今回編集長アッキーが注目したのは、上野で誕生以来75年以上の歴史を数える、あんみつ。こだわり抜いた素材から生まれる、あっさりとして品のある味わいが魅力です。有限会社みはし 代表取締役の佐藤一也氏は、お客様の声を何よりも大切にしながら、この伝統の味を守り抜いてきました。コロナ禍で生まれたお取り寄せ用のアイスにもその思いが引き継がれています。上野の思い出とともに、みはしのあんみつを愛してくれるファンを大切に育みたいと語る社長の、熱い思いを伺いました。
上野の銘店が素材にこだわり抜いた「あんみつ」と「カップあいす パリッと最中」
2024/08/09
有限会社みはし 代表取締役の佐藤一也氏
―上野の歴史あるあんみつ屋さんと聞くだけで、おいしそうだなとワクワクします。
佐藤 昭和23年(1948年)、戦後の混乱の中で祖母と父が開店したのが「みはし」です。父は戦前の甘味処の定番メニューのお汁粉にかえて、当時、銀座の和菓子店の喫茶で人気のあんみつをまねて始めました。店内はお客さんでぎゅうぎゅうだったようです。
食糧不足や配給制によって、砂糖や小豆の入手に苦労した。
―社長は若くして家業を継いでいらっしゃいますね。
佐藤 私は台東区で生まれてから出たことがないのですが、3代は続いていないので、自分を江戸っ子と言っても良いかは分かりません(笑)。幼い頃は店舗と住宅が離れていたので、あまり家業があんみつ屋であると意識せずに育ったのですが、店の売上が伸びて自宅を半分あんこ工場にしてからは、意識せざるを得ませんでした。豆を煮る音や香り-。あんこに囲まれて成長しました。遊びに来た友達も印象的だったようです。
大学を出てからは会社員になり、当時まだまだ一般的ではなかった外資系企業でコンピュータ販売の営業として働いていました。家業を継ぐことなんて全く考えていなかったのですが、父が病に倒れ、急遽私が店を継ぐことになりました。26歳の時です。上司の実家は焼き鳥屋で、様々な相談やアドバイスを頂きました。当時は、父の余命宣告を聞き、父の闘病生活を共にしながら、平日は会社勤務、土日は店の引継ぎなどが続き人生は目まぐるしく変わりました。
―みはしはどんなあんみつ屋ですか。
佐藤 70年近く変わらずに、あんみつなどの甘味を作ってきました。コロナ禍を経て最近は客足が戻って来ていますが、コロナ禍前の水準で、一日3,000食は出ていましたね。本店だけで2,500個オーダーがあった日もありました。これだけ皆さんにご愛顧いただいているのは、素材にこだわりそれを守っているからだと思います。
懐かしく、温かみのある店舗。
―素材にこだわったあんみつなんですね。
佐藤 一番大切なあんの原料である小豆は、北海道のえりも小豆を使っています。希少品種で“幻”とも言われていますが、100%これを使っていますね。黒蜜にマッチするおいしさです。その黒蜜は、沖縄の波照間島の黒砂糖を原料にしています。黒糖はいろいろあるんですが、やっぱり味を変えたくないんですよ。どちらも安定して調達するのには苦労しますし、値段も高騰しているので大変です。黒砂糖なんかは、リスクに備えて1年半分備蓄しているほどです。みかんは近年さまざまな品種が出ていますが、温州みかんにこだわっているので、これも確保が大変です。農家の高齢化などで出荷量が減少傾向にあるからです。またみつ豆などに使っている杏はアメリカのカリフォルニアから仕入れていましたが、昨今の異常気象の影響でアーモンドに転作になってしまいました。現在は南アフリカから同じ品種を輸入しています。
年々入手が難しくなるこだわりの素材が、ふんだんに使われている。
―それだけこだわっていると、長年のファンも喜びますね。
佐藤 長く営業していますから、あんみつを送って欲しいと要望されることもあります。
以前は近くに住んでいてよく行っていたけど、引っ越してなかなか東京には行けなくなったという方も多くいます。年配の母が懐かしい、どうしてもまた食べてみたい。
もともとお土産に持ち帰り商品は出していたんですが、日持ちしにくい商品なので配送には消極的でした。しかしご要望も増え百貨店からのお声がけもあり、お中元用のギフト商品を作ることになりました。そんな経緯で配送での販売もだいぶ前から始めていました。
―配送販売をしていたことで、コロナ禍には良かったのではないですか。
佐藤 おっしゃる通りで、コロナ禍ではテイクアウトやお取り寄せの需要が大きかったですね。それでも売り上げは落ち込みましたから、何か新しいことができないかと開発したのが、販売用のカップアイスです。カップアイスの販売は法律上必要な設備があり、店頭で渡すアイスとは違う区分けなんですよ。もともとその場で食べるアイスはあったので、業態転換の助成金を申請して、それを活用してカップアイスとしても販売できるようにしました。
もなかとアイスを別包装して、お家でもパリパリ感を楽しめるようにしています。こちらも百貨店からのお声掛けに応じて商品開発をすすめました。
店舗でも人気の商品を自宅でも楽しめる。
―素敵なお店作りに感動しました。今後もお客様に寄り添うお店を守り続けてください。
佐藤 あんみつはどこまで行っても嗜好品ですから、毎日食べるものではないと思います。でも、たまに思い出してどうしても食べたくなる商品でありたいですし、そのために味を守り、品質やサービスを向上させ続けたいです。季節のフルーツを使った限定メニューを年中出しているので、いつ来ても楽しい・おいしい・また行きたいと思ってもらえたら最高ですね。上野の思い出と一緒に、変わらず大切なお客様と共に育んでいきたいです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「あんみつセット」(4個)
価格:¥2,120(税込)別途送料
店名:上野公園前 あんみつみはし オンラインショップ
電話:0120-17-0384(10:00~18:00)
定休日:無休
商品URL:https://mihashi.jp/i/set-anmitsu
オンラインショップ:https://mihashi.jp
「アイスとパリッと最中付き 小倉・抹茶・バニラ 各4個」(12個セット)
価格:¥4,800(税込)別途送料
店名:上野公園前 あんみつみはし オンラインショップ
電話:0120-17-0384(10:00~18:00)
定休日:無休
商品URL:https://mihashi.jp/i/set-cupice12piece-monaka
オンラインショップ:https://mihashi.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐藤一也(有限会社みはし 代表取締役)
1955年東京生まれ。立教大学卒業後、日本オリベッティ株式会社入社、4年後の1981年にみはしへ入社、1983年に代表取締役に就任。社業と共に地域ボランティア活動も継続。現在は(公社)上野法人会会長、上野まちづくり協議会会長を務める。
<文・撮影/鈴木満優子 MC/伊藤マヤ 画像協力/みはし>