今回、編集長のアッキーこと坂口明子は、創業152年の大分県の酒蔵が生み育てた伝統の大吟醸酒に注目しました。全国清酒鑑評会で9回金賞を受賞したまぎれもない傑作は「風光り水澄む里の酒蔵」という美しいフレーズのもと、鍾乳洞そばの良質な水を原料に清酒だけでなく麦焼酎の製造にも力を入れる藤居酒造株式会社。
6代目代表取締役社長の藤居徹氏に、商品の特徴やお酒造りについて取材陣がインタビューしました。
清酒品評会で金賞9回の実力!名杜氏が残した遺産を継承した「龍梅大吟醸」「龍梅純米吟醸」
2024/09/11
藤居酒造株式会社 代表取締役社長の藤居徹氏(右)
―創業時の歴史をおうかがいします。
藤居 当蔵は明治初期の1872年創業で、社歴は今年で152年になります。臼杵の藩主としてこの辺りを支配していた稲葉家統治の江戸時代に、岐阜から稲葉家の家臣として入ってきたのが藤居家のルーツです。
お米どころの領地ですから、明治時代に入ってこれを原料に酒造りを始めたのが発祥と聞いています。
―若い頃から家業を継ぐご意思でしたか?
藤居 そうですね。家の敷地内に酒蔵があったので、日常的にお酒造りを見て育ちました。3兄弟の次男ですが、兄は理系の大学に行って別の道に進んだので私が継ぐことになりました。
私は大学から京都に出て商学部で学び、弟は東京農大で酒造に関係する勉強をしていましたので、2人で会社を切り盛りする体制に向かいました。
明治蔵。19世紀から受け継がれてきた菌がここに宿る。
―大手酒メーカーに就職を?
藤居 はい。大学を出て3年間、弊社に入社する前に大手メーカーに就職して千葉支店の配属となりました。それまで京都までの西日本しか知らなかったので、初めて東日本エリアでの生活で広く食や酒文化を知ることができ、とてもいい勉強になりました。
営業を担当した仕事面では、日本酒・焼酎甲類焼酎もトップクラスでチューハイも上位と、和酒で一番大きい会社に勤めたメリットは多くありました。
酒類をほとんど扱う環境の中で「日本酒と焼酎をどのようにとらえるか」「大手ビールメーカーがどんな考えを持っているか」などを理解することができました。たったの3年でしたが、その後の酒造にすごくプラスになったと思います。
麦焼酎を温度変化の少ない洞窟で貯蔵。
天然資源の中でじっくり熟成。
―お酒造りで大事にしていることはなんですか?
藤居 「和をもって良酒を醸す」を意味する「和醸良酒」という精神を大切にしています。蔵人はチームワークでお酒をつくるもので、皆で助け合わないと良いモノはできないし、経営者が1人頑張るだけでは意味がありません。全員一丸となって会社を運営することで良いお酒を造っていきたいと強く思います。
大吟醸らしい山田錦由来の華やかな香りとともに、味わいはコクたっぷり。
引き際にとても心地よい酸味で締める印象。
―今回ご紹介の「龍梅大吟醸」はどんなお酒ですか?
藤居 原料米には特Aランクの山田錦を100%使用し、精米歩合は35%です。酵母には地元九州の熊本酵母と1801という品種をブレンドし、香りのバランスの良さを追求した当蔵のフラッグシップ商品です。
1971年に入社して半世紀にわたって活躍された小川杜氏による作品でもあり、おかげさまでこの十数年、全国清酒鑑評会で9回の金賞をいただくことができました。
小川杜氏は残念ながら今年3月に94歳で亡くなったのですが、現杜氏の弟にそのDNAはしっかり引き継がれています。杜氏を交代した後も新酒品評会で金賞を取ることができたのは、10年以上師事させていただいた賜物となりました。
小川杜氏に昨年、全国新酒鑑評会での金賞受賞を報告。
―「龍梅純米吟醸」はいかがでしょう?
藤居 こちらの原料米は福岡県糸島市の山田錦を使用し、精米歩合は50%です。熊本酵母だけで造っていますので、非常に穏やかな風味とやさしい旨味が出ています。
大吟醸も同様ですが山に湧水をタンクローリーで汲んできて、それを米洗いから最後の割り水まですべての工程で使っています。そのためおいしい水の恩恵を大きく受けたピュアな仕上がりになっているのが特徴です。
大吟醸よりクリアに近い色合い。
口当たりはソフトで飲みやすく、それでいて旨味は十分。
―両者ともに味わいはいかがでしょうか?
藤居 大吟醸は狙いどおりにとても綺麗で飲みやすいタイプのお酒です。オススメの飲み方は冷か常温で、人肌ぐらいの温度にすると冷たいときに分からなかった風味が出てくるのでこれもいいですよ。
純米吟醸は炭酸で割って飲むのもおもしろいです。1対1ぐらいまでなら許容範囲ですから、フローズンフルーツも入れるなどして、マイルドでやさしい味になるソーダ割りをぜひお試しください。
両方とも食べ合わせはお刺身系、特にフグやヒラメのような白身の魚に合わせたくなるお酒です。
「龍梅純米吟醸」は炭酸水とも相性良く、ますます飲みやすくすっきり。
―今後の目標をお聞かせください。
名前 「龍梅」のブランド力を上げて国内だけでなく世界中に発信していくのが大きな目標です。酒蔵は大変な仕事と思われがちなので、人手不足の時代でも人が来てもらえるようなブランドを確立して、会社を生き残らせることがまず第1目標と考えています。
そして「かぼすサワーの素」をはじめ地元臼杵市の特産物を生かした新商品を開発して、地域に還元していきたいと思います。
―本日はありがとうございました。
「龍梅大吟醸」(720ml)
価格:¥4,350(税込)
店名:藤居酒造
電話:0974-32-2008(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://fujii-syuzo.shop-pro.jp/?pid=34318741
オンラインショップ:https://fujii-syuzo.shop-pro.jp/?mode=srh&keyword=&cid=
「龍梅純米吟醸」(720ml)
価格:¥1,850(税込)
店名:藤居酒造
電話:0974-32-2008(10:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://fujii-syuzo.shop-pro.jp/?pid=173344132
オンラインショップ:https://fujii-syuzo.shop-pro.jp/?mode=srh&keyword=&cid=
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
藤居徹(藤居酒造株式会社 代表取締役社長)
1975年和歌山県生まれ。大学卒業後、宝酒造株式会社に入社し、3年間営業を担当。2001年に藤居酒造株式会社に入社。2013年に代表取締役社長に就任。動画配信などにもチャレンジしている。
<文・撮影/田中省二 MC/伊藤マヤ 画像協力/藤居酒造>