多くの日本人が毎日のように口にするものといえば、ふっくらツヤツヤの白米です。昨今ではアレルギー対策や健康志向の高まりといった面から、米粉を使った食品も注目を集めています。
今回、編集長アッキーが注目したのが、株式会社向後米穀が販売するお米「ミルキークイーン」と、小麦粉を使わない「米粉麺」です。製法や味のこだわりについて、代表取締役を務める向後雅秀氏にお話をうかがいました。

株式会社向後米穀 代表取締役の向後雅秀氏

―まずは代表自身と会社についてお聞かせください。

向後　私は3代目で、向後米穀のほかに農業生産法人「理想郷」も運営しています。昔から家業を手伝っていたのに加え、地元の農家さんにもよくしていただいていたので、「いずれこの仕事に携わっていくんだろうな」とは思っていました。そのうちお米の値段が下がり始め、辞める農家さんが出てくるようになり、「このまま周りと同じではいけない」と考えて農業生産法人を立ち上げたのが、2012年のことです。個性のあるお米を作り、お客様に「おいしい」と言っていただけて、なおかつ農家さんの収入が増えればいいなと。そういう思いから生まれた商品が、当社の「ミルキークイーン」です。

―御社の「ミルキークイーン」はどんなお米なのですか？

向後　千葉大学との共同研究で開発した有機肥料で作っています。千葉銀行さんに「大学と組んで、とがった商品を作りたい」と相談したところ、企画がコンペに通って融資を獲得することができ、栽培を始めました。研究の内容は、九十久里浜海岸の漁業で出る魚のアラや内臓などのうま味成分をお米に入れるというものです。
当社のミルキークイーンは甘味が強く、冷めてもおいしいお米で、「米・食味分析鑑定コンクール：国際大会」では金賞を獲得しています。甘いお米が好きな人には、ぜひ一度食べていただきたいです。

努力が実り、「米・食味分析鑑定コンクール：国際大会」で金賞を獲得。

―特徴や味を教えてください。

向後　炊くと粒がふくらみ、モチモチした食感と甘味を楽しめます。実際には甘味だけでなく、少し雑味を入れることで、食べたときに甘く感じるように計算しています。また、冷めても表面にモチモチ感のあるツヤが残るのも特徴です。冷めた状態でほかの銘柄のお米と比べると、より甘さやおいしさが分かっていただけると思います。

炊き上がるとふっくらとした香りが広がる。

―おすすめの食べ方は？

向後　冷めた状態で食べるタイプのお米ですので、おにぎりにすると絶品です。その一方でつゆがしみ込むタイプではないので、丼にはあまり向いていません。

―開発で苦労したことをお聞かせください。

向後　有機肥料は使い始めてすぐに結果が出るものではありません。肥料を入れ続けることによって田んぼの中の微生物やミミズ、虫などを少しずつ増やし、その排せつ物を植物に吸わせていく必要があるため、時間がかかります。実際に当社の「ミルキークイーン」が金賞を獲得したのも、スタートから7年目のことです。長い道のりでしたが今は田んぼの循環もうまくいっているので、非常にいいお米になっています。

―お客様の声で印象的なものがあれば教えてください。

向後　甘味にこだわっているので、「甘味が強いですね」という評価をいただくと、分かっていただけたのだとうれしく思います。

冷めても甘くておいしいミルキークイーンは、おにぎりやお弁当にぴったり。

―どんな人に手に取ってもらいたいですか？

向後　こだわりを持って有機で作っていますので、ぜひ育ち盛りのお子さんに食べていただきたいと思います。わが家もこのお米で子どもを育てました。甘くておいしいので、お客様からも「うちの子がご飯を食べるようになりました」「いつもよりたくさん食べました」といった評価をいただくこともあります。

―米粉麺についてもお聞きします。開発のきっかけを教えてください。

向後　米づくりをする農家や田んぼを守っていくには、お米の消費量を増やさなくてはなりません。「新規需要米」という国の政策のもと、お米をパンや麺に加工して消費を拡大しようという提案を受けて開発しました。

―開発で大変だったことは？

向後　OEMで生産してもらっているのですが、依頼できる企業を見つけるのに苦労しました。原材料は米粉と北海道の馬鈴薯でんぷん、水のみで、硬かったりブツブツ切れてしまったりと、なかなかうまくいかなくて。おいしくない、扱いづらいというのは大きなマイナスになります。かといって添加物は入れたくなかったため、現在の形に行き着くまでに試行錯誤を繰り返しました。

―一般的な米粉麺との違いをお聞かせください。

向後　第一の特徴は、添加物を入れていないことです。なおかつ調理時間が短くなるように工夫しました。製麺して殺菌する際に、90度の窯で3分ほど殺菌することで半分茹だった状態になるため、実際にキッチンで調理するときは1分から1分半ほどで茹で上がります。さらにグツグツ煮込んでも煮崩れしにくく、お鍋の〆に入れて気がついたらデロデロになっていた、なんていうこともほぼありません。

満足感の高いモチモチの歯ごたえの麺にトマトソースをかけ、パスタ風味に。

―おすすめの食べ方は？

向後　冬場は温かく、夏場は冷たくしてお召し上がりください。カレーうどんや冷やし中華などにも向いています。当社のイベントでは、冷やしビビン麺が好評です。

―どういったお客様が購入されるのでしょうか？

向後　小麦などのアレルギーを持っている方が多いのですが、最近ではアスリートの方や妊婦さんなど、グルテンを避けたいと考えているお客様も増えてきました。

―今後もニーズが広がりそうですね。最後にこれからの展望をお聞かせください。

向後　当社のお米は安心・安全で、子どもにもおいしく味わっていただけます。そこを追求しつつアピールし、今後は地元の学校給食などにも波及させていきたいと考えています。農家さんにも価値のあるお米をどんどん作っていただくことで、農業や農家もおもしろいと見直してもらうきっかけになるのではないでしょうか。その点もふまえて、今後もさらなる挑戦を続けていきたいと思います。

―ありがとうございました。

「ミルキークイーン」（5kg）
価格：¥3,370（税込）
店名：向後米穀 美味い米探しネット produceby理想郷
電話：0479-84-0505（9:00～16:30 12:00～13:00除く、平日のみ）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：http://kougo.net/?pid=135061661
オンラインショップ：http://kougo.net/

「米粉麺」（白米×3，玄米×3）
価格：¥1,980（税込）
店名：向後米穀 美味い米探しネット produceby理想郷
電話：0479-84-0505（9:00～16:30 12:00～13:00除く、平日のみ）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：http://kougo.net/?pid=175490961
オンラインショップ：http://kougo.net/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
向後雅秀（株式会社向後米穀 代表取締役）

1969年生まれ、1991年株式会社向後米穀入社。2009年同社代表取締役に就任。系列会社である株式会社理想郷を農業部門として発足、取締役として運営。2013年より千葉大学と有機肥料の共同研究を開始し、安心安全でおいしい農作物を栽培、加工、販売。

＜文・撮影／坂見亜文子　MC／矢口優衣　画像協力／向後米穀＞