御福餅本家_top

材料はいたってシンプルだけどおいしい!創業280年の老舗が誇る伊勢名物の「お福餅」

2024/07/12

編集長のアッキーこと坂口明子が注目したのは、江戸時代から伊勢名物として知られる御福餅本家の「お福餅」。柔らかいお餅の上にしっとりとしたこしあんを包むように乗せた手作りの和菓子で、シンプルなのにとてもおいしいと評判です。今回は、こちらの御福餅について、株式会社御福餅本家の代表取締役社長である西川三男氏に、商品のこだわりや原材料への想いなどを取材陣がうかがいました。

株式会社御福餅本家 代表取締役社長 西川三男氏
株式会社御福餅本家 代表取締役社長の西川三男氏

―御社の沿革を教えてください。

西川 弊社の創業は1738年(元文三年)で、280年以上の歴史があります。伊勢に茶店を開いて、そこに来る旅人にお茶とお福餅を提供していました。お福餅の主原料は、小豆・もち米・砂糖ですが、これはおそらく創業当時から変わっていないだろうと思います。お福餅の特徴である波型の餡は、二見浦に打ち寄せる波の形をイメージして作ったものです。

御福餅本家_1
創業当初からの味を守り、心を込めて作るお福餅。

西川 弊社は創業当初からの味を守り、手作業でお福餅を作るということにこだわっていますが、近年、保健所の衛生管理がかなり厳しくなり、江戸時代からの作り方そのままというわけにはいかなくなりました。そのため、一時期は防腐効果を高めるために、原料にトレハロース(天然甘味料の食品添加物)を加えていたこともありました。

ですが、できれば食品添加物と呼ばれるものは入れたくなかったのです。そこで、トレハロースを抜いても菌の繁殖を抑えることができるような研究をすることにしました。かなりの時間やお金をかけて、工場内の設備を変更をしたり、社員の衛生管理教育の徹底をしたりした結果、現在は江戸時代と同じような原材料に戻すことができました。

御福餅本家_2
消費期限は製造日を含めて7日。
プラスチック製のトレイにフィルムの蓋、中には脱酸素剤が入っている。

―お福餅の最後の工程は手作りということですが、その理由は?

西川 全部の工程を機械化すれば、衛生管理がもっと容易になるのかもしれません。ですが、弊社は手作りの温かみを大切にしていますので、最後の工程だけはどうしても江戸時代と同じ製法でやり続けたかったのです。

御福餅本家_3
ベテランの「あんつけさん」が、日々仕上げを担当。

西川 餅を餡で包みながら形を波型に整えてお福餅を作る人を、弊社では「あんつけさん」と呼んでいます。あんつけさんの技術はかなりのもので、1日に8千個~1万個くらいのお福餅を作ることができる人がいます。このスピードでお福餅の形を作り、綺麗に箱に入れていくことができますので、これはもう職人技としか言いようがありません。このような江戸時代からの職人の技術を継承していくためにも、弊社では手作業にこだわり続けています。

―新店舗を今年(2024年)オープンしたばかりとか?

西川 3月31日に店舗と工場を併設してオープンしました。旧店舗の一部は100年くらい経った古い建物でしたので、台風や地震などの災害にはこれ以上は耐え切れないと思ったのです。他にも、「たくさんのお客様に来店してもらう」「工場の衛生管理や生産体制を整える」「労働環境を整える」などの理由もあり、新店舗にすることを決意しました。

弊社の店舗がある二見浦(ふたみがうら)というのは名勝地に指定されている地域ですので、現状を変更して建物を建てるためには、いろいろと許可が必要です。その許可をもらうために、有識者などの意見を聞き、指導を受けるなどを経て、4年の歳月をかけて周りの景観に合う数寄屋造りの建物を建てました。この新店舗のオープンをきっかけに、二見浦をもっとアピールして、地元の活性化に貢献できればと思っています。

御福餅本家_4
2024年3月オープンのお福餅本家の新店舗。数寄屋造りが美しい建物。

―小豆は北海道の「きたろまん」という品種だそうですが。

西川 きたろまんという小豆は、他の品種と比べるとでん粉質が濃くて、マッタリとした感じの餡を作ることができます。品質が優れ、従来からのお福餅の餡の味や質を守るためには、この品種が一番だということで選んでいます。

御福餅本家_5
小豆は北海道産「きたろまん」のみを使用。
皮をとり、滑らかな口当たりになるように風味豊かに仕上げる。

西川 小豆は農産物ですので、その年によって多少は小豆の味が変わることもあります。また、北海道に台風が訪れて不作になり、仕入れ値が3倍くらいに値上がってしまった年もありました。このような難関を乗り越えて、さまざまな工夫や企業努力をしながら昔ながらのお福餅の味を守り続けています。

―もち米も北海道産だそうで?

西川 以前は佐賀産のもち米を使っていたこともありましたが、現在は北海道産の「はくちょうもち」という品種を使っています。その理由としては、近年の地球温暖化の影響で、もち米の産地が少しずつ北上してきました。今は、北海道が一番良い産地だと思います。

御福餅本家_6
もち米は北海道産「はくちょうもち」のみを使用。
日々、水の量、火加減、炊き加減等を調整し、
やわらかさの中にもハリがある、歯切れの良いお餅に仕上げている。

西川 このまま地球温暖化が進めば、小豆やもち米がやがては日本で収穫できなくなってしまうのではないかと懸念を抱いています。今は日本産の原材料にこだわってお福餅を作っていますが、いつかは外国産のものに頼らなければならない時が来るかもしれません。そうなる前に、何か対策をしていかなければならない状況だと思っています。

―お福餅はどのような方に食べていただきたいですか?

西川 小さいお子さんからお年寄りまで、どなたにでも食べていただきたいです。弊社は安全を一番に考えて製造していますし、添加物なども入れていませんので、安心してお召し上がりいただけます。お福餅を食べて、皆さんに日本の伝統の味を知っていただきたいです。

御福餅本家_7
付属の木のヘラを使えば、形を崩さずに取り出しやすい。

―今後の展望などをぜひお聞かせください。

西川 今後も、日本産の良質な小豆ともち米にこだわり続けていくつもりです。それと同時に、さまざまな方向で新商品の開発をしていこうとも考えています。弊社はお客様に対し、正直なものを作ることを何よりも大切にしている会社です。これからどのような商品を作るにしても、正直なものを作り続けていきたいと思っています。

―本日は大変貴重なお話をお聞かせ頂き、ありがとうございました。

「お福餅【8個入り】」

「お福餅【8個入り】」
品番:ofuku08
原材料:砂糖(国内製造)、小豆(北海道産きたろまん100%)、餅米(北海道産はくちょうもち100%)、水飴/酵素(大豆由来)
保存方法:直射日光を避け、常温で保存。開封後は消費期限にかかわらずお早くお召し上がり下さい。
日持ち:製造日を含めて7日間
価格:¥750(税込)
店名:御福餅本家
電話:0596-43-3500(9:00~17:00対応)
定休日:年中無休 インターネットでのご注文は24時間365日対応
商品URL:https://ec.ofukumochi.com/products/detail/49
オンラインショップ:https://ec.ofukumochi.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
西川三男(株式会社御福餅本家 代表取締役社長)

1947年三重県生まれ。弁護士(企業再建、企業法務、知的財産などを専門とする)。音楽評論家(奏者でもあり、音楽評論家でもある。草津音楽祭元評議員、モーツァルテウム・オーケストラ・ザルツブルク友の会名誉会員、著作「魔笛・文明史の劇場」「ワーグナー紀行」「モーツァルト愛と死・マリアに抱かれし人びと」)。日本刀文化振興協会評議員。

<文/鶴良子 MC/高橋美羽 画像協力/御福餅本家>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter