今回、編集長アッキーが気になったのは、独特の食感がおいしい「明宝ハム」と「ポークソーセージ」です。発売から70年以上経っている「明宝ハム」は、現在もほぼ手作りを続けており、お肉本来の旨味と歯ごたえを楽しめます。また「ポークソーセージ」は、ピリッとした食感が特徴の逸品です。製造元の明宝特産物加工株式会社の代表取締役社長、名畑和永氏に取材陣がお話を伺いました。
肉本来の旨味と歯ごたえを楽しめる「明宝ハム」と香辛料のピリッとした食感がたまらない「ポークソーセージ」
2024/08/21
明宝特産物加工株式会社 代表取締役社長の名畑和永氏
―御社の沿革を教えてください。
名畑 1953年に「明方(みょうがた)ハム」という名で商品が誕生しました。岐阜県の明方村農協職員が千葉県で食肉の手ほどきを受け、明方村農協でハムを作ったのです。
しかし、なかなか売れませんでした。そんな中、1980年にNHKの明るい農村というテレビ番組で取り上げられて有名になり、販売量が増えていったそうです。
1985年頃に、農協と村が「明方ハムが売れるようになったので、村の補助金を活用しながら、新しい工場を作ろう」と計画しました。しかし、上手く折り合いがつかなかったのです。
そこで当時の村長が村主導で会社を作り、ハム工場を作ることになりました。そして1988年に、明方村主導で明方特産物加工株式会社(現・明宝特産物加工株式会社)が誕生したのです。
この時、半数以上の農協職員が辞めて、新会社に入社しました。開発者も新会社に入社したため、新しい商品を開発できたそうです。
なお、明方村は1992年に明宝村(めいほうむら)に村名変更し、2004年に近隣の市町村と合併し郡上市(ぐじょうし)となりました。
現在は、子会社として道の駅を運営する会社や、温泉を運営する会社も経営しています。また、関連する会社にトマトケチャップなどを作る会社、スキー場の会社などもあり、地域のためにさまざまな事業を行っています。
―どのような経緯で社長に就任したのですか?
名畑 私は、1963年に明方村に生まれ、入社前は電気設備の設計の仕事をしていました。当時の弊社は、伝票や送り状なども手書きで行っていました。そういった作業をコンピュータで行えるようにするため、当時の専務から誘われて入社したのです。
冬に入社したのですが、最初はスキー場でラーメンを作っていました(笑)。入社後15年ほどは冬に限り、昼にラーメンを作り、帰ってきて仕事をしていました。社長に就任したのは2023年です。
―新しくきれいな工場ですね。
名畑 現在の工場は2019年に完成しました。工場ですが、機械は多くありません。可能な限り手作りにこだわって作っています。
日本には約1,500社ほどのハム工場がありますが、作業の細かさは弊社がトップレベルだと自負しております。
なお、ご紹介する「明宝ハム」と「ポークソーセージ」は、弊社の商品の中でも1,2を争う人気商品です。
―「明宝ハム」について教えてください。
名畑 「明宝ハム」には「明方村の宝のハム」という意味が込められています。1953年からある商品で、減塩など時代に即した形に変えてきました。
新鮮で水持ちのいい、生の豚もも肉を使っています。冷凍してから解凍すると味が落ちるため、生にこだわっています。そのため、肉になってから素早く加工しなければなりません。スピード勝負です。
また、ハムの調味で一般的に行われる「加水」を弊社は行いません。調味料は粉末のまま混ぜます。商品誕生以来、肉が本来持つ水分だけで味をつけているのです。そのため、肉の歯ごたえが残ったハムになっています。
工程で最初に、余分な脂や筋を取り除いて、赤身と脂のいいところを残します。続いて、均等に切られた肉に塩を混ぜて、1週間冷蔵庫で熟成させます。お肉が持っている旨味を、塩漬けすることで、より凝縮させられるのです。肉本来の味を楽しんでいただけます。
1週間熟成させたら、塩やハーブなど独自配合の調味料を混ぜ込んで味付けします。この配合は、昔から変わりません。
1本1本丁寧に充填して、加熱と殺菌冷却を行い、検品して完成です。ほどよい塩味で、歯ごたえがある「明宝ハム」が出来上がります。
肉の歯ごたえがしっかり残っており、ハムとは思えない歯ごたえ。
塩が豚の旨味を引き立てている。ご飯のお供やお酒のおつまみに最適。
―おすすめの食べ方はありますか?
名畑 8mmから10mmの厚さに切って、軽く温めて食べるのが一番おすすめです。フライパンで焼くか、レンジで30秒ほど温めてください。フライパンで焼く場合は、オリーブオイルのように癖のない油がおすすめです。
常温でもおいしく召し上がっていただけます。ご飯にもサンドイッチにも合います。
なお「明宝ハム」は歯ごたえが特徴です。数世代にわたって食べ続けてくれている家庭もあります。そんな中、ご年配のお客様で「味は好きだけど固くて食べれなくなってきた」という方がいらっしゃいました。
そこで「明宝ハムソフト」という柔らかいハムを2020年頃に発売しました。こちらも好評です。
―「ポークソーセージ」について教えてください。
名畑 「ポークソーセージ」は、会社ができて早い時期に発売した、ロングセラー商品です。ミンチ肉にした後、香辛料を混ぜてボイルしています。香辛料が多めに入っており、ピリッとした刺激が特徴です。塩やこしょう、唐辛子が入っています。
そのままでもおいしいのですが、焼くとピリッとした刺激が増します。焼いて、ビールのおつまみやお弁当などにお使いください。生のままサラダにも使えます。
ハムよりも柔らかくて食べやすいソーセージ。
香辛料がピリッと辛く、インパクトがある。
―今後の展望を教えてください。
名畑 ほとんど手作業で行っていますが、ハムやソーセージがこれ以上売れると、人を増やすか機械化しなければ対応できません。しかし、切る工程を機械化すると味が落ちてしまいます。また、雇用の面でも機械化しては存在意義がなくなってしまうのです。
そこで、新商品開発チームを作り、ハムやソーセージ以外の食肉製品を研究中です。たとえば、豚スジの煮込みなどを検討しています。お歳暮やお中元の時期が忙しいので、それ以外の時期に販売できる新商品を作りたいです。
―貴重なお話をありがとうございました。
「明宝ハム」(1本360g)
価格:¥1,253(税込)
店名:明宝ハム オンラインショップ
電話:0120-44-8601(8:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.meihoham.co.jp/lineup/detail.php?id=2
オンラインショップ:https://shop.meihoham.co.jp/
「ポークソーセージ」(1本300g)
価格:¥605(税込)
店名:明宝ハム オンラインショップ
電話:0120-44-8601(8:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.meihoham.co.jp/lineup/detail.php?id=8
オンラインショップ:https://shop.meihoham.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
名畑和永(明宝特産物加工株式会社 代表取締役社長)
1963年岐阜県生まれ。1996年入社 2023年に代表取締役社長に就任。
<文/林本直 MC/三好彩 画像協力/明宝特産加工>