美濃屋あられ 代表取締役)

1969年横浜生まれ。簿記専門学校を卒業後、会計事務所にて3年間勤務。1993年株式会社美濃屋あられへ入社。2009年社長に就任。【本物の味を伝え続ける横濱銘菓といえば美濃屋あられ】といわれるような企業になるべく、日々おいしい高品質な商品づくりを心掛けている。

<文・撮影/野村枝里奈 MC/伊藤マヤ 画像協力/美濃屋あられ>

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