ポルトガルの宣教師が日本に伝えたとされる「カステラ」。紅茶やコーヒーに合う洋菓子であり、日本ならではの和菓子でもある特別なおやつです。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのはカステラの老舗が作る「KOYODOプレミアムたまごカステラ」と「ミルクサンド／プレーン6個セット」。商品の魅力について、株式会社紅葉堂 代表取締役社長 渡辺裕晃氏に取材陣がお話をうかがいました。

―会社の沿革をお聞かせください。

渡辺　1946年に私の祖父が創業し、今年で78年目になる会社です。戦後間もないことから甘いものが貴重だった時代に、祖父は「みんなが笑顔になるものを作りたい」という思いでお菓子屋を始めたそうです。私たちは祖父の意思を引き継ぎながら商品へのこだわりを深めて、「国産原料を使用する」「添加物をなるべく排除する」といった取り組みをしています。安心・安全を心がけ笑顔になれるものがお菓子であり、大切な方と食べたくなるような商品作りを心がけています。

―「KOYODOプレミアムたまごカステラ」はどんな商品ですか？

渡辺　看板商品であるカステラの認知度を上げるため「国産小麦粉だけを使ったカステラ」を新たに作り、訴求ポイントとしました。近年は製造ノウハウが業界内で共有されてきたものの、開発当時は原料供給の安定度が低いことから、カステラに国産小麦を使うメーカーは大変希少でした。弊社では特性の違う2種類の小麦粉を独自にブレンドしている点もこだわりで、もっちり・しっとりとしながらも口どけのいい食感に仕上げています。

国産小麦粉（埼玉産、北海道産など）を使用。
高級カステラでは、品種の違う小麦粉をブレンド使用することで、様々な食感や風味を作り上げている。

―こだわりの原料について。

渡辺　ブランド卵にさらに卵黄を追加することで、カステラの味わいがより濃厚となりました。ちなみに高級カステラとされる「五三焼カステラ」の定義は諸説あり、一般的には「卵白3:卵黄5」の割合で作るとされています。プレミアムたまごカステラも五三焼に近い比率で製造するため、普通のカステラとの違いを感じて頂けると思います。

卵は、未殺菌の、冷凍でないフレッシュな卵を使用。
各地のブランド卵、地卵など様々な味わいの卵から選んでいる。

渡辺　砂糖は北海道産ビート糖を使い、阿波和三盆糖を隠し味としています。阿波和三盆糖という通常の砂糖よりも高価格となる高級原料を用いることで、奥行きのある甘さと複雑な味わいが実現しました。水飴は無色透明で甘い一般的なものではなく、黄金色でコクと旨味のある昔ながらの「米飴」を使用しています。

北海道産のてんさい糖、阿波和三盆糖など、こだわりの砂糖を使用。
水あめも日本古来からの米飴を使っている。

渡辺　アルゼンチン産はちみつは、日本人が好むクセのない味でありながら独特の風味を持ちます。濃厚な卵とコクのある甘みに負けず、それでいて主張しすぎない華やかでフルーティーな香りがあるので、高価格な原料ですが高級カステラに使用しております。このようにすべての原料にこだわった、他にはないカステラということで「プレミアム」と冠しました。

卵の風味をしっかりと感じる上質なカステラ。もっちり感もクセになる。

―印象的なエピソードはありますか？

渡辺　「モンドセレクション金賞」「iTQi（優秀味覚賞）味覚賞 二つ星」「料理王国100選2019」に選ばれました。「高級感のあるカステラは贈答用」として利用することが多く、お手頃なカステラを自分で買って「好きじゃない」と感じる方は多いそうです。しかし、ご家族の方がプレミアムたまごカステラをお子さんやお孫さんにおすそ分けしたところ、「今まで食べてきたカステラと違う！」とびっくりされたお話もあります。スーパー様やコンビニ様で買われるカステラとの味の違いを感じ、こだわりのカステラのおいしさを知った方が、ご自宅用に購入されるケースは少なくありません。

―パッケージにも高級感があります。

渡辺　シンボリックなブランドロゴを作る際に、和菓子なので家紋を意識しつつ、洋風にも感じられるデザインにしました。洋菓子を進化させた日本のカステラは、カテゴリとしては昔ながらの和菓子だと思います。お菓子といっしょに今後も残していきたい日本の文化として、贈答用の化粧箱には日本伝統の印刷技術である「箔押し」をしています。

箔押しのロゴがより高級感を演出している。

―「ミルクサンド／プレーン6個セット」の魅力も教えてください。

渡辺　和菓子をあまり食べない方にも手に取っていただけるように「どら焼きにクリームを挟んで洋風にしよう」という発想から生まれました。弊社のどら焼きは昔から「生地もおいしい」と評判で、生地だけをアウトレットで販売することもあります。ミルクサンドの生地は、あくまでもミルクを邪魔しない特別なレシピで作っています。この商品をきっかけに、他の和菓子にも興味を持っていただけたらうれしいです。

クリーム系スイーツ好きにはたまらない新しい味わい。

―プレーンのクリームはどんな味わいですか？

渡辺　北海道産マスカルポーネチーズと生クリーム、ビート糖を中心としたクリームです。マスカルポーネはチーズ特有のクセがなくミルク感があります。酪農国のフランスでは生クリームのコクを出すためマスカルポーネを使うと聞き、「クリームを味わいたくなるお菓子」を目指してレシピの参考にしました。沖縄の塩を使って甘みを際立たせることでシンプルだけれどもクリームの美味しさを追求した、重さやしつこさのないクリームとなっています。
添加物は生地を膨らませる重曹しか入っていないため、消費期限は要冷蔵で2～3日ですが、ECサイトでは冷凍にて販売しております。クリームの風味がわかりやすいように、冷たすぎない状態で食べるのが私のおすすめですが、半解凍でアイスクリームのように楽しまれる方もいます。

なめらかで喉ごしのいい、こだわりのクリーム。

―今後の展望について。

渡辺　原料包材や人件費のコストが上がる中でも、お客様に手に取っていただける価格の商品を作り続ける方法を模索しています。最も守りたいものは「商品価値」です。安全でおいしい商品としての価値と高級感・プレミアム感のバランスを取りつつ、ブランドを構築していきます。より良いものを作り、次の100年に向けて事業化していきたいと思います。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「KOYODOプレミアムたまごカステラ＜贈答用＞1本」（10切れ分相当）
価格：¥1,900（税込）
店名：カステラの紅葉堂
電話：0493-62-7887（9:30～17:00）
定休日：土日祝 インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://koyodo.shop-pro.jp/?pid=167349106
オンラインショップ：https://koyodo.shop-pro.jp/

「ミルクサンド／プレーン6個セット」（冷凍便／常温品との同梱不可）
価格：¥1,980（税込）
店名：カステラの紅葉堂
電話：0493-62-7887（9:30～17:00）
定休日：土日祝 インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://koyodo.shop-pro.jp/?pid=167348175
オンラインショップ：https://koyodo.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
渡辺裕晃（株式会社紅葉堂 代表取締役社長）

1975年生まれ。デザイン業界を経て、2005年に家業である株式会社紅葉堂へ入社。2017年、代表取締役社長に就任。前職のデザインやカタログ販売知識を活かし、社内でのデザインや企画等を全て自社で行うようにする。デザインだけでなく商品開発や営業、購買と多岐にわたり携わることで全体の把握を徹底。今後の紅葉堂についての模索を日々行う。

＜文／マスダアヤノ　MC／津田菜波　画像協力／紅葉堂＞