世界に認められた、伊勢神宮の神域から流れる水を使った日本酒「おかげさま純米大吟醸」

2024/10/16

今回、編集長アッキーの目に留まったのは、世界中のさまざまな品評会で金賞を受賞している「おかげさま純米大吟醸」です。世界的酒類品評会のIWC(インターナショナルワインチャレンジ)の「2022純米大吟醸酒部門」では、ゴールドメダルの中でも高い評価を得た銘柄に贈られるリージョナルトロフィーを受賞しています。高品質な日本酒を製造・販売する株式会社伊勢萬の代表取締役社長、村田光晴氏に取材陣が伺いました。

―貴社の沿革を教えてください。

村田 昔、伊勢近郊には酒造会社が2社ありましたが、どちらも事業継続が難しい状態でした。1つは焼酎を中心に製造・販売していた会社です。その会社を、伊勢名物の赤福餅を製造・販売する株式会社赤福のグループが傘下に入れて、(株)伊勢萬を創業しました。1983年のことです。

もう1社は清酒を製造する1702年創業の会社です。当時は、三重県で一番古い酒蔵でしたが、1990年に吸収合併して、弊社も清酒を作れるようになりました。

私が弊社に入社したのは、1986年です。商品開発をして、全国に売っていこうとするタイミングでの入社でした。赤福グループに入社して、伊勢萬に配属された形です。

焼酎部門の新規開拓が仕事で、最初は地元を担当し、その後全国各地に営業しにいきました。色々なところに行き、色々な人に会えることが楽しかったです。また、会社を一から作っていく部分もあり、やりがいがありました。

部屋に飾りたくなるような、高級感あふれる化粧箱。美しい質感の和紙が贅沢に使われている。

―若くして店長になられました。

村田 東京で営業をしていたときに、当時のオーナーから「今度おかげ横丁という街を伊勢に作る。伊勢萬として清酒の蔵を出す。そこの店長をやらないか」といわれました。29歳のときです。

「是非やりたい」と即答しました。その後、どんな店にするのか、全国の蔵を回るなどしてお酒造りを勉強しました。そして1993年、おかげ横丁に伊勢萬内宮前酒造場を立ち上げて、初代店長に就任します。

当時、お酒を作れる社員は1人だけでした。そこで、私も店長を行いながら、酒造りも担当しました。営業でお酒を知っているつもりでしたが、製造するとさらに深い知識を得られます。お酒造りは温度が1度違うだけで、味が大きく変わるのです。神経を尖らせて作りました。
自分で作ったお酒を、自分で説明して試飲していただき「おいしい」と買っていただく。強い感動・やりがいを得られました。

伊勢のおかげ横丁にある「伊勢萬 内宮前酒造場」。
内宮前酒造場の店頭では、「おかげさま」をはじめとしたお酒をその場でいただけるほか、購入することができる。

―酒造場の経営は順調でしたか?

村田 おかげ横丁ができた当時は、ほとんど人が来ませんでした。伊勢神宮だけ参拝して帰る方がほとんどだったためです。売上も少なく「こんな売上で大丈夫なのか」と、胃が痛い日々でした。

当時のオーナーには「他にはない「これ」という逸品を作れ。お客様に気に入ってもらい、口コミを広げてもらう。それを徹底すれば必ずたくさんの人がやってくるようになる。」といわれました。

それを信じて頑張っていたら、おかげ横丁全体が賑わうようになってきました。

現在お店では、搾りたて生原酒の提供を行っています。酒蔵だからこそできることです。裏で搾ったお酒を、すぐに提供しています。最近は、お店で予約していただいて、搾ったタイミングで冷蔵便で送るサービスも行っています。

さまざまなお酒のラインナップや、お酒造りの情景を紹介するパンフレットが付属する。

―「おかげさま純米大吟醸」は、どのようなきっかけで開発を?

村田 弊社は長い間、普通酒ばかり製造していました。しかし、リピーターがつきません。そこで、2017年から2018年くらいに、すべてを吟醸酒に切り替えました。

製造量が減っても、お客様に納得していただけるような、高品質なお酒を開発したのです。そして「自分たちの技術を集めたいいものを作ろう」ということで「おかげさま純米大吟醸」を開発しました。

その後、私は2020年に代表取締役社長に就任しました。(現在伊勢萬は赤福グループからは離れ、IXホールディングス株式会社の傘下。IXとは、伊勢志摩トランスフォーメーションの略称。「伊勢志摩に変革を起こす」のが目的。そのグループの一員)

※普通酒とは、吟醸酒や純米酒など、特定名称の酒として区分されないお酒で、比較的手頃な価格。一方で吟醸酒は精米歩合で分類される。精米歩合60%以下が吟醸、50%以下が大吟醸。精米歩合が低いほど雑味が消えて、高価になる傾向がある。純米酒は、醸造アルコールが原料に使われていないお酒。

―「おかげさま純米大吟醸」は、数々の品評会で金賞を受賞しているとか。

村田 客観的な評価をいただくため、さまざまな品評会に出品しました。最初に、ブリュッセル国際コンクールの「SAKE selection2018」にてゴールド賞を受賞しました。

続いて2022年に、世界的酒類品評会であるIWCの「2022純米大吟醸酒部門」に初出品で、ゴールドメダルならびに、ゴールドメダルの中でも高い評価を得た銘柄に贈られるリージョナルトロフィーを受賞したのです。

また「全国新酒鑑評会」でも2022年と2023年、2年連続金賞受賞しました。フランスの日本酒コンクール「KuraMaster」でも、2023年にゴールドを受賞しています。

これらの評価を得たこともあり、色々なお客様から問い合わせをいただくようになりました。海外からもお声がかかり、輸出もはじめています。ヨーロッパの高級ホテルでも、販売されています。

雑味なく、お米の甘みをしっかりと感じられる。後味スッキリで清涼感のある逸品。

―「おかげさま純米大吟醸」の特徴を教えてください。

村田 精米歩合40%まで磨き上げた山田錦を使用しています。お米は産地にこだわらず、年ごとに数値を見て、いいものを仕入れています。

また、水は近くを流れる五十鈴川(いすずがわ)の伏流水を、蔵の地下から組み上げて使っています。五十鈴川は伊勢神宮の神域から流れ出る川です。

川の流れのような清涼感があり、純米大吟醸ならではのお米の甘味と、スッキリとした後味を楽しんでいただけるお酒です。

自社店舗か通販でしか販売していません。伊勢に来た方にぜひ飲んでいただいて、伊勢を感じていただきたいです。また、おかげさまという名前のとおり、ギフトにも使っていただきたいと考えています。

「おかげさま」という名前の由来は、伊勢神宮にあります。「おかげさま」は、神恩感謝の気持ちを表す言葉で、神道の中では大事な言葉です。伊勢とは切って切り離せない言葉で、これにあやかりました。

伊勢ならではの「おかげさま」という言葉を大切にしている。

―今後の展望を教えてください。

村田 高品質なもの、地元に密着した地元でしか作れない商品開発をしていきたいです。グループ会社には「本物作り」という理念があります。代わりが効かないたくさんのファンがいる商品を作りたいと考えています。

例えば、2021年にウイスキーの免許を取得して、伊勢志摩初のクラフトウイスキーも発売しました。長く焼酎を作る中で培ってきた、ブレンドや樽熟成の技術をふんだんに使ったウイスキーです。今後は、地元の大麦を使ったウイスキーも開発する予定です。

また、三重県で開発された酒造好適米「神の穂」と、「三重県酵母」で作った「おかげさま純米吟醸 神の穂」も発売しています。精米歩合21%まで削ったお酒にも挑戦中です。

このように、他では作れないような商品開発を続けていきます。

―三重県の原材料を使った新商品も楽しみです!貴重なお話をありがとうございました!

「おかげさま純米大吟醸」(720ml)
価格:¥4,760(税込)
店名:伊勢萬オンラインストア
電話:0120-63-0141(9:30〜17:00 年中無休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://iseman.raku-uru.jp/item-detail/1112953
オンラインショップ:https://iseman.raku-uru.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
村田光晴(株式会社伊勢萬 代表取締役社長)

1963年三重県生まれ。1986年株式会社伊勢萬に入社。焼酎部門の新規開拓で全国各地を営業担当。清酒部門の伊勢萬内宮前酒造場の立ち上げ、初代店長。2020年に同社代表取締役社長に就任。

<文・撮影/林本直 MC/山口優花 画像協力/伊勢萬>

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