今回、瀬戸内名物マダイのアラでだしをとった尾道ラーメンがあると聞き、編集長のアッキ―こと坂口明子が注目しました。魚市場のスペシャリストが企画製造した2018年発売の尾道ラーメンは、マダイのだしを効かせることで甘く丸みのあるやさしい味に仕上がっているのが特徴です。
株式会社クラハシ 専務取締役の倉橋彩子氏と、取締役 営業副本部長の岡氏に、グループ子会社である株式会社ケンスイが販売する気になる商品や朝市について取材陣がインタビューしました。
瀬戸内の漁港直送!海の幸の目利きがプロデュースした甘みまろやか「鯛だし尾道ラーメン」
2024/07/18
―はじめに貴社の事業内容と沿革を教えてください。
倉橋 株式会社ケンスイは広島県から認可を受けて1948年に設立した水産荷受け会社です。尾道市をはじめとした周辺地域の漁師の方から魚を入荷し、販売する魚市場として長く営業してきました。
1969年に現在の社名に変更し、4年前の2020年12月に水産会社の株式会社クラハシに事業譲渡し、同グループの企業として株式会社クラハシの代表取締役天野文男が同会社の代表取締役を兼任する形で就任、再スタートを切っています。
―大事にされている経営理念をお聞かせください。
倉橋 クラハシグループは食文化の継承をとても大事にしています。今年は「海と人を思う」を1つのスローガンに掲げ、安心安全な食事を通じて人々の健康な社会生活を応援する企業でありたいという経営理念を持っています。
それを実現するためにも、ケンスイでは「朝市」という企画を通して、市場の取り組みをより多くの方々に知っていただくとともに、地域の人たちとつながるための交流や、健康寿命に貢献していきたいと考えています。
朝市には、大特価のお魚詰め放題など、
一般のスーパーでは体験できない安さと楽しさがある。
―朝市はどのようにして始まりましたか?
岡 弊社は生産者と長年にわたって直接取引をしていますので、新鮮な魚を調達することができます。そのメリットを生かして尾道市と周辺住民の方々に鮮度のいい魚を販売し、健康的な食生活を提供しようというコンセプトで昨年7月にスタートした事業です。
―朝市の企画内容を教えてください。
岡 毎月第2と第4土曜日に開催し、瀬戸内海で獲れる新鮮な魚や貝類、海藻をフレッシュなまま、また加工した商品も幅広く取りそろえて販売しています。イベントとして魚やエビ、殻付きカキの詰め放題、マグロの解体ショー、お刺身やお惣菜のバイキングといった企画を毎回ブラッシュアップして開催しています。
お子様連れの若い方も大勢いらっしゃいますので、金魚すくいなど遊べるスペースをご用意し、お子様からご年配の方までまんべんなく楽しんでいただけるお買い物イベントになっています。
瀬戸内海は良質なマダイがたくさん獲れる一大産地。
―市場を一般開放してどんな変化や効果がありましたか?
岡 社員一丸となって取り組む朝市のスタートから1年も経っていませんが、一般のお客様との触れ合いによる喜びや楽しさを感じて、「もっといいものを提供していきたい」とチーム全体のモチベーションが高まりました。そればかりか、社内で以前にも増して数字に高い関心を持つなど、商品を販売することへの意識向上にもつながったと感じています。
―今回ご紹介する「鯛だし尾道ラーメン」の特徴は?
岡 通常の尾道ラーメンはいりこなどの小魚でだしを取るのに対し、弊社の商品は天然マダイの頭から取ることで差別化しています。またたっぷり入った背脂が特徴の尾道ラーメンですが、マダイを使うことで比較的ヘルシーに仕上がっています。
しょう油味に動物系だし、そこにタイの旨味が加わることで
絶妙にバランスの取れてまろやかな味わい。
―開発ではどんな点で苦労されましたか?
岡 商品開発では魚を使うことによる生臭さが出ないようにする点が一番苦労しました。タイの風味を生かすために原料の割合を調整しながら、数ヵ月にわたって何度もテストを繰り返して完成させました。
魚を入れているからといって生臭さはなく、他の尾道ラーメンとはひと味違って漁港の商品らしくタイの風味がほのかに感じられるマイルドなラーメンとなっています。
背脂を浮かせて本場の尾道ラーメンを再現。
コクたっぷりで自然な甘さが口に広がる。
―ほかにも新商品開発のご予定が?
岡 今後とも瀬戸内海産にこだわった原料を使って開発していく方針です。たとえば敬遠されがちだった「ボラのフライ」といった商品が候補にありますが、これは水産資源の有効活用にもつながる試みです。
そうした自然保護を意識した商品は、これから注力していくBtoC向けの自社ECサイトでも積極的に販売していく計画です。
―最後にお伝えしたいことをおうかがいします。
倉橋 「魚の流通」は決してフェアトレードになっていません。魚は漁獲されコールドチェーンという重要な「温度管理」、簡便性の時代ゆえの「加工工程」等々があって皆様のお手元に届くわけですが、こうした工程は価格に反映されづらいのが現状です。この実情が、生産者の減少や高齢化につながっています。
ですので、弊社では安価に提供できる魚商材だけでなく、付加価値を認めていただける「旬」や「本物のおいしさ」を追求した商材など、幅広いお客様に楽しんでいただけるような仕組み作りを大切にしています。
海と人を想う。資源と生産者の方々を意識し、健康寿命に貢献できる、そんな取り組みをこれからも進めて参ります。
―本日はありがとうございました。
「鯛だし尾道ラーメン」(スープ付き生麵100g×2食入り)
価格:¥972(税込)
店名:ケンスイ
電話:0848-46-3515(8:00~17:00 日・水・祝日などの休市日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.o-kensui.co.jp/good-ramen.html
オンラインショップ:http://www.o-kensui.co.jp/service.html
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
倉橋 彩子(株式会社クラハシ 専務取締役 / 株式会社ケンスイ 監査役)
2005(平成)年に企業再生支援から同社入社。「会社は死ぬように出来ている」の信念から、元気な内に新たな機能の芽を育む事をモットーに事業改革に努めている。座右の銘は「懲りず挑戦」。デジタルにはない、温かい繋がりのある組織を目指す。
<文・撮影/田中省二 MC/髙橋美羽 画像協力/ケンスイ>