種類ごとにさまざまな味わいが楽しめるお茶は、日本人にとってなじみの深い飲み物です。冬はホットで、夏は冷やしてと、日常的に味わっている人も多いのではないでしょうか。
今回、編集長アッキーが気になったのが、個性豊かなお店が並ぶ新宿区神楽坂で見つけたのは、どんな水でもおいしくいただける「深蒸し煎茶」と芳ばしい「ほうじ茶」。多くの常連さんに愛されている銘茶にどんなこだわりをもって扱っているのか、株式会社樂山の代表取締役を務める齋藤昭人氏に取材陣がお話を伺いました。
2024/10/16
種類ごとにさまざまな味わいが楽しめるお茶は、日本人にとってなじみの深い飲み物です。冬はホットで、夏は冷やしてと、日常的に味わっている人も多いのではないでしょうか。
今回、編集長アッキーが気になったのが、個性豊かなお店が並ぶ新宿区神楽坂で見つけたのは、どんな水でもおいしくいただける「深蒸し煎茶」と芳ばしい「ほうじ茶」。多くの常連さんに愛されている銘茶にどんなこだわりをもって扱っているのか、株式会社樂山の代表取締役を務める齋藤昭人氏に取材陣がお話を伺いました。
―会社の沿革を教えてください。
齋藤 先代である私の父が1957年頃に新宿の牛込北町で創業し、1967年に現在の神楽坂の地へ移転しました。父は、お茶の産地として知られる静岡県掛川市の出身です。農家兼製茶工場の6番目として生まれ、お店を出す前はバイクやオート三輪でお茶を売って回り、いろいろな人に支えていただいて開業したと聞いています。
―今回ご紹介する「深蒸し煎茶」も掛川産なのでしょうか。
齋藤 はい。収量が限られているよいお茶を手に入れるために、毎年新茶の時期を迎える前に掛川の生産家さんとディスカッションをしています。当店では、東京都優良茶品評会において3年連続で農林大臣賞を受賞した掛川のお茶を販売しています。そういった名誉ある商品を扱う以上、僕らもしっかりと売っていかなくてはなりません。掛川随一のお茶を販売することに、スタッフも張り合いを感じています。
―「深蒸し」とはどういうものなのでしょうか?
齋藤 お茶の製造工程には、「蒸熱(じょうねつ)」という茶葉を蒸すタイミングがあります。この蒸熱の時間が極端に長いものが「深蒸し茶」です。蒸熱の時間が短いと、葉の形状が残った形で茶葉になるのですが、深蒸し茶は時間をかけて蒸気をあてたうえで揉むことで、茶葉の形状が崩れます。そのため深蒸し茶が知られていなかった昭和30年頃は、「粉茶じゃないの」とよく言われたそうです。
―現在は看板商品になっていると伺いましたが、人気の理由は?
齋藤 深蒸し茶は濃く出ますので、水に負けません。そのため、当時あまりおいしくなかった東京の水道水にも合ったのだと思います。今も海外の方が帰国してから「おいしい」とメールをくださいます。
―海外の硬水でもおいしく淹れられるのですね。
齋藤 はい。硬水でも軟水でも茶葉の味がものすごく出ます。海外の方には、水を選ばずにおいしく飲めることをアピールしています。
―深蒸し茶のおいしい淹れ方は?
齋藤 当店が販売している深蒸し茶は、それこそ赤ちゃんのようなふわふわとした茶葉ですので、浸出時間は30秒くらいで十分です。茶葉の量は好みにもよりますが、一番いい方法は「おいしい」と感じたお茶の色を記憶しておき、それに合わせることです。
そのためには、急須から一気に注ぐのではなく、急須を何度もおじぎさせながら少しずつ注いでください。多少濃くなっても当店のお茶は悪さをしませんので、濃厚な奥行きや豊富な滋味を味わっていただけます。さらに一煎目だけで終わるのではなく、二煎目の濃厚な風味や三煎目のさっぱりとした味わいもお楽しみいただけたらと思います。
―「ほうじ茶」についても教えてください。
齋藤 ほうじ茶は土曜日と五の付く日に店頭で自家焙煎をして、その日の午後には袋詰めをして販売しています。これだけのスピード感で召し上がっていただけるのは、当店のお客様だけではないでしょうか。「自宅で淹れると、部屋中がお店と同じほうじ茶の香りになる」というお声をいただきます。ただ、香りが強すぎるとおっしゃる方もいるので、煎りたての商品だけを扱っているわけではありません。
―焙煎のこだわりはありますか?
齋藤 100gで500円のほうじ茶は葉と茎をブレンドしていますが、それ以上の価格帯のものは茎のみを使用する、いわゆる「棒茶」と呼ばれるお茶です。葉と茎をブレンドしたタイプは、忙しい飲食店さんに使っていただくために、短時間で浸出できるように強火焙煎で仕上げています。一方で茎のみを使ったほうじ茶は弱火焙煎です。そもそも、ほうじ茶の焙煎香というのは、茎を焙煎したときの甘くやわらかな香りですので、それを引き出すには焙煎する際に火を入れすぎないようにしなくてはなりません。
―どなたが焙煎しているのですか?
齋藤 当店の番頭と後輩社員の二人です。煎り加減が不足しないよう、常に機械とにらめっこしながら責任を持って作業しています。火は都市ガスを使っているのですが、時間帯によってはガス火の強弱が出てしまうため、細かな火加減が欠かせません。焦げすぎずなおかつ青臭さを残さず、「これだ」と思う香りにたどり着くために、日々調節しています。
―職人技なのですね。
齋藤 そうですね、焙煎する前の状態から仕上がりがどうなるかを想像するには、経験が必要です。また、原料に関しては、新茶が出たときなどのようにガラッと潮目が変わるときがあるので、そのあたりを見極められる目を持っていないとできません。
―ほうじ茶のおいしいいれ方は?
齋藤 焙煎香を楽しみたいときは、100度に近い熱湯でいれてください。熱湯が茶葉にぶつかることで香りが甦ります。夏場は水出しもおすすめです。焙煎したてのほうじ茶であれば、水出しでも香りが楽しめます。
―ぜひ試してみます。最後に今後の展望を教えてください。
齋藤 訪日観光客向けのガイドブックで数寄屋造りの本店が紹介されたこともあり、海外の方ともご縁ができました。お茶は今、健康的な飲み物として海外からも注目されています。今後は、海外の方にもデイリーにお使いいただけるための仕組みづくりが必要だと考えています。
―ありがとうございました。
「煎茶 竹印 100g袋入り 掛川産」(100g)
価格:¥1,620(税込)
店名:神楽坂銘茶 樂山
電話:03-3260-3401(平日9:00~19:30、土曜9:30~19:30、日祝日10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://rakuzan.co.jp/store/products/detail/20
オンラインショップ:https://rakuzan.co.jp/store/
「炒りたてほうじ茶 高級 100g袋」(100g)
価格:¥1,080(税込)
店名:神楽坂銘茶 樂山
電話:03-3260-3401(平日9:00~19:30、土曜9:30~19:30、日祝日10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://rakuzan.co.jp/store/products/detail/110
オンラインショップ:https://rakuzan.co.jp/store/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
齋藤昭人(株式会社樂山 代表取締役)
1965年東京都生まれ。大学卒業後の1988年に久光製薬株式会社へ入社。1993年、株式会社樂山入社。東京都茶協同組合理事。2022年より神楽坂通り商店会会長を務める。
<文・撮影/坂見亜文子 MC/石井みなみ 画像協力/樂山>