商品

おうちご飯をグレードアップする、お手軽価格のとっておき輸入食品

2024/10/10

お料理の味を一段とおいしくして食卓をおしゃれに彩る輸入食品。今回、アッキーこと坂口明子編集長は急成長中の企業が手がけるアンチョビ、フライドオニオンなどの輸入食品をイチオシ。脱サラ後に起業し、ヒット商品を次々に作ってきた創業者の激動のヒストリーにも興味津々です。商品開発の秘密、また起業から現在に至るまでの経緯を株式会社トマトコーポレーション代表取締役の岡本誠司氏に取材スタッフがうかがいました。

社長
株式会社トマトコーポレーション 代表取締役の岡本誠司氏

―会社員を辞め、起業されて今の会社を設立なさったのですね。

岡本 私には人生の転機と思われることがいくつかありますが、最初の転機は勤めていた会社を退職したことでしょう。大学卒業後に中堅の工具メーカーに入社しましたが、入社して7~8年経ったころ、自分ならこうしたいという思いが強くなり、これは起業するしかないと退社しました。
しかし、すぐに後悔しました。自分を追い詰めたら何をしたいかが分かるだろうと思って退社したのですが、何も思いつかなかったのです。アルバイトをしていましたが、何をしたらいいのか分かりません。

その頃、新聞を見ると「中国」という文字を見ない日はありませんでした。「これからのビジネスは中国だ」と思いました。そこで1994年から2年間、中国の語学学校で学び、中国語を習得しました。中国語は中国だけではなくマレーシア、シンガポールなど東南アジアでの商談に使えます。中国語の習得は私のビジネスの基盤になりました。

帰国後、翻訳会社や貿易会社を経て、株式会社トマトコーポレーションを設立しました。しかし、創業して5年間は失敗の連続で、何を売ってもうまくいきませんでした。東京に出張するとホテル代を節約するために前に勤めていた会社の寮に泊まらせてもらったりしていました。冬、コタツ1つしかない部屋で、コタツに足を入れて暖を取っていましたね。
取引先に商品を持っていっては「またしょうもないもん持ってきて」と言われ、「何をしたら儲かりますかね」と聞いて「そんなんわかってたら俺がやっとる」と言われ続けていました。

―そこから会社が軌道に乗ったきっかけは?

岡本 最初に勤めた工具メーカーの社長とは退社後にふとしたきっかけから懇意になりました。一緒に大阪の街を歩いていた時のこと。私はまた、「何したら儲かりますかね…」とつぶやいてしまいました。すると社長が「岡本!ああいうのが商売や!」と街角のラーメン店を指差しました、見ると店の前にお客さんが30人ほど並んでいます。「あのお客さん達は『ラーメン食べさせてください』と並んでいるのや。あの人気ラーメン店のように、たくさんのミツバチが花の蜜に集まってくる、そういうイメージで商売せぇ。『買ってください』ではなく向こうから「買わせてください」と言われるようなものを作らんとあかんのや」と。その言葉に衝撃を受けました。それまでは「売りたい」「買ってほしい」とばかり思っていましたが、先方から「売ってください」と言われる商品を作るのが商売なのだ思いました。

商品
トマトコーポレーションの基盤を築いた「100円カニ缶」
(2003年~2018年販売)。

―その後、「100円カニ缶」が大ヒットするのですね。

岡本 そうです。あるとき取引先の食品卸会社の社長が売れ筋商品としてカニの缶詰を見せてくれました。その直後、東京の100円ショップの店長さんから、やはり缶詰が売れていると聞きました。店長さんが、「ただ、まだ100円のカニ缶はないんだよ」と聞いて頭の中で火花がバチバチと散りました。「100円のカニ缶」を作ろうと決意したのです。当時のカニ缶はサイズが大きく価格も高かったのですが、サイズが半分の安くて使い勝手もいいカニ缶があれば売れるに違いないと思いました。

すぐにタイへ飛び、小さいサイズで製造してくれる会社を探しました。10社ほど回りましたが引き受けてくれる会社はありませんでした。最後に行った会社では少量でのカニ缶は作れるけれども、少量用の缶容器がないと言われました。その会社で製造しているすべての缶を見せてもらいましたが、求めているサイズはなく、3時間ほど粘ったのですがうまくいきませんでした。半分諦めかけたとき、1人の女子社員の方が「これならあります」と奥から走ってもってきてくれたのがペットフード用の小さな缶でした。「これだ!」と思いました。暗闇の中で1粒のダイヤモンドを見つけたように感激しました。

その他
岡本代表の著書『「100円カニ缶」ヒットが教えてくれた商売のコツ』には
これまでの半生が描かれている。

―ご著書の中でもこの場面は印象的です。

岡本 振り返って思うに、一生懸命生きている人に、人は何かを感じて振り向いてくれるのだと思います。人は本気な人に惹かれるのです。あのとき、タイの会社の方は、「この人、必死や」と感じ、「ここで成果が出なかったら、死にそうな顔してはる」と思ったのでしょう(笑)。私の姿や表情を見て協力してあげたいと思って、工場の奥から缶容器を探し出してくれたんやなと思います。
人生であのときほど感動したことはなかったと思いますし、今思い出しても涙が出てきます。
ここまで私がやってこれたのは、だれかが私に何かを感じたからだと思っています。

「100円カニ缶」は飛ぶように売れ、メディアでも紹介されて当社の信頼度を高めてくれました。全国に販売ルートが作られ得意先を開拓することもでき、どのような商品をどう作ればいいかの答えを見出すことができました。現在は「100円カニ缶」は原料減とコストの関係で販売していませんが、会社の経営を軌道に乗せることができた記念すべき商品です。

商品
トマトコーポレーションの人気商品例。

―現在はどのような商品を扱っていますか。また、御社の商品はどこで手にはいりますか。

岡本 現在、海外からソース、調味料、嗜好品、缶・瓶詰、飲料、菓子などを輸入し、大手スーパーマーケット、量販店、ディスカウントストア、100円ショップ、輸入食品店に卸しています。安価で、手軽にご家庭の食事をおいしくする商品ばかりですのでお近くの店舗をチェックしてください。また、当社のホームページの「ご購入」をクリックすると、各店のECサイトに移動するのでそこからも購入できます。

―海外から輸入するとき、どのような基準で商品を選んでいますか。

岡本 当社はよく「いろんなもの探してくるなあ。すごいなあ」と褒められます。商品の良し悪しや安全性、価格はもちろん重要です。しかし、結局は「人探し」なんですよ。一番重要なのはその商品を製造したり、扱っている人が信頼できるかどうかを見極めることです。なぜなら、特に海外貿易では何か問題が発生したときに真摯に対応してくれるかどうかがビジネスを左右するからです。

たとえば多くの企業が出品する展示会を訪れるときは、目当てのブースの3m前から中にいる人がどんな人なのか、その人のオーラを感じるようにしています。また商談に入ってからも商品の説明がていねいで熱を感じるかや、こちらの質問に熱心に答えてくれるかなど、10分ほど話せばその人が信頼できるかどうかがわかります。反対にこちら側も信頼してもらえるように、挨拶、身だしなみ、言葉遣いなどをきちんとするように社員には教えています。ですからうちの社員教育は厳しいですよ(笑)。

―著書にも社員教育に関する記述が多いですね。

岡本 最近、人材教育についてよく聞かれるので、私自身、どうして今のような社員教育のしかたになったのか振り返ってみると、私の父の姿が基本になっていることに思い当たりました。
私の父・岡本光治はだいぶ前に亡くなりましたが、私が会社を辞めるときも起業するときも何も言わず私を見守ってくれました。きっと心配でしょうがなかったと思いますが、私を信用して任せる姿勢を貫いていました。信用して任せ、見守るという父の教育が今、私の社員教育に結びついていると感じます。

商品
塩漬けにしたカタクチイワシを熟成させ、1枚ずつ骨や皮を取り除き、
ひまわり油に漬けた「アンチョビ35g」。ほどよく塩気が効いている。
その他
アンチョビと鷹の爪を入れパセリを振っただけシンプルなパスタ。
アンチョビの塩気があるので味つけも簡単。

―いいお話ですね。さて、今回は御社の商品から2品、紹介させていただきます。

岡本 1つ目は「アンチョビ35g」で、もう15年ほど前から輸入しています。アンチョビは高価で店舗の回転率が低い商品でした。これを安価にしたら売れゆきも伸びるのではと思い、フランス、イタリア、スペイン、モロッコと会社を探しましたがなかなか条件に合う商品を仕入れることができませんでした。私があまりにも粘るものですから、モロッコの会社の担当者がたまりかねて「そんなに探すならペルーに行ってみては」と紹介してくれました。そのような経緯もあり、商品開発するまでに5年かかりましたがよく売れています。サラダに入れたり、パスタ、ピザなどに入れると風味豊かな味わいになります。

商品
「パストデコ フライドオニオン」。
香ばしくカリっとした食感で料理の風味づけに重宝する。

―「パストデコ フライドオニオン」はどんな商品ですか。

岡本 これも輸入して10年ほどになる当社のベストセラー商品です。当社の社員が探してきたオランダ産のフライドオニオンですが、当初は私はこの商品の良さが理解できずにいて、売れ行きも芳しくなかったので、見切りをつけようかと思っていました。しかし社員ががんばって営業し、大手スーパーマーケットさんに納品したら人気が出て、そこから多くのスーパーマーケットや輸入食品店で展開できるようになりました。サラダにトッピングしたり、カレーに乗せても風味がつきます。ラーメンの仕上げにこの商品を振るというラーメン店もあるようです。

その他
サラダにトッピングしても。
ポテトサラダにアンチョビとフライドオニオンを入れて作ると
大人味のポテサラになる。

―今後の御社の目標などあればお聞かせください。

岡本 実は先のことは考えていないのです。過去にこだわらず未来のことを考えず、今を大事にする…そうしているうちに売上が上がっていたり、新社屋が建ったりするもの……それが私の商売哲学です。ですから今後も目の前のことに手を尽くしていこうと思っています。
また、自分だけがよければいいというのではいけないと感じています。コロナ禍の中、医療現場への支援として会社と個人で計3,000万円の寄付をしたり、タイの学校建設支援の寄付も行ったりしています。これからも微力ながら社会に貢献できたらいいと思っています。

―本日は有意義なお話をありがとうございました。

商品

「アンチョビ(35g)」
価格:¥220(税込)
店名:トマトコーポレーション
電話:0120-952-768(土・日・祝日休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:アンチョビ(35g)
オンラインショップ:https://www.tomato-corporation.co.jp/

商品

「パストデコ フライドオニオン(100g)」
価格:オープン価格(¥250前後)(税込)
店名:トマトコーポレーション
電話:0120-952-768(土・日・祝日休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:パストデコ フライドオニオン(100g)
オンラインショップ:https://www.tomato-corporation.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
岡本誠司(株式会社トマトコーポレーション 代表取締役)

1964年大阪生まれ。佛教大学卒業後、工具メーカーに勤務。1992年退職後、数回の転職を経て2年間中国へ語学留学。帰国後、翻訳会社、貿易会社勤務を経て、1998年株式会社トマトコーポレーションを設立。100円のカニ缶をヒットさせるほか、数々の人気商品を生みだす。2021年、2022年、日本赤十字社への寄付活動により法人として紺綬褒章受章。2023年、同社への支援により個人として紺綬褒章受章。著書に『100円カニ缶ヒットが教えてくれた商売のコツ』(PHPエディターズ・グループ刊)がある。

<文・撮影/今津朋子 MC/木村彩織 画像協力/トマトコーポレーション>

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