今回、アッキーが注目したのは、古くは丹波篠山（たんばささやま）の冬の味覚として愛されたぼたん鍋。老舗の猪肉専門店として長年地元のぼたん鍋文化を守り続けてきた株式会社おゝみやの「国産天然猪肉 ぼたん鍋 ロースセット」をご紹介します。100年フードのぼたん鍋に対する想いとともに商品についてのお話を、代表取締役社長・大見春樹氏に取材陣が伺いました。

株式会社おゝみや 本店

―丹波篠山市がぼたん鍋の発祥の地？

大見　篠山がぼたん鍋の発祥の地です。1908年に大阪府堺市にあった第70連隊が兵庫県の篠山に移転してきました。それに伴って阪神間から慰問の方が訪れるようになり、料理旅館でぼたん鍋が出されるようになりました。この辺りでは昔から猪肉が食べられていますが、軍隊が移転してきたことで猪肉の需要が急速に拡大しました。現在でも、篠山にはぼたん鍋を食べられるお店がたくさんあり、同じぼたん鍋でも多彩な味わいを楽しめます。

丹波篠山盆地とその周囲を囲む山々を猪が駆け回る。
この辺りは日本三大狩猟場としても有名。

―御社が猪肉販売を始めたきっかけは？

大見　戦前からぼたん鍋の市場があり、鞄で有名な豊岡市に材料となる動物の皮を卸していたこともあり、篠山には獣を扱う仲買人が多くいました。私の曽祖父も仲買をしており、いろいろなところに猪肉を卸していました。

戦後、農業をしていた父が商売をしたいと自転車でアイスキャンデーを売るようになりました。しかし、冬になるとアイスキャンデーが売れないため、冬は猪肉を販売するようになりました。

1950年頃の篠山本店。当時はアイスクリームと一緒に猪肉を販売していた。

―御社が飛躍した契機はありますか？

大見　1970年の大阪万博の頃にゴルフ場ブームが起こり、篠山の南にある三田（さんだ）市は「ゴルフ銀座」と称されるほどたくさんのゴルフ場ができました。ゴルフに訪れた方たちが猪肉を購入したりぼたん鍋を食べて帰ったりするようになり、戦後の第一次ぼたん鍋ブームとなりました。

弊社もその頃に三田市に販売専門の支店を出しました。そのお店がとても評判で、料理屋を営んでいる方やゴルフ帰りの方など、いろいろな方が猪肉を買いに来てくださいました。これを機に、「おゝみや」の名が関西一円に周知されました。

―「国産天然猪肉 ぼたん鍋 ロースセット」の特徴は？

大見　猪肉のロースを急速冷凍して、一枚一枚きれいにスライスしています。猪肉を解凍していただいたら、ご自宅にある野菜とともに煮込むだけでぼたん鍋ができます。味噌は赤味噌をベースにして、白味噌、麹味噌の合わせ味噌で、そこへ調味料を混ぜて仕上げています。

この合わせ味噌は兵庫県西脇市さんから仕入れているのですが、弊社からそのまま地元の料理屋に卸しているケースもあるため、篠山のぼたん鍋は合わせ味噌が主流になりました。ぼたん鍋には合わせ味噌が一番合うと思っています。

好きな野菜と一緒に煮込むだけ。ぼたん鍋は煮込めば煮込むほどおいしくなる。

―商品をおいしくお客様へお届けする秘訣とは？

大見　猪肉をおいしい状態でお客様の元へお届けするために、弊社では30年程前から最新の急速凍結機を導入しています。その1つがアルコール凍結機で、真空パックした猪肉のブロックをマイナス25℃まで冷やしたエタノール液に浸して短時間で冷凍します。冷凍された猪肉は氷結晶がとても細かく、解凍すると生肉に近い状態になります。

もう1つは、スライス用に導入したプロトン凍結機です。とてもきれいにスライスできるため、猪肉を皿に盛り付けたような立体的な形にしてお送りすることもできるようになりました。

プロトン凍結は食品の鮮度・おいしさを損なわず冷凍でき、解凍時のドリップも少ない。

―創業当時から大切にしていることを教えてください。

大見　たくさんのお客様にご満足いただけるように、創業当時から安定供給を心がけてきました。猟師さんとの間に仲買さんを置くことで、弊社の要望も伝わりやすくなり、その結果として弊社が買い取る猪肉の品質も向上します。猪肉の品質が上がれば弊社の買取価格も高騰し、仲買さんと猟師さんの収入が上がります。弊社にとっても品質の高い猪肉をご提供できるようになるため、「三方よし」の仕組みです。お互いに信頼関係が生まれて信用できるようになり、商売が継続できています。

―時代のニーズに合わせて変えたこと、変わったことは何ですか？

大見　都会の料理屋に限らず、近年は厨房の狭いお店が増えて必要な部位を必要な分だけ欲しいというニーズが高まっています。ご家庭の冷蔵庫も大きな肉は入らないため、20年くらい前から部位別や小さなブロック、スライスなど、猪肉を細かく販売しています。

変わったことは、お客様の好みです。昔は歯応えのある猪肉が好まれていましたが、現在は獣臭が少なく柔らかな猪肉が好まれています。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

大見　最近、「猪ジャーキー」が丹波地域の新しい名物になりました。おかげさまで、いろいろなお店に置かせていただいております。今後は「猪ジャーキー」のように付加価値をつけた商品の開発を進めていきたいと考えています。

また、来年の3月には新たな店舗を始める計画もしています。弊社の商品をメインに販売するお土産コーナー、さらに試食コーナーを設ける予定です。

噛めば噛むほどおいしいといわれる猪肉の旨味を存分に堪能できる一品。

大見　篠山のぼたん鍋は文化庁が推奨・認定する「100年フード」にも選ばれました。100年続いている食文化を今後も守っていけるように、これからも持続可能な商売を心がけていきたいと思っています。

―貴重なお話をありがとうございました！

「国産天然猪肉 ぼたん鍋 ロースセット」（2～3人前400g・味噌2袋（1袋150g）～ ※写真は4〜5人前800g）
価格：¥8,040～（税込）
店名：猪肉専門店 丹波篠山おゝみや
電話：0120-44-0038（9:00～17:00 日曜定休、4月〜9月は水曜も定休）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.oomiya.com/shopdetail/000000000237/
オンラインショップ：https://www.oomiya.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
大見春樹（株式会社おゝみや 代表取締役社長）

1952年兵庫県丹波篠山市生まれ。1975年関西大学卒業。会社員を3年経験した後、株式会社おゝみやの取締役となる。1997年4月に同社代表取締役社長に就任。現在、丹波篠山市企業懇談会代表幹事、兵庫県指定名産品協会副会長、篠山ロータリークラブ会員。

＜文／ウツギナオコ　MC／山口優花　画像協力／おゝみや＞