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創業206年を誇る老舗の味。兵庫県の銘菓「丁稚羊羹」と「明石もなか三種」

2024/07/10

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、あっさりとした餡子が特徴の「丁稚羊羹」と「明石もなか三種」。岩倉具視など歴史的著名人にも愛されていたそうです。この商品には、どんなこだわりが込められているのでしょうか。兵庫県明石市で創業206年を誇る株式会社藤江屋分大の代表取締役の安藤晋三氏に、取材陣が伺いました。

株式会社藤江屋分大 代表取締役 安藤晋三氏
安藤晋三氏(株式会社藤江屋分大 代表取締役)

―創業当初の話を聞かせてください。

安藤 弊社は1818年に創業しました。文政元年から現在まで長い歴史がありますが、その成り立ちは、1943年に発行された「新風土記叢書」に記されています。作家の稲垣足穂さんが明石のことを書いているのですが、そこに弊社の創業時のエピソードが登場しているのです。

江戸時代後期1818年(文政元年)に創業。

安藤 初代の藤江屋寅吉は、参勤交代から戻ってきた知人から「江戸には餅を餡にて包んだ甚だ味よきものがあるので作ってみてはどうか」と初めて大福餅の事を聞いたそうです。これをきっかけに誕生したのが「分大餅」でした。江戸の大福は大きなものですが、寅吉はそれをもっと小さくして、赤、青、白の3色の餅を作りました。「分大」という名前は、寅吉が浄瑠璃に熱中し、芸名を「文太夫」と名乗っていたころからもじって名付けたと聞いています。

また、弊社は昔から文化人とのつながりが深く、詩人や俳人、作家の方などいろいろな方が集まり、ここから明石の文化を発信するサロンのようなたまり場になっていました。例えば、詩人の竹中郁先生に羊羹の包装紙のデザインなどを手掛けていただいたり、私の子供たちの名付けもしてくださったりと、深く交流していました。

ただお菓子を売っているだけではなく、文化的な雰囲気があるのが弊社の強みだと思います。

―社長は老舗企業の7代目です。どんな幼少期を過ごしましたか?

安藤 私は4人兄弟で、兄と姉がいましたが、1940年代に長男と次男、両親の4人が伝染病などの病で立て続けに亡くなってしまいました。私は8つ上の姉と2人きりになってしまいましたが、周りに自然と助けてくださる方がいたおかげで今があると思っています。

―「丁稚羊羹」はどんな商品でしょうか?

安藤 この商品は、「分大餅」と同じく文政年間のはじめの頃に誕生したものです。羊羹には砂糖が使われていますが、戦後は砂糖が統制品とされていたので、なかなか手に入らず、羊羹も非常に高価なものでした。

そこで、砂糖を少なくしてあっさりと仕上げた「丁稚羊羹」を考案しました。丁稚さんや庶民の方にも羊羹を食べていただきたいという思いを込めて、「丁稚羊羹」と名付けられたそうです。

明治時代には、岩倉具視さんから発注をいただき、この羊羹を献上したと祖父から聞いています。また、20年以上前のことになりますが、紀宮様が明石に来られた際に、うちの羊羹を召し上がってくださいました。

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文政年間のはじめから令和まで愛され続けている「丁稚羊羹」。

―製餡にはどんなこだわりがありますか?

安藤 弊社は絶対に自社で製餡することにこだわっています。戦後から現在まで、一度も外部に頼んだことはありません。砂糖を控えめにしているので、風味が豊かでくどくないのが特徴です。

ポイントは小豆を炊くときは2回ほどあくを切ることです。これによって、独特の苦味がとれて、さっぱりとした味わいに仕上がります。

―お客様からのお声は?

安藤 「あっさりしているね」とおっしゃっていただくことが多いです。賞味期限は約3~4ヶ月と、日持ちがするのでプレゼントやお土産、御供物としてなど幅広いシーンでご利用いただけます。

また、スキーやゴルフの時に持っていくというお客様もいらっしゃいました。手軽に糖分をとれるので、ちょっと疲れたときに羊羹がちょうどいいそうです。また日持ちのする羊羹は優秀な保存食です。

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「丁稚羊羹」は甘さ控えめで上品なお味。

―「明石もなか三種」の特徴を教えてください。

安藤 5代目の亀吉が考案したもので、大正時代に誕生しました。「鯛もなか」「蛸つぼ」「たんざく」といった明石にちなんだモチーフで作られているのが特徴です。

餡子が皮からはみ出ている様子が笑っている様に見える事から、鯛もなかは「笑いもなか」と呼ばれていて、慶祝用としておめでたい日に使って頂けます。通常のもなかと比べて餡子がたっぷり入っているので、お得感があると思います。日持ちは約1週間です。あっさりとした甘味でご好評いただいています。

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餡子がたっぷり入っているので食べ応え抜群。

―「鯛もなか」「蛸つぼ」「たんざく」それぞれの特徴を教えてください。

安藤 「鯛もなか」にはこし餡が入っています。明石と淡路を結ぶ明石海峡は潮流が激しいことで知られていますが、そこでも泳ぎ続けられる明石鯛という鯛をモチーフにしました。鯛は「めでたい」と言われ、縁起の良さを象徴していますが、明石鯛は非常に身が締まって味が良く、力強さもあるのが特徴です。

「蛸つぼ」は、戦前、明石では壺を海に沈めて蛸をとっていたことから、もなかのモチーフに採用しました。中にはつぶあんが入っています。明石の蛸も鯛と並んで非常に評価が高く、身が締まっていておいしいので、明石の名物の一つです。

「たんざく」の中には抹茶餡が入っています。皮には古今和歌集に出てくる、「ほのぼのと 明石の浦の 朝霧に 島隠れゆく 舟をしぞ思ふ」という歌の一部が書かれています。これは明石を歌った歌なので、非常に明石らしいお菓子だと思います。

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「明石もなか三種」は並べると色鮮やかで見た目も美しい。

―最後に、今後の展望を教えてください。

安藤 まずは従来の商品だけにとどまらず、季節に合わせてこれからもいろいろなお菓子を作っていきたいなと思っています。

また、弊社は昔からご縁のある文化人の方々といまだに繋がってるので、今あるご縁を後世に繋げていきたいです。現代は合理主義的な考え方の人が増えてきているので、たまり場やサロンはなくなってきていますが、元々大事にしてきた文化的な香りも残しつつ、新しいものも生み出していきたいと思います。

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(左から)「明石もなか三種」と「丁稚羊羹」。明石土産にぴったり。

―貴重なお話をありがとうございました!

「丁稚羊羹」(1本)

「丁稚羊羹」(1本)
価格:¥1,080(税込)
店名:株式会社 藤江屋分大
電話:078-911-3635
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.bundai.co.jp/contents/products/03.html
オンラインショップ:https://www.bundai.co.jp/contents/products/

「明石もなか三種」(3個:鯛もなか1個・蛸つぼ1個・たんざく1個)

「明石もなか三種」(3個:鯛もなか1個・蛸つぼ1個・たんざく1個)
価格:¥678(税込)
店名:株式会社 藤江屋分大
電話:078-911-3635
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.bundai.co.jp/contents/products/02.html
オンラインショップ:https://www.bundai.co.jp/contents/products/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
安藤晋三(株式会社藤江屋分大 代表取締役)

1941年誕生 兵庫県明石市出身
大学卒業後株式会社藤江屋分大の代表取締役社長に就任
2019年 叙勲(旭日単光章)受賞
現在に至る

<文・撮影/サカモトアヤ MC/橋本小波 画像協力/藤江屋分大>

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