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食の都・鶴岡の地で130余年!「餡」にこだわる老舗のロングセラー「古鏡(こきょう)」

2024/09/18

日本全国さまざまなお菓子がある中で、「地元の銘菓」と評されるものはひと握りといえます。今回、編集長アッキーが注目したのは、山形県鶴岡市で発売から50年間ずっと地元の人に愛され続ける「古鏡」です。この銘菓を生み出した有限会社木村屋の代表取締役 吉野隆一氏に、老舗の歩みや「古鏡」のおいしさの秘訣など、いろいろと伺いました。

―御社は今年で創業137年目と伺いました。

吉野 弊社は1887年に創業し、私で4代目になります。創業者が「酒種あんぱん」で有名な東京銀座の木村屋総本店で修業し、当時はご主人様と一緒に全国に木村屋の酒種あんぱんを広める活動をしていたそうです。1875年には水戸藩下屋敷を行幸された明治天皇と皇后陛下も酒種あんぱんを召し上がられ、皇后陛下からは「文明開花の味がする」というお言葉も授かったと聞いています。

その後、創業者が山形県鶴岡市に駐屯地ができるのを知って好機と捉え、暖簾分けという形で鶴岡市にお店を開きました。従業員が暖簾分けしていただいて創業した中では、弊社が一番古いと思います。

―創業当時はどのようなお菓子を販売していましたか?

吉野 創業者が洋菓子作りの知識と技術を持っていたため、酒種あんぱんはもちろんですが、他にもチョコレートやドロップス、メレンゲを使ったお菓子、クッキーなども作っていたと聞いています。大正時代にはクリスマスケーキも販売し、当時おそらく東北地方で初めての試みだったと思います。

その他
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鶴岡市史では、木村屋を「鶴岡はじまって以来の洋菓子店」と紹介している。

―御社が大切にしていることは何ですか?

吉野 お客様を大切にし、おいしいお菓子を作ってお客様に喜んでいただきたいと考えています。また、弊社で働いている従業員を大事にすることや弊社に対して誠実な姿勢で取引してくださる問屋さんに誠実に対応すること、安心安全のお菓子づくりなども心がけています。

創業以来、弊社は地元のお客様に支えられておりますので、山形県や庄内地域の文化を発信して、鶴岡市の魅力を全国に伝えていくことも企業として大切にしています。

―「古鏡(こきょう)」という商品名の由来は?

吉野 昭和30年代になると東京へ働きに出る人が増え、当時弊社としては地元を代表するようなお土産となる新商品を開発したいと考えていました。地元の歴史文化を全国へ発信したいとの想いもあったため、羽黒山から出土した銅鏡をモチーフに「古鏡」を作りました。

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「古鏡」のパッケージデザインは鏡池から出土した銅鏡をモチーフにしている。

吉野 羽黒山は、鶴岡市の近郊にそびえる月山と湯殿山と合わせて「出羽三山」と称される修験道の山です。羽黒山山頂に造られた三神合祭殿(さんじんごうさいでん)の前の鏡池からは平安・鎌倉・江戸時代中期までの古い銅鏡が出土しており、それらは国の重要文化財にも指定されています。

―「古鏡」はどのようなお菓子ですか?

吉野 「古鏡」は発売して50年のロングセラーであり、ずっと人気ナンバーワンを維持している商品です。発売から売り上げは下がることなく、今でも少しずつ増え続けています。「古鏡」の表面には薄氷という1ミリ程度の砂糖が張ってあり、最初はサクッとした食感です。その後から柔らかくジューシーな餡の味わい、弾力のある求肥のもちっとした楽しい歯触りが続きます。

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「古鏡」は手のひらサイズでずっしり重め。
噛むたびにいろいろな食感が楽しめる。

―「古鏡」に使われている餡の特徴を教えてください。

吉野 「古鏡」にはこだわりの粒餡を使用しています。最初に専用の豆煮釜で小豆を煮炊きした後、柔らかくなった小豆と砂糖を数回に分けて機械で練っていきます。その工程は3日間くらいかかるのですが、練り上げると小豆が水分を吸って中まで砂糖が浸透して蜜のようになります。

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粒の揃った上質な小豆のみを使用し、手間ひまかけて丁寧に餡へと仕上げていく。

―こだわりの餡を作る上で苦労されたことは?

吉野 いつでも同じおいしさをお客様にお届けできるよう、50年間季節やその日の気温、小豆の状態に合わせて少しずつ改良したり調整したりしながら餡を作ってきました。状況に合わせて小豆の糖度を均一にするのには苦労します。

―お客様の声で嬉しかったものは?

吉野 「古鏡」を食べて地元の四季折々の美しい風景を思い出したというお声や、30年以上前に上京した時に下宿先にお土産として「古鏡」を持って行った当時の思い出がよみがえってきたというお声など、さまざまなご感想をいただきます。「自信を持って差し上げられる銘菓です」と言っていただけると本当に感動します。お菓子屋冥利に尽きるといいますか、一生懸命に作ってよかったと感じます。

その他
お茶やコーヒーなどとの相性も抜群。甘いものが好きな方への手土産に喜ばれそう。

―最後に、今後の目標やビジョンを教えてください。

吉野 今の時代は進歩が早く、人の価値観が大きく違ってきていると感じます。今は時代や人の変化にどう対応していくかを考える時であり、弊社としは時代に合った新商品を開発していきたいと思っています。また、弊社には鶴岡市の特産であるだだちゃ豆のパウダーを使用した「だだちゃ豆右衛門」というシリーズがあるのですが、そのように地元のおいしい農産物やお米などを使ったお菓子もどんどん作っていきたいです。山形にはさまざまな特産品や食文化があり、特に鶴岡市はユネスコ食文化創造都市に認定された食の都です。弊社もおいしいお菓子で地元を盛り上げていきたいと思っています。

―貴重なお話をありがとうございました!

商品

「古鏡」(3個入~36個入)
価格:¥594~(税込)
店名:つるおか菓子処木村屋《公式》
電話:0120-368-222(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kimuraya-shop.jp/fs/kimuraya/c/gr29
オンラインショップ:https://www.kimuraya-shop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
吉野隆一(有限会社木村屋 代表取締役)

1954年山形県生まれ。東京都世田谷区にある「カワムラ洋菓子店」で洋菓子の修業をした後、「横浜ポンパドール」の小田急ハルク店でパンの修業を行う。1977年に有限会社木村屋へ入社。常務、専務を経て、1999年に社長に就任。

<文・撮影/ウツギナオコ MC/伊藤マヤ 画像協力/木村屋>

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