今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、富山湾でしかとれない「手むき白えびお刺身」。普通のえびよりも甘みが強く、独特のおいしさがあることから、県外から食べにくるお客様も多いそうです。この白えびを日本で初めて商品化した、有限会社白えび屋の代表取締役の山岸真大氏に、取材陣が伺いました。
知る人ぞ知る富山湾の名産品、有限会社白えび屋の「手むき白えびお刺身」
2024/07/12
有限会社白えび屋 代表取締役の山岸真大氏
―創業の経緯を教えてください。
山岸 弊社は1991年に私の父が創業したのが始まりです。父は大阪で手広く商売をしていましたが、バブル崩壊とともに経営が破綻して、借金漬けになってしまいました。なので、借金を返すために、安くて高く売れる宝石のような商品を探し、全国を回って見つけたのが白えびです。
当時の白えびは、餌やそうめんの出汁に使われていた無名の魚でしたが、父はいち早く白えびの魅力に気付き、商売を始めました。お金がなかったので、白えびの天ぷらや煎餅を作って屋台で販売していたそうです。
全国の百貨店で実演販売をしつつ、JR富山駅でコンコースに屋台を出して販売していたところ、駅長さんから「駅ビルの店に空きが出たから、店舗をやってみない?」と声がかかり、1997年に白えびを扱う飲食店を始めました。
その頃、私は東京のベンチャー企業で働いていましたが、26歳のときに父が病気で亡くなってしまったので、急遽富山に行って会社を引き継ぐことになりました。この商品は全国でも通用すると思ったので、まず金沢で飲食店を始め、その後、北陸新幹線が東京まで開通することになったので、東京に店を出すことになりました。
「富山スペシャル天丼」は店舗で一番人気のメニュー。
―引き継ぎの際、どんな苦労がありましたか?
山岸 当時は白えびが全く有名ではなかったので、価値を高めるためにどうするか悩みました。全国の百貨店で実演販売しながら広げていき、東京にも店舗を出して、徐々に広がっていったと思います。
ただ、うちは代々商売する家系で、自分も将来は独立するつもりだったので、社長になるということには全く抵抗はありませんでした。父からも「人生1回きりなんだから、やりたいことをやりなさい」と言われていて、サラリーマンより経営者の方がリスクを背負いながらもリターンも大きいので、おもしろそうだと肌で感じていました。
―白えびの特徴は?
山岸 白えびは色素がほとんどなく、熱を加えても体が白いままなので、「白えび」と呼ばれています。
通常のえびよりも200m以上深く、温度が非常に低くて、細菌も非常に少ないところに住んでいるので、他の細菌から身を守る必要がありません。お嬢様育ちのようなイメージをしていただければわかりやすいと思います。富山湾でしか獲れない魚なので、非常に希少価値があります。
味はすごく甘みがあって、臭みがありません。普通のえびともまた少し違う味で、独特のおいしさがあります。非常に上品な味です。まだまだ知名度は低いですが、富山県では代表的な魚の一種になりました。
―「手むき白えびお刺身」はどんな商品ですか?
山岸 ご自宅で楽しめる白えびのお刺身で、生のえびを一匹ずつ手で剥かれています。店舗で出される白えびと製造工程の途中までは同じですが、日持ちさせるために、瞬間冷凍して鮮度を保ったまま出荷しています。
白えびは一匹で約0.6gなので、100匹以上剥いてやっと一人前です。剥き終わるのに15分はかかるので、注文が入ってからでは間に合わないから、毎朝工場で剥いてからお店に持って行っています。
白えびの殻を剥いている様子。
山岸 おいしい魚は捌いてすぐに食べるのが一番おいしいので、いかに鮮度を保ったまま届けられるかという点を大事にしています。
凍った状態で届くので、冷蔵庫に入れるか、流水解凍してからいただく。
解凍して袋を開けると、ぷりぷりとした白えびがたくさん出てくる。
―おすすめの食べ方は?
山岸 白えびはそのままの状態が一番おいしいので、極力白えびのおいしさを邪魔しない調理法が良いと思います。塩分も若干含んでいるので、何もつけずに食べてもおいしいです。醤油をかけたい場合は、少し垂らすぐらいで十分です。ビールや日本酒など、お酒との相性も良いです。
解凍した白えびをそのまま食べるのが一番おいしいと言われている。
山岸 一般のご家庭ではなかなか難しいかもしれませんが、天ぷらにするなら他の食材と混ぜず、衣を極力薄めにして一匹ずつ揚げていくのがおすすめです。
白えびはごはんとも相性抜群。
―印象に残っているお客様からのお声は?
山岸 私自身、白えびを初めて食べた時は衝撃を受けたのですが、県外から来られたお客様も「鳥肌が立つようなおいしさ」「これは値打ちあるわ」と言って帰られる方がすごく多いです。なので、高値ではありますが、通用するんだなと思いました。
会社を継いでから4~5年目の頃は「桜海老?」と言われていましたが、徐々に状況が変化してきたように感じています。
―今後のご展望を教えてください。
山岸 弊社は白えびを初めて商品化した会社で、今でもおそらく日本で唯一白えびの専門店だと思います。一番新鮮な白えびを仕入れるルートを持っているし、一番おいしい調理法を知っています。この状態を維持していくために、事業は拡大せず、今の規模で続けていこうと思っています。これからも少しずつ白えびの魅力を伝えていきたいです。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました。
「【単品】手むき白えびお刺身(富山湾産白えび100%)」(100g)
価格:¥3,780(税込)
店名:白えび屋オンラインストア
電話:076-424-3579(9:00~17:00 ※土曜・日曜・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.shiroebiya.co.jp/order/
オンラインショップ:https://www.shiroebiya.co.jp/order/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山岸真大(有限会社白えび屋 代表取締役)
1978年生まれ。大阪府大阪市出身。大学卒業後、ITベンチャー企業に就職。
2006年から有限会社白えび屋の代表取締役に就任。
<文・撮影/サカモトアヤ MC/髙橋知 画像協力/白えび屋>