今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、有機栽培で育てたごまで作られた「有機すりごま」。杵つき製法で丹念にすり潰し、ごまの中から油分が出るため、香り高さとしっとりした食感が魅力的です。発売当初はまだ有機食品の知名度が低かったそうですが、どんな経緯で開発に至ったのでしょうか。株式会社山本貢資商店 代表取締役社長の山本浩史氏に、取材陣が伺いました。
平成初期からオーガニックに注目。山本貢資商店が杵つき製法で作った「有機すりごま」
2024/09/12
株式会社山本貢資商店 代表取締役社長 山本浩史氏
―貴社の沿革を教えてください。
山本 私の父がごまメーカーで約8年勤務してから独立し、1958年に創業しました。その後、1970年に「有限会社 山本貢資商店」を設立し、1990年に国内産有機きな粉、有機ごまといった、有機商品に取り組み始めました。そこから2004年に西宮市に移転して今に至っています。
―いずれはお父様の後を継ごうとお考えでしたか?
山本 薄々は思っていましたが、とりあえず就職しておこうと思い、まずは商社に入社しました。大学時代は2年ほどアメリカに行っていたこともあり、商社に興味があったからです。そこではアパレル関係の仕事をしていて、今の仕事とは畑違いではありますが、モノ作りという点で共通する部分も多く、すごく勉強になりました。
両親は継いでほしいと思っていたかもしれませんが、就職してからは仕事が忙しく、家族とはほとんど話していなかったので、特に継いでほしいとは言われていませんでした。そこから、父が体調を崩したことがきっかけで実家に戻り、1988年に弊社へ入社しました。
―現在のお取り扱い商品は162点ですが、入社当時からこれくらいあったのでしょうか。
山本 当時は20~30点程しかなかったので、商品数を増やしていきました。いろいろな量販店のバイヤーさんに商品を勧めに行った際に、「もっといろいろな商品を作ってほしい」と言われ、自分のできる範囲で開発し、完成したら見せに行くというやりとりをしていました。周りの方に恵まれたおかげで、開発しながら増やしていけたのはよかったと思っています。
―「有機すりごま」も山本さんが入社されてからお取り扱いが始まった商品ですか?
山本 「有機すりごま」は入社3年目頃にアメリカのオーガニックの展示会がきっかけで開発したものです。その展示会では、有機のお醤油や味噌、大豆などを作られているメーカーさんがおられたので、彼らと一緒にまずは有機きなこを商品化することになりました。
当時はまだ有機食品の知名度は低く、半分趣味のような気持ちで作り始めましたが、非常においしい有機きなこができたんです。一般的なきなこと比べて価格が4~5倍高いですが、取引先のスーパーさんが「定番商品として置きましょう」と言ってくださって、今もずっと販売が続いています。その後、そのスーパーのお偉いさんに「すりごまも作れませんか?」と聞かれ、すりごま用の機械を導入し、開発に挑みました。
「有機すりごま」の開発前に誕生した「国内産有機きな粉80g」
取引先から依頼されたのがきっかけで誕生した「有機すりごま」。
―わざわざ機械を導入されたんですね。
山本 機械を作る工場に、コンパクトなすりごま用の機械を個別に作っていただきました。当時は工場が小さかったので、あまり大きな機械を導入することができなかったんです。小さいので一度に100kg程度しか作れませんが、その代わり包装するまでの時間も短く、鮮度が高くておいしいすりごまになります。大量生産したものと比べて味が全然違うんです。
―いずれ有機食品が注目されるとお考えでしたか?
山本 当時、すでにアメリカでは有機食品のブームが起きていて、注目度の高さを実感したので、いずれ日本にもその流れがくるかもしれないと思っていました。ただ、有機食品を使うだけではなく、多くの人に召し上がってもらうためにはおいしさにもこだわりたいと今でも思っています。
―品質にも違いがありますか?
山本 杵つき製法で作るので、油分がじんわり出て、ごまの香りが強く出てきます。ご家庭ですりごまを作るとすりたてのおいしさはもちろんありますが、油分までは出せません。このしっとり感は、杵つき製法ならではのものだと思います。
原料のごまも、杵つき製法に合う少し硬めのものを選び、大阪のごまメーカーさんのいりごまを使っています。決まるまではいろいろなものを試しました。
左から「有機すりごま黒」と「有機すりごま白」。袋から出した瞬間、ごまの香りがふわっとする。
―「有機すりごま白」と「有機すりごま黒」のそれぞれおすすめの食べ方を教えてください。
山本 「有機すりごま白」はすごく一般的なすりごまで、和え物や酢の物に使うことが多いですが、肉じゃがや里芋にかけてもおいしくておすすめです。それと、サラダにドレッシングをかけてから、その上にすりごまをかけると非常にごまの風味を感じることができます。あとは、めんつゆや鍋物のポン酢に入れたり、パンやお菓子を作る際に入れたりと、いろいろな用途があります。
「有機すりごま白」を使ったほうれん草の胡麻和え。しっとりと柔らかく、香り高い。
山本 「有機すりごま黒」は、ヨーグルトに入れるのがおすすめです。きなこも一緒に入れるとさらにおいしいですよ。ほかにもアイスクリームのトッピングやスムージーにもおすすめです。また、春菊や小松菜、モロヘイヤなど、香りが強い野菜の和え物には黒の方が相性が良いですね。
「有機すりごま黒」を入れたヨーグルト。お好みできなこやハチミツを入れても◎
―有機のごまを使っているという点では普通のごまとどんな違いがありますか?
山本 そもそも有機栽培ではない普通のごまも健康に良い食品ですが、健康志向の強い方にご購入されることが多いです。有機の方が若干甘味があって食べやすいので、ぜひ食べ比べていただきたいと思います。ごまが苦手な方にも一度お試しいただけたら嬉しいです。
料理を少しグレードアップしたいときなどに購入されているようです。
―最後に今後の展望を教えてください。
山本 原材料や資材など、コストがどんどん上がってきていますが、品質を維持してお客様に満足していただける商品を作り続けていきたいと思っています。今後は今よりももっと購買層を広げていきたいです。
また、日本にはおいしいものがたくさんあるので、日本食の魅力を広めるために、さらなる商品展開を考えていきたいと思います。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました!
「有機すりごま黒80g」
価格:¥378(税込)
店名:株式会社山本貢資商店
電話:078-907-1820(9:00~17:00、土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://shop.yamamotokoujishouten.co.jp/shopdetail/000000000027
オンラインショップ:http://shop.yamamotokoujishouten.co.jp/
「有機すりごま白80g」
価格:¥378(税込)
店名:株式会社山本貢資商店
電話:078-907-1820(9:00~17:00、土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://shop.yamamotokoujishouten.co.jp/shopdetail/000000000026
オンラインショップ:http://shop.yamamotokoujishouten.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山本浩史(株式会社山本貢資商店 代表取締役社長)
1961年兵庫県尼崎市生まれ。関西大学経済学部卒、アメリカコロラド大学ボルダー校他2年留学(語学研修含む)後、総合商社2年半勤務後1988年10月入社。1999年社長就任。2000年8月有機JAS認証取得。
<文・撮影/サカモトアヤ MC/油井直美 画像協力/山本貢資商店>