日本でも料理に欠かせない存在となった「オリーブオイル」。さまざまな商品がある中で、「食べて楽しむオリーブオイル」があることを知りました。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは福島県の漬物メーカー・小田原屋が手がける「食べるオリーブオイル」。商品が生まれたきっかけや使い方について、株式会社小田原屋 代表取締役の芝田机太郎氏に取材陣がお話をうかがいました。
新たなるちょい足し調味料!フライドガーリック&オニオンたっぷり「食べるオリーブオイル」
2024/07/19
株式会社小田原屋 代表取締役の芝田机太郎氏
―会社の沿革について。
芝田 「小田原屋」は1933年に漬物屋として創業した食品メーカーです。私が代表に就いた2年後に東日本大震災が発生し、売り上げが3分の1に落ち込んでから再スタートを切りました。福島県の原発における風評被害は、企業としても消費者としても食品の選び方を見直すきっかけになりました。「食」を学びながら商品を作る上で「小田原屋にしかない商品」を意識するようになったのです。スーパーマーケットや量販店への納品が中心だったところ、食にこだわるお客様とのお付き合いへ舵を切り今に至ります。
創業者の祖父は「どんな商売も30年」と言い続けてきました。企業は30年ごとに大黒柱を変えなければいけないという考えから、社内でも常に新しいことにチャレンジしています。新商品開発や既存商品の改良において変化をいとわない社風があります。
―漬物作りにおけるこだわりは?
芝田 食を見直す過程で「無添加にする」「国産の原料を使う」という取り組みを始めました。しかし、無添加の漬物は日持ちさせるために塩辛くする必要があり、現代の味覚に合わない味付けになってしまいます。また、海外では日本向けに漬物専用の野菜を栽培している一方で、生食を想定した日本の野菜は皮の厚さ・傷みにくさを重視しています。結果的に無添加かつ国産原料で漬物を作るとおいしくないものができてしまい、現在のように納得のいく漬物を作ることには大変苦労しました。
―「食べるオリーブオイル」を開発した経緯について。
芝田 漬物作りは調味液のおいしさも重要なため、弊社では「漬物の素」も販売していました。この調味液作りのノウハウを生かしたいと考え、ご家庭に取り入れやすい「食べる調味料シリーズ」の開発をスタートしました。フライドガーリックが入った「食べるラー油」はブームにもなりましたが、ラー油はごま油の風味が強いため用途が限られる食品です。そこで、塩胡椒のようにさまざまな料理に使ってもらえる商品として「食べるオリーブオイル」を考案しました。
社内では、既存商品の差し替えを提案するアイテムではなく、新しい市場を切り開く「ちょい足し商品」をキーワードとしています。「食べるオリーブオイル」をきっかけに、漬物のお取引が始まるケースも増えました。今後も瓶詰め調味料を中心に小田原屋らしい商品を作っていきたいと思います。
―「食べるオリーブオイル」の特徴は?
芝田 フライドガーリックやフライドオニオンが入ったオリーブオイルです。サクサクとした食感を保つため、味付けには液体を使用せず、粉末の醤油やスパイスのうまみで仕上げています。フライドガーリックやフライドオニオンも、油を吸わないように素揚げしたものを使用しています。オリーブオイル100%だと香りが強すぎるのでキャノーラ油をブレンドすることで、オリーブオイルの香りを損なわないまま、普段の料理にも使いやすい商品となりました。炒め物やパスタの上にかけたり、チャーハンやピラフに入れたり、最後に味を整える調味料としても万能です。
フライドガーリックやフライドオニオンがざくざく入っていて風味豊か。
―どんな人におすすめですか?
芝田 いつもと違う調味料を使ってみたいけれど、「高級すぎる食品や丁寧な暮らしはハードルが高い」と感じる人は多いと思います。多忙な方や一人暮らしの方がライトな自炊にチャレンジしやすくなるアイテムですので、「食べるオリーブ」をきっかけにいろいろな料理に接していただけるとうれしいです。
ゆで卵、ズッキーニのソテー、
ペペロンチーノにちょい足し。手軽でおいしい。
―今後の展望について。
芝田 代表として次世代にバトンを繋ぐためにも、時代に合わせた商品を引き続き開発し、国内外で販路を開拓していく必要があります。中小企業にとっては10年単位の長い取り組みとなるでしょう。「青首大根」というみずみずしい大根で作る無添加の「べったら漬け」も看板商品なので、「小田原屋といえばべったら漬け」という認識も広めていきたいです。甘い漬物なのでサラダに使ったり、クリームチーズやスライストマトと合わせておつまみにしたり、気軽に食卓に取り入れられるような立ち位置を目指しています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「食べるオリーブオイル」(180g×2p)
価格:¥1,300(税込)
店名:小田原屋
電話:024-943-0300(8:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/sennyogurume/20140802oli/?s-id=bk_pc_item_list_name_n
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/sennyogurume/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
芝田机太郎(株式会社小田原屋 代表取締役)
1981年生まれ。父が経営する漬物メーカーの株式会社小田原屋へ入社。2009年、代表取締役に就任。2011年の東日本大震災をきっかけに売上が激減し、高質化の道を模索。事業転換の方向性が決まり、漬物は無添加国産で作ることに。漬物で培った調味の技術を活かし、新商品群として瓶詰め調味料の生産を開始する。2019年、株式会社AMEKAZEを創業(2024年現在、福島・関東に7店舗を展開)。
<文・撮影/マスダアヤノ MC/髙橋美羽 画像協力/小田原屋>