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和食にも洋食にも!素材の色を生かして味を引き締める老舗の「白醤油」

2024/08/08

醤油は日本の食卓に欠かせない調味料です。醤油には、褐色の薄口醤油や黒に近い濃口醤油のほか、透き通るような黄金色をした「白醤油」があることをご存じでしょうか。中部地方ではなじみのある醤油で、和食をはじめ幅広いメニューの味付けに使われています。
今回、編集長アッキーが注目したのが、その「白醤油」。白醤油の発祥の地であり、本場として知られる愛知県碧南市の老舗、ヤマシン醸造株式会社 代表取締役社長の岡島晋一氏に、味の特徴や使い方、醸造するうえでのこだわりなどのお話を取材陣が伺いました。

ヤマシン醸造株式会社 代表取締役社長の岡島晋一氏
ヤマシン醸造株式会社 代表取締役社長の岡島晋一氏

―御社の歴史を教えてください。

岡島 創業は1802年です。当社のある愛知県碧南市には醸造家が多く、うちも当初は醤油やみりん、味噌などを販売していたようで、白醤油のみに特化したのはおそらく明治の頃です。1936年の大火ですべてが焼けたため、過去帳などが残っておらず詳しいことは分からないのですが、私で8代目もしくは9代目だと思います。

―白醤油が生まれたきっかけは?

岡島 たまり醤油が大豆を使った豆味噌の上澄みから生まれたように、白醤油は麦が主原料である金山寺味噌(きんざんじみそ)の上澄みから生まれたといわれています。原料や塩が貴重な時代ですので、上澄みを捨てずに料理に使ったり、食べ物に付けてみたりしたらおいしかった、というところから発生したのではないでしょうか。当時は白醤油という名前もなく、「白ひしお」と呼んでいたらしいです。

―白醤油はどんな料理に使うのですか?

岡島 主に鍋や煮炊きものです。色が薄いため、魚のタイを煮ると表面の薄いピンク色がきれいに出るなど、素材本来の色合いを生かせるというよさがあります。割烹料理にも向いていますし、茶碗蒸しのような淡い色の料理にもぴったりです。味の特徴は、まろやかさとコク味です。おでんもカツオで出汁をとって白醤油で仕上げると、奥深さのある味わいになります。それで味がもの足りないと感じたときは、濃口醤油を少しだけ足してください。そうすると味がキュッと引き締まります。
白醤油は醤油ではあるものの、いわゆる醤油っぽさは強くありません。コク味があることからカレーやシチューに入れれば味が引き締まり、なおかつうま味が増します。

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白醤油を使うことで、お店のような味わいに。

―愛知県では白醤油を日常的に使うのでしょうか?

岡島 濃口醤油と白醤油の両方を使う人が多いと思います。白醤油と用途がかぶる薄口醤油はあまり使われません。一方で関西では、薄口醤油ですべてをまかなうことが多く、白醤油は使ったことがないという人が多数派です。

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愛知県ではうどんつゆやお吸い物などに白醤油が広く使われている。

―薄口醤油と白醤油の違いは?

岡島 薄口醤油は、濃口醤油の色が薄いバージョンです。濃口醤油の醸造過程で甘酒を入れ、もろみを薄くして絞ります。白醤油は原料の段階で小麦を多く使うことで色を薄くするため、色は薄口醤油よりも薄くなりますし、味わいも独特です。塩分濃度は薄口醤油とほぼ同じですが、うま味成分は少なく甘味が高めで、原液を舐めるとしょっぱいと感じます。

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白醤油の色は淡い黄金色。

―今回ご紹介する「ヤマシン白醤油(特級)」について教えてください。

岡島 当社で一番古い白醤油で、ヤマシン醸造の顔ともいえる製品です。醸造に使う麹の原料は小麦が9割、大豆が1割で、味も醸造方法も昔から変わっていません。杉の醤油桶で3ヶ月かけて仕込んでまず一番醤油を引き、その後桶に残っている小麦と大豆に塩水を加えてもう一度3ヶ月間仕込み、二番醤油を引きます。当社では、一番醤油と二番醤油のブレンドの比率によって製品のグレードを変えています。

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昔ながらの木桶で仕込む。

―もうひとつの「極白醤油」はどんな製品ですか?

岡島 先代の父が、「白醤油はうま味成分が少なく、醤油らしさがない。もう少し醤油っぽい味の白醤油を造りたい」と考えて生まれたものです。おいしい白醤油を造るために東京農業大学の先生と組み、小麦や大豆の成分をいかに引き出すかという点にスポットを当て開発しました。従来の白醤油と比べると、うま味成分が30%ほど増え、塩分濃度は20%ほど下がっています。うま味が舌にのってくるような感じで、おいしく味わっていただけます。

―御社では「オリーブ白しょう油」という洋風の製品も手がけています。

岡島 イタリアンでパンにオリーブオイルをかけるときに塩を足すのを見て、「塩の代わりに白醤油が使えるのではないか」と試したところ、非常に相性がよいことが分かり、商品化に至りました。パンに付けたり、カルパッチョのソースにしたりなど、すぐに使える一品にしたいと考え、バジルやタイム、オレガノなどを入れてブラックペッパーと乾燥させたガーリックで味にパンチを加えています。焼いた肉や魚、野菜、サラダなどにかけるだけでおいしく味わえます。

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4つのタイプがある「オリーブ白しょう油」。

―最後にこれからの展望をお聞かせください。

岡島 今後も食卓を彩る商品を提供していきたいと考えています。今は忙しい人が多く、ゆっくりと食事をする時間もなかなか取れないかもしれませんが、おいしいものを食べるときの幸福感は大事なものです。「ヤマシン醸造の商品を使って料理をすると子どもが喜んでくれる」「家族にまた作ってとリクエストされる」と言われるようなもの、食事を楽しむための力になれるものを出していきたいと思います。

―確かに、豊かな食卓にはおいしい調味料が欠かせません。本日はありがとうございました。

ヤマシン白醤油(特級)(360ml)

「ヤマシン白醤油(特級)」(360ml)
価格:¥378(税込)
店名:ヤマシン醸造株式会社オンラインショップ
電話:0566-41-2231
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yamashin-shoyu.com/?pid=131670269
オンラインショップ:https://yamashin-shoyu.com/

極(きわみ)白醤油(360ml)

「極(きわみ)白醤油」(360ml)
価格:¥484(税込)
店名:ヤマシン醸造株式会社オンラインショップ
電話:0566-41-2231
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yamashin-shoyu.com/?pid=131670504
オンラインショップ:https://yamashin-shoyu.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
岡島晋一(ヤマシン醸造株式会社 代表取締役社長)

1965年、愛知県碧南市生まれ、碧南育ち。大学卒業後、食品問屋、石油化学メーカーで勤務ののち家業であるヤマシン醸造に入社。10年以上醸造・生産部門で勤務後、実父の逝去により社長就任。現在に至る。

<文・撮影/坂見亜文子 MC/三好彩子 画像協力/ヤマシン醸造>

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