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燻製の香りとチーズの競演に数の子のプチプチ食感がクセになる大ヒットおつまみ「カズチー®」

2024/07/24

今回編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、生産量日本一を誇る数の子の街・北海道留萌市で生まれた「カズチー」。そのユニークな商品名とおいしさでテレビやソーシャルメディアに取り上げられ、一躍大人気アイテムへ。話題性だけでなく内容が評価され、発売後3年で「農林水産大臣賞」、続けて「天皇杯」を受賞した傑作です。

製造するのは数の子加工で先駆的な役割を果たし、HACCP認証もいち早く導入した「ヤマニ」ブランドの井原水産株式会社。代表取締役社長の勝田恵介氏と企画開発の高田様に、商品のこだわりなどを取材陣がインタビューしました。

井原水産株式会社 代表取締役 勝田恵介氏
井原水産株式会社 代表取締役社長の勝田恵介氏

―はじめに創業時代の沿革をお聞かせください。

勝田 弊社は現会長の実父が1954年に鮮魚問屋として創業しました。当初はニシン以外にもいろんな魚を扱っていましたが、徐々にタラコをはじめとした魚卵に特化していきました。

タラコは朝鮮半島まで買い付けに行くほどの中心商材となり、博多土産の明太子原料として福岡に卸していました。これと並行して1960年代にニシンと数の子が主役の座へと変遷していったのが初期の歩みです。

―数の子が伸長したプロセスをおうかがいします。

勝田 明治時代から留萌市周辺では番屋に出稼ぎ者でにぎわう程ニシンが獲れていましたが、乱獲や気候変動などの影響で‘60年代には前浜の漁獲が激減しました。そこで初代社長は北海道対岸の網走市に出向き、さらには海外までニシンを追って買い付けていくうちに数の子の扱いがどんどん増加していきました。
追い風となった要因は、冷凍ニシンから数の子を取り出せるようにした技術革新にあります。

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本社ビル。1階に直売所を設け、
数の子やいくらなどの加工商品を販売しています。

―それはどんな技術でしょうか?

勝田 冷蔵の数の子はそれ以前からありましたが、冷凍ニシンから数の子を加工できるようにしたのは弊社が初めてでした。

最初にロシアから冷凍ニシンを輸入した頃は、腹の中の卵は血液や内臓によって真っ黒に汚れていて良品とは言いがたい代物でしたが、初代社長はそこに目を付けました。
「捨てるのはもったいない」と有識者や研究者の協力のもと、過酸化水素で黄色に戻すことを発明し、それをきっかけに数の子の普及が飛躍的に進んでいったのです。

―勝田社長のご経歴と社長就任時の思いをお聞かせください。

勝田 私は地元留萌市の高校を卒業後に知り合いの紹介で弊社に入社しました。小学校から高校を出るまでずっと野球一筋だったので、入社後に経理からスタートした始めのころは戸惑いました。
時を経てやがては管理部門を見るようになり、20年以上経った2021年に現会長からバトンを渡され社長に就任しました。

管理畑出身で営業や製造の先輩方を通り越したことに重荷を感じましたが、数字への強みを生かして前だけ向いていく気持ちで走り出しました。

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2000年にHACCPの認証を受けた工場。
衛生管理を徹底して安全安心な商品を生産しています。

―今回ご紹介の「カズチー」はどのように誕生しましたか?

高田 当商品の発売は2018年ですが、その3年前の2015年から開発研究をしていました。味付け数の子を燻製させて小さく砕き、当時一大ブームだったチーズをかけ合わせたおつまみです。

大もとの背景に「お正月以外の数の子需要をつくる」というテーマがありました。それを起点にワイン産地の小樽・北海道発信のお土産向けに「ワインに合う数の子おつまみを作る」という目標が生まれ、さらに持ち帰れる商品でなおかつワンコインで、といろんなコンセプトを持ち寄って練り上げ、2年余りの試行錯誤のすえに完成させました。

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ワインを中心としたお酒のおつまみとして、チーズとスモークの風味、
数の子食感がいい仕事をしてくれます。

―こだわりポイントは?

高田 メイン原料となる「味付け数の子」の白醤油ベースの味付けは、魚介類のだしを加えて甘味を抑えた絶妙な味加減です。それをブレンドしたオリジナルのチップで燻製し、厳選したプロセスチーズに加えます。この3つをうまく融合させてバランスをとっているのが大きなポイントです。
この工程は同時に、数の子自体が持っているアミノ酸の苦味成分をマスキングする効果もあります。

そしてカズチーはなにより、経営課題の部分で価値観の合う素材メーカーさんと共同していいモノを作るために、それぞれの強みを結集して完成させたことに高い価値があると思っています。

「カズチーじゃがバター」。おつまみやお子様のおやつだけでなく、
調理素材としても独自のアレンジが楽しめます。

―マスコミに取り上げられるなどブレイクした要因はなんでしょうか?

高田 北海道の展示商談会に出展したときから大きな反響をいただきましたが、大きなターニングポイントはネーミングにあると思います。
当初「かずのこチーズ」の名前で商品化にしようと特許申請の相談に行った際、弁理士の方に「まずは名前が大事!商品名で商標登録がマスト」とアドバイスされ、短縮した語呂のいい「カズチー」にしたのです。

それからテレビで取り上げられたことやSNSを通して一気に波及して口コミで拡散し、製造が追いつかない状態にまでなり、おかげさまでコロナ禍にも休みなしのフル稼働で生産していたくらいです。

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環境保全活動として、
留萌市近郊の4.23haの国有林にトドマツを中心にミズナラ、
マカバを植林しています。

―今後の目標をお聞かせください。

勝田 弊社の経営理念として「日本の食文化を守り、お客様の健康に寄与する」を掲げています。それを表すように他社より一歩先に「塩抜き数の子」を発売するなど、健康面を強く意識した製造を行ってきました。

今後とも数の子を使ったお惣菜商品を発掘し、お客様の趣向変化への対応や地球環境にも配慮しながら、数の子という日本の食文化をしっかりと後世まで守り続けていきたいと思います。

―本日はありがとうございました。

「カズチー」(7粒入り)

「カズチー」(7粒入り)
価格:¥540(税込)
店名:井原水産株式会社オンラインショップ
お問い合わせ:https://www.yamani.com/f/contact
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.yamani.com/c/kazuchee/5651
オンラインショップ:https://www.yamani.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
勝田恵介(井原水産株式会社 代表取締役社長)

1979年北海道留萌市生まれ。1998年に井原水産株式会社へ入社。2021年に3代目代表取締役社長に就任。日本の伝統的食文化を後世へ伝えるとともに、伝統を新しくする「伝統と革新の両立」に挑戦している。

<文・撮影/田中省二 MC/三好彩子 画像協力/井原水産>

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