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軽やかな食感とチョコレートのハーモニーに夢中!長崎・雲仙で生まれた銘菓「クルス」

2024/07/29

長崎県の島原半島に位置する雲仙市といえば、橘湾や雲仙岳が織りなす雄大な風景や温泉で知られる街です。湯治場として旅人を迎え入れてきた小浜温泉には、昔から親しまれている「湯せんぺい」というおやつがあります。

今回、編集長アッキーが注目したのが、「湯せんぺい」をヒントに生み出されたお菓子「クルス」。長崎みやげとして人気のスイーツがどうやって生まれたのかを、小浜食糧株式会社 代表取締役の金澤昌江氏に取材陣がうかがいました。

小浜食糧株式会社 代表取締役 金澤昌江氏
小浜食糧株式会社 代表取締役の金澤昌江氏

―まずは会社の沿革と代表ご自身について教えてください。

金澤 始まりは祖父が雲仙岳の登り口で開いた店です。当初は何でも屋という感じで、味噌や醤油、みやげもの、パンなどを販売しつつ、小浜名物の湯せんぺいも手焼き販売していました。私は小さい頃から、パンを袋に詰めたり、商品をショーケースから出したりして店を手伝い、「ものが売れるのはうれしくて楽しいな」と思っていました。

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多くの観光客で賑わった前身の「豊田商店」。

金澤 大人になり、仕事に関わり始めたのはバブルが崩壊する頃です。会社を存続させるにはお客様に喜んでいただくことをしなければいけないと考え、直営店の「ボンパティ」をオープンしました。1990年代にあった雲仙岳の噴火の際はかなり打撃を受けましたが、直営店があったおかげで何とか乗り越えられたという感じです。

しかし2020年には、社屋を建て替えたばかりのタイミングでコロナ禍に突入してしまいました。ものすごい数の在庫を抱えることになってしまったものの、長崎にコールセンターがある大手の保険会社さんが「地元の企業を助けよう」ということでクルスを購入して下さったり、直営店のお客様はもちろんのこと、地元の企業様やネットのお客様にもご購入いただいたりして、大変ありがたかったです。

―その「クルス」とはどんなお菓子ですか?

金澤 父の代で開発したお菓子です。もともと店で湯せんペいを焼いていたことから、その技術を使って何か作りたいと思っていたらしく、原料を変えることでパリッとした独特の食感を生むクルスの生地を作り上げました。湯せんぺいには温泉水を入れるのですが、クルスの生地には入れていません。よく「湯せんぺいですよね」と言われるのですが、湯せんぺいの生地を圧縮して焼くという焼成方法を取り入れているものの、レシピはクルスオリジナルのお菓子です。

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湯せんぺいの技術を応用することで誕生した「クルス」。

金澤 中に挟むものについては、いろいろ試した結果、チョコレートなら生地が湿気らないという理由で採用したと聞いています。チョコレートにもさまざまな味がある中で、最初に開発したのはホワイトチョコレートのタイプです。当時3歳くらいだった私がホワイトチョコレートのお菓子をよく食べていたらしく、父が「子どもが好きなら、万人に受け入れられるのでは」と考え、ショウガを加えたホワイトチョコレートをサンドして発売しました。

―ショウガを入れることで味にどのような違いが出るのでしょうか?

金澤 チョコレートのみだと味が洋風になります。クルスを発売した昭和30年代はまだ、洋風の食べ物にあまりなじみがない時代でした。ショウガを入れて和のテイストを加えることで、当時の日本人の口に合ったのだと思います。ショウガが島原半島の特産品だったことも、地元のお客様になじみがあったようです。

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隠し味のショウガがさわやかな甘さを演出。

―当時は手作業で作っていたのでしょうか?

金澤 最初は手作業だったようですが、大量生産するには焼成機や包装機が必要です。ただ、このあたりにはそういう機械を製造する会社がありません。そこで父は大阪まで行き、何も分からない状態で商工会議所に飛び込んで、「こういう機械を作ってくれる所を探している」と相談したそうです。そこで紹介していただいた機械メーカーさんとは、今もお付き合いを続けています。

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現在は機械化されている製造工程。

―品質を守るために苦労されていることは?

金澤 毎日の温度管理には気を遣っています。それから水も重要です。機械を新しく作り替えるときに大阪まで試験焼きに行ったのですが、大阪の水道水だとうまく焼けず、水を替えたら焼けたということがありました。水質は地域によって違うものですし、おいしいクルスを焼くには、小浜の水が欠かせません。

―こだわっているポイントを教えてください。

金澤 一番のこだわりは、独特の食感を生み出すための生地です。そのほかの原料では、ショウガも以前は県外のものを使っていましたが、数年前からは島原で栽培されている上質のショウガ農家さんのものを使えるようになりました。イチゴやレモン、抹茶、柑橘のゆうこうなども、長崎県産のものを使用しています。

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生地の配合は企業秘密。

―お客様の声で印象に残っているものは?

金澤 小さい頃に小浜近隣の親戚に預けられ、そのときクルスを食べたという方が大人になって買いに来られて、「預けられた親戚の家で子どもの頃に食べたとき、こんなにおいしいお菓子があるんだと思った」とおっしゃってくださったときは、たいへんうれしかったです。

―長年愛されているからこそですね。最後に、今後の展望を教えてください。

金澤 秋に向けて新しいクルスを開発中です。今はどこも人手不足ですが、その中でも開発や工場が協力できる体制を保てているのはありがたいと感じています。この地域も若い人がとても少ないので、今後は雇用を確保することが大きな課題となるでしょう。そのためにも、「ここで働きたい」と思ってもらえるような会社にしていく必要があります。今、クルスを入れる箱を障害者の方に折ってもらっているのですが、その方のお母様が、「うちの子はクルスの箱を折るのが好きで、出かけた先でクルスがないか探して、クルスを見かけると必ず買う」と教えてくださいました。そんなふうに、誇りを持って仕事をしてもらえることを大切にしていきたいと考えています。

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ホワイトチョコレートの「定番クルス」、
イチゴ味の「しあわせクルス」など、味のバリエーションが豊富なのも魅力のひとつ。

金澤 「クルス」は2024年で60周年を迎えます。長崎には300年、400年と続くカステラの老舗が多く、60年はまだまだひよっこです。とはいえ私にとっては60年続けられたことがありがたいですし、今後も絶やすことなく70年、そして100年と続くよう、がんばっていきます。

―ありがとうございました。

「長崎銘菓クルス」(12枚入)

「長崎銘菓クルス」(12枚入)
価格:¥810(税込)
店名:長崎銘菓「クルス」オンラインショップ
電話:0957-75-0115(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.e-cruz.net/shopdetail/000000000148/001/O/page1/order/
オンラインショップ:http://www.e-cruz.net/

「長崎銘菓しあわせクルス」(12枚入)

「長崎銘菓しあわせクルス」(12枚入)
価格:¥810(税込)
店名:長崎銘菓「クルス」オンラインショップ
電話:0957-75-0115(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.e-cruz.net/shopdetail/000000000154/012/O/page1/order/
オンラインショップ:http://www.e-cruz.net/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
金澤昌江(小浜食糧株式会社 代表取締役)

1961年長崎県生まれ。1982年に活水女子短期大学食物専攻科を卒業後、小浜食糧株式会社入社。1990年直営店ボンパティ1号店西洋館店をオープン、店長を務める。その後、直営店12店舗ほどのオープン・運営・リニューアルなどに携わる。2012年代表取締役就任。

<文・撮影/坂見亜文子 MC/矢口優衣 画像協力/小浜食糧>

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