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兵庫の老舗酒造が仕込んだリンゴのお酒。いつもの食卓で味わいたい「シードル ロンロン」

2024/08/28

「シードル」といえば、リンゴの果汁を原料としたスパークリングワインです。アルコールとしては日本酒と同じ「醸造酒」に分類されます。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは兵庫県の老舗酒造が手がける「CIDRE RonRon(シードル ロンロン)」。商品へのこだわりについて、山陽盃酒造株式会社 専務取締役兼製造責任者の壺阪雄一氏に取材陣がお話をうかがいました。

山陽盃酒造株式会社 専務取締役兼製造責任者 壺阪雄一氏
山陽盃酒造株式会社 専務取締役兼製造責任者の壺阪雄一氏

―御社の歴史を教えてください。

壺阪 1837年に創業し、父で6代目となります。「壺阪」とは兵庫県・西播磨地域の一部に伝わる名前です。今はなき「壺坂本家」は金融業を生業にしていて、領主である山崎藩にもお金を貸していました。借金の返済を帳消しにする代わりに、藩から提供されたのが山陽盃のある屋敷でした。さらに田んぼの提供や年貢免除があり、酒造認可状をいただいて山崎で酒造りを始めたという背景があります。

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創業は天保8年(1837年)。近隣には日本酒発祥の地とされる庭田神社がある。

―壺阪専務のご経歴をうかがえますか。

壺阪 四兄弟の長男として育ち、大学進学を機に上京および就職しました。酒蔵は常に身近な存在でしたが、若さゆえに閉鎖的な環境にも見え、家業を継ぐ気はありませんでした。年配の職人さんの中に入り、一緒に酒造りをするイメージが湧かなかったのです。

―前職ではどのような経験をされたのでしょうか?

壺阪 酒類卸会社の営業職として、飲食店などに納入する業務用のお酒を販売していました。商品の良し悪しに関わらず、人が造ったお酒をたくさん売らなければいけない世界です。業界について多くのことを学べた一方で、私は自分の仕事に疑問を抱くようになりました。最終的に「自分自身が納得できる酒を造ろう」という考えにたどり着き、4年半を経て家業に入ることを決めました。

―御社の商品の特徴やこだわりについてお聞かせください。

壺阪 メインブランドは日本酒の「播州一献」です。関西で唯一、鉱山貯蔵庫を持つ酒蔵としても知られ、「播州一献」の一部は明延鉱山坑道内の「明壽蔵」に貯蔵しています。錫や銅の採掘場だった洞窟を活用した、町おこしの一環でもあります。うちは町に一番近く歴史ある酒蔵ということで、大屋町(現・養父市)から声がかかりました。

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関西唯一の鉱山貯蔵庫である「明壽蔵」。
四季を通して一定の温度に保たれ、じっくり穏やかに熟成される。

壺阪 兵庫県は酒米の一大産地です。中でも吉川地区は、最も優れた「山田錦」を栽培する特A地区に指定されています。「地元の酒米のみを使う」というのも弊社の大きなこだわりです。酒米の王様「山田錦」、宍粟市産の「兵庫夢錦」、日本海側で栽培される「兵庫北錦」、希少酒米の「愛山」と全4種の酒米を追求しています。

―企業として大切にされていることは?

壺阪 弊社は2018年11月に火災に遭い、1,500平米ほど設備を焼失しました。全国各地からボランティアの方が応援に来てくださり、たくさんのご声援もいただいた上で2021年に製造場を新設できたのです。今は人との繋がりを大切にしながら、「地元やお酒ファンの方々に恩返しする」という一心で商品を作っています。

―「CIDRE RonRon(シードル ロンロン)プロトタイプ」はどんなお酒でしょうか?

壺阪 宍粟市の特産品であるリンゴを使ったお酒で、まさに「地元へ恩返ししたい」という思いから生まれました。レギュラーの「シードル ロンロン」はセミスイート・ドライ・ライトの3タイプですが、リンゴの不作により今年はセミスイートのみ製造しています。
プロトタイプシリーズは、「いろいろなコンセプトでシードルを造ろう」というチャレンジ企画です。「プロトタイプ 庭酵母」は、日本酒発祥の地とされる宍粟市・庭田神社から採取した酵母菌を使用しています。日本酒にも使う酵母で仕込んでいるので、シードルとはいえ日本酒を思わせるニュアンスもあります。

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おしゃれな紫色のラベルが目印の「プロトタイプ 庭酵母」。

―味わいの特徴も気になります。

壺阪 青リンゴのような爽やかな香りときめ細やかな泡、ひかえめな甘さが特徴です。食中酒として楽しめる「日常の中にあるシードル」というコンセプトで、リンゴのすっきり感を意識しました。炭酸が抜けてもワイン感覚で飲めるので、日本酒に通じるところがありますね。なめらかでシルキーな舌触りも魅力です。開栓した翌日はお酒が酸化してまろやかさがプラスされ、また違ったおいしさを味わえます。
料理とのペアリングは、シーフード系の冷製パスタやカルパッチョ、オリーブオイルで食べるサラダなどがおすすめです。アルコール度数が低いので軽いタッチの料理がよく合います。とても飲みやすいお酒ですので、ビギナーの方がいろいろなアルコールを楽しむ入口にもなれると思います。

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甘すぎず、食事に合わせやすいすっきりとした切れ味。

―今後のビジョンをお聞かせください。

壺阪 地元ならではの原料や水、空気による酒造りを大切にしながら、弊社の思いを込めた日本酒やシードルをもっと世界に広めていくつもりです。現在はアメリカをはじめとする14カ国に輸出しています。シードルはフランス生まれですが、我々が作るお酒が「メイドインジャパン」の象徴であるという自負があります。長い時間をかけてでも、世界で日本のお酒を評価してもらう夢を叶えていきたいと思います。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「CIDRE RonRon プロトタイプ 庭酵母 ハーフボトル」(サイズ:360ml)

「CIDRE RonRon プロトタイプ 庭酵母 ハーフボトル」(サイズ:360ml)
価格:¥990(税込)
店名:山陽盃酒造オンラインショップ
電話:0790-62-1010(11:00~16:30 年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sanyouhai.theshop.jp/items/80647985
オンラインショップ:https://sanyouhai.theshop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
壺阪雄一(山陽盃酒造株式会社 専務取締役兼製造責任者)

1980年生まれ。大学卒業後、東京で酒類卸会社の営業職に就く。「最高においしいと思える酒を自分の手でつくり届けたい」と家業を見直し、2008年に山陽盃酒造へ入社。専門機関での研修と、前任杜氏からの修業を経て2015年より現職。2020年には兵庫県産りんごを使用した「シードル ロンロン」をリリース。“この地だからできる日本酒造り”を目指し、「食卓に笑顔を咲かせる酒を届ける」をテーマに日々真摯に酒づくりと向き合っている。

<文・撮影/マスダアヤノ MC/伊藤マヤ 画像協力/山陽盃酒造>

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