カレーやソース作りに欠かせないスパイス。日本では大正後期からスパイスを使ったウスターソースの製造が本格化しました。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは「だし香るカレー南蛮蕎麦の素」と「シャリアピンステーキソース」。販売者は、ソース作りからスタートした老舗調味料メーカーです。商品の魅力について、水牛食品株式会社 代表取締役の保坂浩一氏に取材陣がお話をうかがいました。
老舗企業のこだわりを凝縮。お店の味を再現した「だし香るカレー南蛮蕎麦の素」と「シャリアピンステーキソース」
2024/10/02
水牛食品株式会社 代表取締役の保坂浩一氏
―会社の沿革と事業の変遷を教えてください。
保坂 1930年に「佐藤食糧工業所」として創業し、ソースの製造事業を始めました。1950年に「水牛食品株式会社」となり、昭和中期にはソースの分野から撤退して「元祖焼鳥のたれ」をはじめとする調味料の製造・販売に注力していきました。
昔は酒屋用・肉屋用というように業界内で卸し先が分かれ、弊社は主にお肉屋さんにたれを卸していました。しかし、時代の流れとともに個人経営の肉屋が減り、大手食品メーカーも参入する中で方針を変える必要があったのです。問屋さんを活用して営業に力を入れたことで、2010年頃からスーパーマーケットにも弊社のたれが並ぶようになりました。
―社長に就任された経緯もうかがえますか?
保坂 先代社長である父はもともとサラリーマンでしたが、創業者の次女と結婚したことで水牛食品の後継者になることを決めました。私は商業高校を卒業してアパレル企業に就職したのち、米問屋で配達や営業職を経験しました。21歳になった頃、水牛食品でアルバイトをして会社の改善点に気付き、社員になることを希望しました。入社後は後の常務、弟と協力し、古い工場の改善や卸値・営業手法の見直しなど、あらゆる改革を進めていきました。工場作業や営業を経て、2010年に代表取締役に就任した次第です。
―ソース作りを再開されました。その理由や味の特徴は?
保坂 「東京ソース生ウスター」は酵素で野菜を分解することにより、非加熱でも日持ちする風味豊かな生ソースです。復活させるに値するほどおいしいと考え、約50年ぶりに製造を再開しました。普通のソースはお酢でスパイスを煮込みますが、生ソースは10日間かけてじっくりとスパイスを抽出します。野菜も約4日間にわたって分解し、お酢・砂糖・塩などを混ぜ合わせてやっと完成します。
祖父は東京都内にあった「大町ソース」という工場でソース作りを学んだそうです。現在は、特許を取得した「東京都立食品技術センター」の技術をベースに生ソースを製造しています。ウスターソースは大手メーカーの製法や関西の味が混ざり変化しましたが、本来は生ソースのような味でした。初めて味わう人は香りの良さにびっくりすると思います。
―「だし香るカレー南蛮蕎麦の素」はどんな商品でしょうか?
保坂 弊社は1935年に国内でいち早くカレー粉「昭和カレー」を発売し、今でも「なつかしの昭和カレールゥ」という名前で販売しています。そのカレールゥに枕崎産鰹節と鯖節、醤油などを加えた製品が「だし香るカレー南蛮蕎麦の素」です。フレーク状のルゥを溶かすだけで、お蕎麦屋さんの味にとても近いカレー南蛮蕎麦が出来上がります。
1袋で2人前を作れるフレーク状のルゥ。パッケージ裏にはレシピも記載。
―商品化に至ったきっかけは?
保坂 お蕎麦屋さんではめんつゆにカレー粉や小麦粉を溶かして作りますが、一般家庭では小麦粉がダマになったり焦げ付いたり、失敗しやすい問題がありました。「カレー南蛮蕎麦の素」は試行錯誤して水に溶けやすいルゥを開発し、余計な調味料を抜くことで関東風の本格的な味に近づきました。用意する材料は鶏もも肉・長ネギ・お水だけです。茹でた蕎麦やうどんにルゥをかけてお召し上がりください。
和風だしが効いた一杯。
一般的なゆで蕎麦を使っても、想像以上にお店の味に。
―「シャリアピンステーキソース」の魅力も教えてください。
保坂 ステーキやハンバーグなど、お肉類によく合う弊社の売れ筋No.1商品です。弊社ではソースの製法に該当しない製品を「たれ」としているため、ジャンルとしてはステーキソースというより「たれ」に分類されます。
玉ねぎがベースのシャリアピンということで、すりおろし玉ねぎがたっぷりと入っているのが特徴です。醤油をはじめ、たれの配合は自社オリジナルです。玉ねぎのうまみを補う形で、トマトペーストやアサリエキスといったうまみ成分も配合しています。
しょっぱすぎず甘すぎない絶妙なおいしさ。
どんなお肉にも合うと確信。
―その他おすすめ商品や今後の展開について。
保坂 商品作りでは、お店のようなおいしさを手軽に再現できるだけでなく、化学調味料に頼らないおいしさを追求しています。原料にこだわった「こだわりシリーズ」は、焼肉やステーキ、しゃぶしゃぶのたれなど豊富なラインアップがあります。
50年以上前からある「ドイツ風ハンバーグソース」は、「オムレツとハンバーグにコレ!」という名前に変えたところ注目が集まるようになりました。「ローストビーフソース110g」も好評なので、今後は使い切りサイズの商品を増やそうと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「だし香るカレー南蛮蕎麦の素」(80g 約2食分)
価格:¥518(税込)
店名:水牛食品
電話:8:30~17:00(12:00~13:00を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001005260449/
オンラインショップ:https://www.yodobashi.com/maker/5000011958/
「シャリアピンステーキソース」(171g)
価格:¥475(税込)
店名:水牛食品
電話:8:30~17:00(12:00~13:00を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001005260452/
オンラインショップ:https://www.yodobashi.com/maker/5000011958/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
保坂浩一(水牛食品株式会社 代表取締役)
1968年、東京生まれ。親の転勤で数年間、関西や北海道にも居住。水牛食品に正社員として入社し、10年間にわたり工場勤務。常務、専務を経て2010年より代表取締役に就任。
<文・撮影/マスダアヤノ MC/三好彩子 画像協力/水牛食品>