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これが讃岐の味!老舗のこだわりが詰まった特別仕込みの「白みそ」

2024/08/21

日本の食卓に欠かせない味噌には、多くの種類があります。今回、編集長アッキーが気になったのが、四国の香川県のほのかな甘味がおいしい「白味噌」。2023年には、地域の食を守る農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に「サヌキ白みそ」が登録され、注目が高まっています。

ご紹介するのは、香川県観音寺市の味噌蔵「イヅツみそ」で造られている「特別仕込みの白味噌」です。味噌づくりだけでなく、「サヌキ白みそ」のGI認証にも尽力した、株式会社イヅツみそ代表取締役社長の田中德兵衞氏に、開発のきっかけやおいしい食べ方などを取材陣がお聞きしました。

株式会社イヅツみそ 代表取締役社長の田中德兵衞氏
株式会社イヅツみそ 代表取締役社長の田中德兵衞氏

―まずは会社のことをお聞かせいただけますか。

田中 イヅツみそは1931年に香川県観音寺市で創業した味噌蔵で、私が社長に就任したのは2017年のことです。先代の社長である久保さんが、健康上の理由から会社を続けていくことが難しくなり、「讃岐の白味噌の伝統を守ってくれる人に会社を譲りたい」ということで、引き受けることになりました。

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現在は白味噌、白味噌粒のみを製造販売。

―社長ご自身の経歴も教えてください。

田中 私は埼玉県川口市の生まれです。家業である田中德兵衞商店は味噌を取り扱う卸問屋ですが、私が小学生の頃までは醸造も手がけていました。ですから味噌づくりは身近で、子どもの頃は味噌蔵の中で遊んだり、手伝ったりしていたものです。しかし川口市では地下水のくみ上げによる地盤沈下が問題になり、父の判断で味噌づくりをやめ、卸問屋に専念したという経緯があります。ただ、私のなかにはずっと「いつかチャンスがあれば、もう一回味噌を造ってみたい」という思いがありました。そんなときに久保さんからお話をいただき、実際に香川県の工場を見せてもらったところ、合理化も進んでいるし、山と海に囲まれた環境も素晴らしい。そういった訳で話が進み、私が社長に就任しました。

―イヅツみその商品は、自然豊かな場所で造られているのですね。

田中 味噌は蔵によって味が違うのが特徴です。これを「蔵ぐせ」といい、「蔵ぐせ」を象る麹菌は、一説では田んぼの稲わらや稲の穂のなかから風に乗って飛んでくるといわれています。環境が味噌の個性を作っているということです。

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タンクで熟成中の白味噌。

―社長は「サヌキ白みそ」のGI認証にも取り組まれたと伺いました。

田中 白味噌の文化圏で有名なのは京都府や岡山県ですが、実は瀬戸内海を挟んだ香川県の讃岐も含まれます。GI認証を受けることでアピールになりますし、正統な商品であることも示すことができます。

日本の人口が減ってきている今、数十年先のことを考えると、海外で評価される商品が必要になってくるでしょう。しかし今は、パッケージが似ているだけで中身はまったく違う粗悪なものが出回ってしまうことも少なくありません。GI認証があれば、紛らわしい商品が出回ったとき、日本政府が「その商品は違うものです」と言ってくれるので、ブランドを守るという点では非常に強力な手段だと感じています。

―今回ご紹介する「特別仕込みイヅツの白みそ」はどんな商品なのですか?

田中 2023年の年末に、白味噌が一番よく出るお正月に向けて、「最高級の白味噌を作ってみよう」と挑戦して開発したものです。当社で作っている一般的な白味噌には輸入米を使っていますが、「特別仕込みイヅツの白みそ」に関しては国産米にこだわって仕込み、大豆も厳選したものを使用しました。大豆とお米の割合をあらわす「麹歩合」は22割で、大豆に対して2倍以上のお米を使っているため、非常に甘くておいしい白味噌に仕上がっています。

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なめらかな色合いと自然な甘さが特徴の白味噌。

―特徴を教えてください。

田中 味を分かりやすく表現すると、「甘い」です。味噌の甘さは、お米が分解されてできる糖の甘さですので、米をたくさん使うと甘い味噌ができます。一番イメージとして近いのは甘酒の甘さです。米は高価ですので、普段使いするものよりもぜいたくな味噌として特別なときに手に取っていただけるよう、パッケージにもこだわりました。また、保存料や着色料などは使用していません。

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シンプルながら高級感のあるパッケージ。

―白味噌は香川県ではどんなふうに食べられているのでしょうか?

田中 香川県ではお正月に、あん入りの丸餅を使用する白味噌仕立ての「あんもち雑煮」を食べます。私も初めて食べたときは口に合うのか心配でしたが、意外とおいしく、関東で開催された食の展示会で振る舞ったときも大好評でした。地元の人は、白味噌のなかにあんこが溶けたものを酒の肴にするそうです。また、サワラを白味噌で漬けたサワラの味噌漬けもたいへん好まれています。

―味噌汁などの一般的な料理にも使えますか?

田中 ぜひ使ってみてください。普段お使いの味噌と混ぜて、あわせ味噌にして味わってみるのがおすすめです。シチューや鍋に入れてもおいしいですし、酢味噌にして醤油の代わりに使っていただくのもいいと思います。おでんも、香川県ではカラシに白味噌を合わせたものを付けて食べます。白味噌を入れるだけで簡単にいつもと違うおいしさになるので、お肉の味噌漬けなども試していただきたいです。ドレッシングなどに入れてもおいしいと思います。

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白味噌の味噌汁はほのかに甘くやさしい味わい。

―最後に今後の展望をお聞かせください。

田中 現地の業者さんとコラボして、香川県の特産品であるオリーブ牛などを使った味噌漬けを作ってもらおうかなと考えています。それから地元のパン屋さんやお菓子屋さんとも、商品を作りませんかという話をしています。我々は味噌は作れますが、パンやお菓子は作れません。地域の方と一緒に、新しい名産品を作っていきたいと思います。

―楽しみです。本日はありがとうございました。

特別仕込みイヅツの白みそ丸カップ2個セット(500g×2)

「特別仕込みイヅツの白みそ丸カップ2個セット」(500g×2)
価格:¥1,600(税込)
店名:イヅツみそ
電話:0875-52-3030(8:00~17:00 土日祝、お盆、年末年始除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://idutsumiso.jp/%E8%A3%BD%E9%80%A0%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E5%86%8D%E9%96%8B%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B-2
ホームページ:https://idutsumiso.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
田中德兵衞(株式会社イヅツみそ 代表取締役社長)

1952年4月、埼玉県川口市にて味噌製造業を営む田中家の長男(7代目)として生まれる。幼少時は味噌蔵の中で育ち、大学卒業後は大阪の味噌卸業であるジャポニックス(株)にて2年間勤務。その後、味噌問屋となった株式会社田中德兵衞商店に入社し、問屋業に従事する。2017年9月、株式会社イヅツみその代表取締役社長に就任する。香川県味噌工業協同組合の理事長に就任すると同時に「サヌキ白みそ」のGI認証に取り組み、2023年1月農林水産省よりGI認証を受ける。

<文・撮影/坂見亜文子 MC/石井みなみ 画像協力/イヅツみそ>

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