三重県鳥羽市、伊勢湾の入り口に位置する離島、答志島(とうしじま)。志摩諸島の一つに数えられ、水産業が島の中心事業となっています。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、その答志島で獲られた新鮮なお刺身を瞬間冷凍した「鯛のあぶり」と島で作られている「黒ちりめん」です。商品の魅力について、製造元である株式会社浜与本店 代表取締役社長の濱﨑幸弘氏に取材陣がお話をうかがいました。
伊勢湾で創業250余年、離島から届くおいしい海の幸「鯛のあぶり」と「黒ちりめん」
2024/09/11
株式会社浜与本店 代表取締役社長 濱﨑幸弘氏
―会社の歴史について教えてください。
濱﨑 江戸中期に海産物の商いを始めて、1978年に法人化しました。時代に合わせて漁業から水産加工業、輸入業と事業を変えたのち、約20年前に「地元に特化した商いをしよう」と原点に帰った次第です。新たに建てた工場で、ちりめんじゃこや牡蠣の佃煮の製造を本格的に始めました。
伊勢湾に浮かぶ答志島を本拠地とした魚介を扱っている。
濱﨑 答志島で水揚げされた新鮮な魚を豊洲市場や各地区の中央卸売市場に出荷する事業は、今でも売り上げの半分を占めています。伊勢神宮おはらい町に出店できたことも転機となりました。店舗では新鮮なしらす料理や牡蠣を味わえるほか、お土産に最適な加工品も取り扱っています。店舗を通してコンセプトや情報を発信するようになり、通販を含めてリピーターのお客様が増えました。
―独自の強みを教えてください。
濱﨑 仕入れから加工、販売まで自社で一貫している点は大きな特徴です。工場・店舗・通販の3本体制であれば、何かあっても会社が突然折れることはないでしょう。実際にコロナ禍では店舗がピンチになりましたが、お取り寄せ需要で加工工場は大忙しでした。答志島がある伊勢湾の豊かさも会社の強みとなっています。鳥羽は御食国(みけつくに)として、古くから朝廷や伊勢神宮に海産物を献上してきたからこそ伊勢神宮とのご縁もあったのです。
250余年にわたり水産加工販売が家業。
―家業としては何代続いているのでしょうか?
濱﨑 法人化してからは3代目、江戸時代から数えると僕が11代目にあたります。漁獲量が増えない中で仕入れ・加工業のみを柱とするのは厳しいということで、父の代で地産地消に回帰しました。自分たちで自由にものを売れる場所が必要だと考えたのです。販路拡大については、レストランでの集客に成功した農園「伊賀の里モクモク手づくりファーム」さんにノウハウを教わり、店舗作りにおけるアドバイスもいただきました。3つの柱を上手に育てていくことが僕の役目ですので、先が読めない世の中の変化に対応できる会社作りをしていきたいと思います。
―今回ご紹介する「鯛のあぶり」はどんな商品でしょうか?
濱﨑 軽くあぶった鯛を急速冷凍したお刺身です。釣りたてのおいしさをお届けするために、身を捌く段階で少しでも鮮度が落ちたものはフライに回すなど、新鮮さにこだわっています。皮をあぶることで生臭さを消すだけでなく、香ばしい風味がついた面白い商品となりました。
冷凍で届く「鯛のあぶり」。真空パックされたお刺身がたっぷり4本入り。
濱﨑 お好みでポン酢や醤油、塩などをつけてシンプルに味わうほか、鯛茶漬けなどのアレンジも楽しめます。この商品も「冷凍前の一番おいしい状態」を届けられるよう、特殊な急速液体冷凍機を使用し、解凍後のドリップを通常の冷凍と比べて10分の1に抑えるように作りました。
炙りとは思えないほどプリッとした歯ごたえ。適度な香ばしさがアクセントに。
―もう1つの「黒ちりめん」の魅力もついても教えてください。
濱﨑 その名の通り、見た目がやや黒っぽい「ちりめんじゃこ」です。昔ながらの白いちりめんじゃこは、見栄えを重視して食品用の漂白成分で色を揃えています。今は体にやさしいものが受け入れられる時代ですので、弊社は出来上がりそのままの「黒ちりめん」を販売することにしました。ちりめんの自然な色は黒や茶、白とさまざまなので「無添加・無漂白」に関する説明書きも同封しています。
2006年には「全国水産加工たべもの展」に出品し、大阪府知事賞受賞もいただきました。また、食の神様が集まる伊勢神宮外宮の奉納品にも指定されています。
素材本来の色味に安心を感じる「黒ちりめん」。発売当初はそのおいしさに驚く人も多かった。
シンプルながらもこだわりの味付け。旨みが凝縮されている。
ご飯のお供に、酢の物に、おいしさが際立つ。
―御社のこだわりとは?
濱﨑 コンセプトだけでなく、味わいも他社とは一味違うと自信を持って言えます。ちりめんじゃこの調味液は塩しかないため、何十種類もの塩を試して今の味にたどり着きました。「黒ちりめん」に使用しているのは、取引先の社長から特別に紹介された海外で発掘された岩塩です。従業員はもちろん、そのお子さんたちにも食べてもらって最終的な味を決めました。
伊勢湾の入口にある答志島は潮流や魚の出入りが激しく、昔から漁業が盛んです。いろいろな河川と繋がっているため、栄養も豊富で魚が育ちやすいのです。しかし、近年は温暖化の影響で魚の旬がずれています。鯛もちりめんじゃこも、水揚げしてすぐに加工・冷凍保存しないと皆さまにおいしさをお届けできません。
弊社は特殊な冷凍機器を使い、なるべく新鮮でとれたてに近い味を保つように努力しています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
「鯛のあぶり [冷凍]」(内容量:4袋入、箱サイズ:縦270mm×横185mm×高さ80mm)
価格:¥2,484(税込)
店名:鳥羽 答志島 浜与本店
電話:0120-26-5053(10:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.hamayo-shop.com/SHOP/TA-4.html
オンラインショップ:https://www.hamayo-shop.com/
「黒ちりめんギフト(中)」(内容量:150g、箱サイズ:縦210mm×横145mm×高さ30mm)
価格:¥1,512(税込)
店名:鳥羽 答志島 浜与本店
電話:0120-26-5053(10:00〜17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.hamayo-shop.com/SHOP/KC-2.html
オンラインショップ:https://www.hamayo-shop.com/
<Guest’s profile>
濱﨑幸弘(株式会社浜与本店 代表取締役社長)
1972年、三重県鳥羽市の離島「答志島」に生まれ、海に囲まれて育つ。大学卒業後、家業の株式会社浜与本店に入社。新工場と新店舗を立ち上げ、2014年に代表取締役社長へ就任。伊勢湾の海の幸をお客様に楽しんでいただけるよう、試行錯誤しながら現在に至る。
<文・撮影/マスダアヤノ MC/石井みなみ 画像協力/浜与本店>