新潟中央水産市場_top

新潟の伝統の味に革新を。老舗の挑戦が生んだ絶品「魚や片桐寅吉 銀鮭焼漬」

2024/08/23

今回、編集長のアッキーが気になったのは、新潟県の郷土料理「鮭の焼き漬け」。新潟中央水産市場株式会社が展開するブランド「魚や片桐寅吉」の看板商品「銀鮭焼漬」です。鮭の本場・新潟の伝統の味を、チリ産銀鮭の上質な素材と独自の製法でアレンジ。その誕生の裏側を、同社5代目 代表取締役の藤田普氏に取材陣が伺いました。

新潟中央水産市場株式会社 代表取締役 藤田普氏
新潟中央水産市場株式会社 代表取締役の藤田普氏

―120年以上の歴史がある老舗企業とお聞きしました。沿革についてお聞かせください。

藤田 当社は1904年(明治37年)に新潟鮮魚問屋として創業し、鮭やマスを扱ってきました。魚の流通と生産は切り分けることが多いのですが、当社は両方をやってきた歴史があります。昔は北洋で鮭・マス漁業を実施。採れた鮭をロシア領まで運んで塩漬けにし、上海まで持っていくこともありました。1937年(昭和12年)に現在の新潟中央水産市場株式会社へ社名を変更。今は仲卸を本業としています。

しかしながら流通業界では中間業者は省略される可能性があります。問屋無用論なんていう言葉もあるぐらいですから。そこで当社は小売店と飲食店を展開することにしました。そしてオリジナル商品の開発・生産に力を入れていくことの両方に取り組んでいます。

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新潟県の郷土料理の焼漬以外にも粕漬けや西京漬けなど
豊富なラインナップを展開。干物や生珍味も手がけている。

―社長に就任されるまでの経緯を教えてください。

藤田 私自身は新潟出身で、大学まで新潟で過ごし、その後は東京の外資系企業に勤めていました。そんな中、魚屋の三姉妹の長女と結婚し、自然な流れで家業を継ぐことになりました。苦労もありましたが、120年続く会社をここで終わらせるわけにはいきません。先代は表には出していませんでしたが、内心はきっと喜んでいたと思います(笑)

―今回ご紹介する「魚や片桐寅吉」ブランドの「銀鮭焼漬」の開発のきっかけは?

藤田 もともと当社の鮮魚センターでは、新潟県村上産の鮭の焼漬を扱っていました。鮭の焼漬は村上の郷土料理です。当社では村上で作られた焼漬を仕入れて販売していたのですが、私はこれをもっとおいしく、見栄え良くできないだろうかと考えました。

そこで使うことにした素材が南米チリ産の上質な銀鮭です。味付けも工夫することで、美しいサーモンピンクのおいしい焼き漬けを作ることができたのです。最初は一切れ150g~200gもある焼漬を作りました。それが鮮魚センターで非常に好評で。ここが「銀鮭焼漬」の原点です。

―「銀鮭焼漬」の特徴やこだわりを教えてください。

藤田 何よりもこだわったのは、現代の食生活にフィットするサイズ感と味付けです。タレには日本酒やみりんをしっかり使ってリッチな味わいに仕上げました。

素材の銀鮭はチリ産の最上級グレードを厳選。素焼きの段階で蒸し焼きにしてふっくらとした食感に仕上げるのもポイントです。鮮度とおいしさをキープするため真空包装し冷凍で提供しています。

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脂の乗った銀鮭を焼き、醤油ベースの甘辛いタレに漬け込んだ「銀鮭焼漬」は、
大人も子どもも舌鼓を打つ。厳しい目を持つ身内からも絶賛された味だ。

―商品開発や販売をする中で生じた困難はありましたか?

藤田 市場の仕事は、ある意味恵まれた環境です。お客さんも情報もお金も自然に集まる仕組みがあるからです。仲卸業者である私たちは、荷受け会社が持ってきた魚を競りで買い、店に並べる。お客さんが気に入った商品を買っていく。しかしそういった環境では企画力、提案力といった能力が備わりにくいのです。厳しい競争環境の中で、これが市場の構造的な課題になっています。

これを克服すべく悪戦苦闘しているのが現状です。自社店舗での販売はできるようになりましたが、それ以外の流通ルートの開発が難しい。そこで今は、ブランド化を進めて販売ルートの開拓を進めやすくしたいとも考えています。ひとつ前進したのは、リニューアルした新潟駅の商業エリアにブランド「魚や片桐寅吉」の店舗を出店できたことです。オープンしてまだ1ヶ月ですが、これから育てていきたい大切な店舗だと考えています。

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骨取りも済んでおり、老若男女問わずおいしくいただける「銀鮭焼漬」。
自分へのお取り寄せはもちろん新潟土産にもぴったりだ。

―「魚や片桐寅吉」というブランド名やロゴは目を引きますね。

藤田 「魚や片桐寅吉」という名前には意味があります。もともと新潟には魚の加工品で有名なブランドがたくさんある。しかし、それぞれ干物屋さんだったり、塩物屋さんだったりと、魚屋以外の業態から始まっています。

一方で当社は創業以来ずっと純粋な魚屋として活動してきました。この魚屋という原点にこだわりがあります。だからこそブランド名にあえて「魚や」という言葉を入れました。魚のプロだからこそ、おいしい魚の加工品を作れる。そんな思いを込めているのです。

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シンプルながら上品で印象的なロゴには魚屋としての誇りが反映されている。

―最後に今後の展望を教えてください。

藤田 消費者の皆さんとの信頼関係を大切にし、ニーズに応えていきたいです。小売りや飲食にも力を入れ、特に「魚や片桐寅吉」のブランディングを進めていきます。新潟駅や空港の商業施設に専門店を出店したのもその一環です。これからも粕漬けや味噌漬けなどの発酵食文化の豊かな新潟ならではの商品を揃え、全国の皆さんに味わってもらいたいと思います。

新潟に来られたらぜひ一度、飲食店「片桐虎吉」にもお立ち寄りください。登録文化財に指定されている120年前の古民家を改装し、和食レストランとして運営しています。新潟の食文化を味わえる場所として、自信を持っておすすめできるお店です。

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古民家を改装した飲食店「片桐虎吉」。
伝統的な空間で、新潟の食文化の真髄を味わってみてはいかがだろうか。

―貴重なお話をありがとうございました。

「【魚や片桐寅吉】銀鮭焼漬」(9切)

「【魚や片桐寅吉】銀鮭焼漬」(9切)
価格:¥1,458(税込)
店名:万代島鮮魚センターオンラインショップ
電話:025-256-8555(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sakana-bandai.shop-pro.jp/?pid=90797192
オンラインショップ:https://sakana-bandai.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
藤田普(新潟中央水産市場株式会社 代表取締役)

1948年新潟県生まれ。新潟大学工学部卒業。外資系オートメーション企業に入社。マーケティング部門に7年間勤務。魚屋の3姉妹の長女と結婚し、新潟中央水産市場㈱に入社。市場流通の構造的な不況に苦慮する中で流通の川上と川下を志向。鮮魚センターの運営など消費者と繋がる仕事及び加工場の運営などオリジナルな商品開発により流通の川上の立場に立つ仕事に注力している。現在当社のブランディングに奮闘中。

<文・撮影/西村初音 MC/木村沙織 画像協力/新潟中央水産市場>

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