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300年近く続く酒蔵のフラッグシップ「白心」。1年間氷温熟成させたまろやかでとろっとした日本酒。

2024/06/27

今回編集長アッキーの目に留まったのは、特別栽培米で作った純米大吟醸を1年間氷温熟成させた、「白心」。300年近く続く酒蔵「山梨銘醸株式会社」のフラッグシップ(製品の中でトップ)、年間2,000本限定の日本酒です。高級感あふれる化粧箱は、山梨県の染色作家古屋絵菜さんとコラボして作られました。山梨銘醸株式会社の代表取締役社長、北原対馬氏に取材陣が伺いました。

山梨銘醸株式会社 代表取締役社長の北原対馬氏
山梨銘醸株式会社 代表取締役社長の北原対馬氏

―300年近い歴史があると伺いました。

北原 弊社の創業は1750年です。元々は本家が長野で酒造業をしていました。本家筋だった中屋伊兵衛がたびたび江戸に行くとき、甲州街道沿いの宿場で宿泊していたそうです。

中屋伊兵衛が「この地域の水は大変おいしい」と感じていた中で、たまたま休業している酒蔵がありました。村の役人とも仲が良かったため「酒蔵を開かないか」という話になり、分家する形で創業しました。

以来、日本酒一筋でしたが、2000年に飲食店を開業、2013年から酒粕を原料にした焼酎の開発をはじめました。また、2014年からスパークリング日本酒をはじめ、その後も化粧品や発酵食品も手がけています。このように近年は、時代に応じて新しいことに挑戦しています。

―社長に就任した経緯を教えてください。

北原 私は創業者から13代目です。幼い頃から酒造りが身近にあり、酒造業を継ぐつもりでした。2004年に大学を卒業してアメリカに渡り、日本酒や焼酎の卸業務に従事します。3年間で1,000軒以上のレストランに日本酒や焼酎の営業を行いました。

2007年に弊社に入社し、主に営業や経営企画を中心とした業務をこなしました。代表取締役社長に就任したのは2018年です。

2007年に入社したときは、経営が苦しい状況でした。そこで2014年に、品質・価格・パッケージ・流通などすべてを見直す、大幅な商品改革を行ったのです。しかし、前社長である父と意見が対立したり、得意先から批判されたりなど、順調には進みませんでした。

それでも、考え抜いて決めたことなので、力強く進めました。そうすることで、お客様から支持を得て、得意先からも理解をいただけたのです。そこから現在まで、順調に成長を続けています。

―酒造りと、水へのこだわりを教えてください。

北原 創業期から唯一変わらないのが、白州(山梨県北西部、北杜市西部の旧町域)の井戸水を使った酒造りです。白州の名水を体現する酒造りがテーマです。お水の品質に沿った酒造りをしています。

多くの酒蔵はお米の種類や産地、精米具合を重視しています。一方で弊社が重視するのは水にふさわしいお酒造りです。ここが他社との大きな違いです。

香りが華やかですっきりとしたお酒を作っています。食事の流れの中で、乾杯から食前・食中までに合うお酒です。山菜、塩で味付けされた天ぷらや焼き鳥、お刺身など、淡いお料理と合わせられるようなお酒が得意です。

―なぜ白心を開発したのですか?

北原 白州のブランド・魅力を最大限大切にした魅力ある商品を、国内外の多くの方にお届けしたいという強い思いがありました。

白心は「メイドイン白州」で、白州にこだわり抜いたお酒です。地元の契約農家に夢山水というお米を作ってもらっています。農薬や化学肥料を、通常の半分以下の量で作っている特別栽培米です。大地の力を引き出すような作り方といえます。

この原料で純米大吟醸を作り、-5度で約1年間氷温熟成させました。氷温熟成することで、角がとれてまろやかになり、とろっとしたお酒になります。年間2,000本限定です。

そして、2023年11月7日に発売しました。弊社のフラッグシップの商品です。

最初に白ワイングラスなどで、華やかな香りを嗅いでいただきたいです。ぜひ冷やでお飲みください。料理は、山菜・きのこなどのお野菜と合わせてみてください。野菜の苦みや渋みを、白心の甘みやまろやかさが包み込んでくれます。

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ボトルも化粧箱も高級感があふれる。臈纈(ろうけつ)染めにより描かれた南アルプスの甲斐駒ヶ岳が美しい。
飲むと雑味がなくまろやかで、甘みが感じられる。自然の恵みが凝縮された逸品。

―化粧箱にも高級感があふれています。

北原 化粧箱は山梨県の染色作家、古屋絵菜さんとコラボして作りました。臈纈(ろうけつ)染めという、中国から伝来した、着物にも使われる染め方をしています。

古屋さんには、井戸水が育まれる南アルプスの甲斐駒ヶ岳の山々を描いていただきました。山梨県出身で趣味が山登り、日本酒も好きという古屋さんだからこそ描ける化粧箱です。

―自然環境の保全も重視していると伺いました。

北原 水は限りある資産です。今ある水や自然などの環境は、先人から譲り受けたもの、未来の人からから借り受けているものと考えています。SDGsがいわれている中、大切に有効利用しなければなりません。

我々は地元の自然環境の美化保全について、努力を続けています。2023年の夏は酷暑だったため、原料米を例年より2週間早く刈り取りました。これも大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加が原因の1つです。

そこで弊社は、使用する全電力をCO2フリーのグリーン電力に変えました。510トンのCO2削減が可能です。

自然とともに、地域とともに、お酒造りをさせていただいています。自然があってこその日本酒です。

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白心は、白州の名水を体現するお酒。自然環境の保全も重要なテーマ。

―日本酒の普及に力を入れているとか。

北原 1973年から国内の日本酒の消費は減り続けています。1973年を100とすると、現在は20ほどです。また、国内で飲まれるアルコール飲料のうち、日本酒が占める割合は4.7%にすぎません。

正月や旅館に泊まるときだけなど、年に1度しか日本酒を飲まないような人が増えています。多くの人にとって、日本酒が縁の遠いものになってしまいました。身近な存在にしていく努力が必要です。

私は2016年に一般社団法人awa酒協会専務理事、2022年に山梨県酒造組合の副理事長に就任しました。国内外で日本酒の普及推進に取り組んでいます。

―今後の展望を教えてください。

北原 国内の消費が減り続ける一方で、輸出は10年以上連続で伸びています。弊社は、世界各地でレストランを経営しているフランスの「アラン・デュカス」さんと協力関係にあります。ヨーロッパのブランディングに注力している。

我々は海外輸出に挑戦して、国際化を推し進めなければならない世代です。我々の世代が種をまいて、次の世代が収穫することを期待しています。

また、最大の使命は、事業・のれんを継承することです。しかし、同じことを続けていては、継承はできません。時代の流れに沿って、少しずつ変革をしていく必要があります。変わらないために変わるのです。

変わることを恐れず、既存の概念に囚われず、日本の発酵文化を多くの方に色々な形で伝えていきたいと考えています。老舗と呼んでいただいていますが、ベンチャー企業のように挑戦者であり続けたいです。

そして日本酒がすべての根源です。日本酒をベースにした展開を、時代に応じて取り組んでいきます。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

白心 750ml【化粧箱付き】

「白心 750ml【化粧箱付き】」
価格:¥22,000(税込)
店名:七賢WEBショップ
電話:0551-35-2236(9:00〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.sake-shichiken.co.jp/products/216
オンラインショップ:https://shop.sake-shichiken.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
北原対馬(山梨銘醸株式会社 代表取締役社長)

2004年大学卒業後渡米。米国の日本食レストランのみならず、多ジャンルのレストランで日本酒や焼酎の卸業務に従事。3年間で1,000軒以上のレストランに営業活動を行う。2007年家業である七賢醸造元の山梨銘醸株式会社に入社。主に営業及び経営企画を中心とした業務をこなし、2018年に同社代表取締役社長就任。「継承と革新」を大切に日本酒の「高付加価値化」と「国際化」を成し遂げることを目標としている。2016年より一般社団法人awa酒協会専務理事、2022年より山梨県酒造組合の副理事長に就任し、国内外における日本酒の普及推進にも取り組んでいる。また2024年からは日本酒造青年協議会会長を務めている。

<文・撮影/林本直 MC/石井みなみ 画像協力/山梨銘醸>

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