健康を意識して塩分控えめを心がけている人は少なくありません。減塩醤油は数あれども、「これぞ!」と言える商品が見つからないという声もよく聞かれます。今回、編集長アッキーが注目したのは、食塩分を35%カットしつつも無添加とおいしさを追求した「減塩寒仕込み醤油 蓮華」です。製造・販売元である宮島醤油株式会社の代表取締役社長 宮島治氏に商品の開発秘話などを伺いました。
食材を引き立てるまろやかな塩味!自然のまま熟成させた「減塩寒仕込み醤油 蓮華」
2024/07/29
宮島醤油株式会社 代表取締役社長の宮島治氏
―御社の創業について教えてください。
宮島 弊社は1882年に創業し、今年で142年を迎えました。創業当時は日本の食文化が近代化へと進んでいく時代であったため、醤油の消費量も人口以上に伸びたそうです。醤油の醸造業からスタートし、後に同じ発酵食品である味噌や酢を製造するようになりました。
佐賀県唐津市にある本社。
昭和初期に建てられた木造の社屋は歴史を感じさせる佇まい。
宮島 平成になるとさらに事業は多角化し、焼肉のたれや粉末スープ、液体スープ、レトルト食品、冷凍食品、スパゲッティのソースなど、さまざまな商品を造る会社に発展しました。現在は総合食品メーカーとして、バラエティ豊かな商品をお客様へお届けしています。
―醤油の醸造業を始める以前は海運業をされていたそうですね?
宮島 弊社を創業する以前は海運業をしていました。昔、佐賀県唐津市のあたりには炭鉱がたくさんあり、そこで採れた石炭を大きな船に積んで東京へ運んでいました。ある時、東京へ石炭を運んだ帰りの静岡県沖で船がバラバラになるほどの事故を起こしました。乗組員は皆無事でしたが、海運業のリスクを思い知ったそうです。事故だけなく景気の波も影響する仕事であるため、もっと安定した事業に舵を切ろうと醤油の醸造を始めたと聞いています。
―幼い頃から家業を継ぐつもりでしたか?
宮島 家業を継ぐつもりはありませんでした。私の父が弊社と共に宮島商事という関連会社の経営をしていたため、そのご縁で私は日本化薬株式会社に入社しました。そこに36年間勤務してずっとさいたま市に住んでいたのですが、5代目社長であった私の父が9年ほど前に亡くなりました。その際、当時6代目の社長となっていた従兄弟から一緒に仕事をしようと誘われ、2017年に弊社へ入社しました。
―御社が大切にしていることとは?
宮島 弊社には「去華就実(きょかしゅうじつ)」という社是があります。これは最後の唐津藩主の跡継ぎの方が弊社の創業者に贈った言葉なのですが、「外見の華やかさよりも、本当に実のある、意味のある大切なことに力を注ぎなさい」という意味です。明治時代から今までずっと、社員が大切にしている言葉です。
会社の根本精神として受け継がれてきた言葉を大切に、
誠実な社風を守り通してきた。
―「減塩寒仕込み醤油 蓮華」を開発したきっかけは?
宮島 減塩醤油はいろいろ売られていますが、少し物足りない味わいのものが多い印象でした。減塩醤油は酸味料や調味料を入れて味を整えるのが一般的ですが、それらを使用せずにおいしい減塩醤油を造りたいという声が社内で上がったのが開発のきっかけです。そこから弊社が長年培った醸造技術のみでおいしい減塩醤油を造ることになりました。
―どのような味わいが特徴ですか?
宮島 普通の醤油に比べてまろやかな味わいです。「さいしこみ醤油」といって2回仕込む醤油なのですが、醤油の種類の中でも一番旨味成分が高いといわれています。通常のさいしこみ醤油に比べて「減塩寒仕込み醤油 蓮華」は35%塩分を少なくして造っています。まろやかで素材の味をより感じられる醤油であるため、お刺身でいただくのがおすすめだと思います。
魚はもちろん、
食材の繊細な味わいを引き立てる角のないまろやかな塩味が特徴。
―製造方法など、他の商品との違いを教えてください。
宮島 一般的な減塩醤油の造り方は、「脱塩法」といって機械を使って脱塩処理をしてから味を調整します。しかし、「減塩寒仕込み醤油 蓮華」は脱塩法を行なわず、普通の醤油と同じ製法で製造しています。
調味料や保存料などを入れず、
低塩仕込み法でじっくり熟成させる製造法を採用している。
宮島 1年に一度だけ寒い冬に仕込み、季節の移ろいに合わせて熟成して春にしぼります。そのため、春のみ新しい製品を出荷する年に一度の限定商品です。
―製造する上で大変なことはありますか?
宮島 「減塩寒仕込み醤油 蓮華」は脱塩の工程を入れず、仕込む時から塩分が低い状態であるため菌のコントロールが難しく、常に気を配りながら造っています。頻繁に醤油の状態を確認して異常がないかを確かめながら熟成させるのが大変です。
―蓮華という商品名の由来は?
宮島 弊社の醤油は「ばら」や「さくら」など、花の名前がついている商品が多いです。蓮華草の種は秋の田んぼに撒かれると土の窒素を蓄えて、春に可憐な花を咲かせるそうです。同じように冬に仕込んで春の終わりにしぼって出荷するこの醤油が蓮華草に似ているということで、「蓮華」という名前をつけました。
蓮華の花言葉「心和らぐ」ように、
さまざまな料理に寄り添うという想いも込められている。
―こだわったポイントは何ですか?
宮島 醤油の容器はこだわったポイントの1つです。容器の白い瓶は、江戸時代に長崎から外国に醤油を輸出する時に使われていた「コンプラ瓶」を模して造りました。瓶はペットボトルの容器などに比べて保存期間が長く、「減塩寒仕込み醤油 蓮華」の賞味期限は2年です。
コンプラ瓶を模した陶器の容器は長期保存という利点に加え、
特別感を演出している。
―今後のビジョンをお聞かせください。
宮島 「減塩寒仕込み醤油 蓮華」は現在デパートや弊社のオンラインショップなどで限定販売しておりますが、このおいしさをできるだけたくさんの方に味わっていただけるように、取り扱っていただくお得意様を増やしていきたいと考えています。
また、会社の方針としては世の中やライフスタイルの変化、人々のニーズなどに合わせて、新たに受け入れられる価値ある製品を生み出していきたいと思っています。今後も減塩を始めとする健康志向食品に力を入れ、人々の健康に少しでも貢献できるような会社でありたいです。
―貴重なお話をありがとうございました!
「減塩寒仕込み醤油 蓮華」(300ml)
価格:¥1,620(税込)
店名:宮島醤油オンラインストア
電話:0955-73-2151(土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://miyajima-soy.net/item-detail/1429949
オンラインショップ:https://miyajima-soy.net/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
宮島治(宮島醤油株式会社 代表取締役社長)
1959年福岡市生まれ。佐賀県唐津市で青春時代を過ごす。日本化薬株式会社に入社し、36年間さまざまな業務に従事した後、2017年に宮島醤油株式会社へ入社。2022年に代表取締役社長に就任。佐賀県バドミントン協会会長として、2024年に唐津市で開催される「SAGA2024国スポバドミントン競技大会」の準備にも力を注いでいる。佐賀県社会保険労務士会所属。
<文/ウツギナオコ MC/矢口優衣 画像協力/宮島醤油>