ホームベーカリーで、手軽にパンを焼く人が増えてきました。毎日食べるなら、おいしさはもちろん、ヘルシーにしたいもの。そこで、編集長のアッキーが気になったのは、「ブラウワー全粒粉」。今までの全粒粉のイメージを変える、おいしくてヘルシーな強力粉です。製造元の香川県坂出市の木下製粉株式会社 代表取締役社長の木下敬三氏に取材スタッフがお話を伺いました。
お家パンがもっとおいしくヘルシーに!食物繊維3.5倍の「ブラウワー全粒粉」
2024/07/04
木下製粉株式会社 代表取締役社長の木下敬三氏
―創業は1946年。木下社長のお父様が創業されたのでしょうか?
木下 そうですね。今年で、創業78年になります。父は、1945年に上海から復員しました。これは叔母から聞いた話ですが、どんな仕事をやろうかと考え、塩田、喫茶店、製粉の3つの選択肢があったようです。塩田はものすごく重労働、喫茶店は接客が得意ではないということで、消去法で製粉に。創業時は、近所の農家から小麦が持ち込まれ、それを加工して戻していました。そのようなビジネスを、当時は賃加工と呼んでいたようです。
現在は、うどん用の小麦粉(中力粉)、パン用の小麦粉(強力粉)、お菓子用の小麦粉(薄力粉)、小麦ふすま、うどん、そうめんなどを製造販売しています。
―木下社長が2代目になりますが、最初から会社を継ごうと思っていましたか?
木下 弊社もそうですが、昔は住居と工場が一体になっている形態が多く、小さい頃から仕事は見ていましたが、ずっと「こういう仕事はやりたくない」と思っていたんです。
私は、3人兄弟の末っ子で、他の2人はすでに進路が決まっていました。だから、大学に入った頃から、「いずれは私が後を継ぐんだろうな」と漠然と思っていました。父からは、「継いで欲しい」と言われたことはなかったですね。
東京の大学を卒業し、アメリカの大学に留学しました。若い頃は、「外にどんどん出て行きたい」という気持ちが強かったですね。32歳のとき、アメリカから戻り、木下製粉株式会社に入社しました。そして先代が亡くなった1991年に社長に就任しました。
うどんの産地・香川県坂出市にある木下製粉株式会社の工場。
主に、うどんやパンの小麦粉を製造販売している。
―社長に就任されてから、大切にしていることは?
木下 食品に携わる仕事ですので、社是は「品質は最上の営業」と掲げています。これは創業者の思いですが、今となっては、マーケティングや社会貢献といった理念があまり感じられない社是かなと思います。創業時代は非常に物が不足していて、「製造業を始めるのであれば、良い製品を作る努力をすることが根本である」という考えを込めたんでしょうね。
しかし、今は、いい商品を作っても勝手に売れる時代ではないですから、品質とマーケティングは両輪で進んでいくべきだと考えています。それでも、やはり戻るところは「品質は最上の営業」です。ですから、今でも変わらず、社是として掲げているのです。
木下製粉株式会社を代表する商品「ブラウワー全粒粉」。
2つの特許を取得した自信作。
―今回、ご紹介する「ブラウワー全粒粉」はどのような商品でしょうか?
木下 パンを焼くための強力粉です。今、食品は、売れるために「食べやすく、おいしいもの」が優先されます。そのために加工度が増し、私たちに必要な栄養素がどんどん削ぎ落とされているのです。例えば、小麦粉は、表皮(ふすま)は良質な食物繊維ですが、製粉技術が進んで、表面が削ぎ落とされ、きれいでおいしい部分だけが使われるようになりました。その結果、小麦粉に含まれる食物繊維が減りました。小麦粉に限らず、口あたりを良くするために、全ての食品において加工度が進み、その結果、今の私たちの食生活では、食物繊維が不足していると言われていますよね。
そこで、おいしいことも大切だけど、機能的な部分も取り除かずに両立できないかと考えて商品開発したのが、「ブラウワー全粒粉」です。
「ブラウワー全粒粉」を使って、ホームベーカリーで焼いた食パン。
全粒粉は膨らみにくいというイメージが払拭された。
―おいしさと機能性を両立させるには、どのように作られているのでしょうか?
木下 小麦の表皮(ふすま)を取り除かず、丸ごと粉にしたものを一般的に全粒粉と言います。全粒粉のパンは食物繊維が豊富でも、ボソボソしている、膨らまないなど、おいしくないと感じる方が多いのです。
そこで、全粒粉の定義を捉え直しました。全粒粉は、ある小麦を丸ごと粉砕してできた小麦粉と考えがちですが、実は日本には明確な基準がありません。アメリカのFDA(米国食品医薬品局)によると、「同じ原料の小麦から作られたものでなくても、その小麦粉の成分組成が全粒粉にほぼ等しいもの、つまりその比率がほぼ、胚乳(中心部分)83%、ふすま(表皮)15%、胚芽2%となっている小麦粉」と定義しています。さらに、同じ小麦でも、粒の大きさによってその比率が違うので、「同じ小麦のものではなくても、平均的な小麦と成分組成が同じであれば、全粒粉といってもよい」としています。そしてFDAが広義の全粒粉の定義を採用した背景には、全粒粉の消費推進があると推察しています。
小麦は、よく見ると表面にクリーズ(粒溝)という凹んだ部分があり、不純物が溜まりやすい。この部分を一緒に製粉すると、異物も一緒にひき込んでしまって雑味の原因になります。だから、弊社ではFDAの定義を支持し、クリーズを除いた雑味のない表皮(ふすま)を使用。表皮と中心部分(胚乳)をそれぞれ別々に製粉し、再び再構成したものが、「ブラウワー全粒粉」です。いわば、ハイブリット小麦全粒粉なのです。
カットすると、薄い茶色。
雑味がなく小麦粉の風味が感じられ、全粒粉パンが初めての方でも、おいしく食べられる。
―だから、おいしくて、食物繊維が豊富な全粒粉になったのですね?
木下 そうですね。食物繊維が豊富で体にいいと言われても、おいしくないと食べ続けることはできません。「ブラウワー全粒粉」は雑味のない、本来の小麦粉の風味を味わえます。機能的なことを言うと、通常の小麦粉の11~12%をふすま(表皮)で置き換えています。ふすまは、ほとんどが食物繊維なので、普段通りの食事をしても、自然な糖質カットと十分な食物繊維の摂取が可能です。ブラウワー全粒粉は、通常の強力粉の3.5倍の食物繊維を含んでいるので、一石二鳥であると考えています。
毎日食べても飽きないシンプルな味なので、サンドイッチにしても。好きな具を自由にはさんで。
―お客様の反応はどうでしょうか?
木下 先ほども言いましたが、一般的に全粒粉と言うと、キメが粗く、ボソボソしている、膨らまないと思っている方が多いです。でも、「ブラウワー全粒粉」は、雑味を取り除いて微粉砕しているので、キメが細かく食べやすい。お客様からも、「ホームベーカリーでもふっくら焼き上がります」「全粒粉はボソボソしていると思っていたけど、しっとりしていておいしいです」など、好評のお声をいただいています。
ホームベーカリーなら、自宅で手軽にパンが焼けるので、ぜひ、試してほしいですね。初めて、パンを焼く人はもちろん、全粒粉を使ったことない人、全粒粉パンをおいしいと思わなかった人に、おすすめします。
―今後の展望は?
木下 小麦のふすまをそのまま取れる商品、「のむブラン」(豪州産小麦を使用)と「夢ブラン」(香川県産小麦「さぬきの夢」を使用)は、温かいミルクに溶いたり、調理に使ったりできますが、お手軽でオススメはヨーグルトです。私も毎朝、ヨーグルトにかけ、季節のフルーツと一緒に食べています。使用感として便質の改善と快腸生活を実感される方が多いようです。
日本人に不足しがちな食物繊維を補うのに、「ブラウワー全粒粉」とともに使ってほしい商品です。厚生労働省のwebサイトによると、1日当りの食物繊維摂取量は18g以上を推奨していますが、現在私たちの平均摂取量は14.3gだそうです。腸内環境を整えるために、食物繊維は積極的に摂りたい栄養です。
今後は、利便性の向上した、「のむブラン」や「夢ブラン」を使ったブランチップス、シリアル、クッキーなどの開発を検討中です。
「ふすま」に特化した商品。不足しがちな食物繊維を補えるので、毎日の生活で取り入れたい。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました。
「ブラウワー全粒粉」(3kg(250g×12袋))
価格:¥1,490(税込)
店名:ファリーナコーポレーション
電話:0120-16-4591(9:00~17:00 土曜・日曜・指定休日は除く)
定休日:インターネットの注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.farina.co.jp/view/item/000000000060
オンラインショップ:https://www.farina.co.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
木下敬三(木下製粉株式会社 代表取締役社長)
1956年香川県生まれ。コロラド州立大学 Ph.D. Statistics。現在、木下製粉株式会社代表取締役社長。全国乾麺協同組合連合会副会長。全国製粉協議会理事。香川県製粉製麺協同組合理事長。香川県教育委員会委員。著書「さぬきうどんの小麦粉の話(2004)」(旭屋出版刊)。翻訳本「小麦粉とパンの1万年史(2022)」(旭屋出版刊)
<文・撮影/大橋史子(ペンギン企画室) MC/伊藤マヤ 画像協力/木下製粉>