今回、編集長アッキーが注目したのは、今やブームともいえる家庭菜園。ホームセンターなどでもさまざまな野菜の種や苗が販売されますが、農家の方が頼りにしているものならより安心です。育てやすくておいしい野菜ができる種苗を77年以上に渡り研究、開発し続けている「山陽種苗」の噂を聞きつけ、取材班が山陽種苗株式会社代表・古川紀彦氏にお話を伺いました。
育てやすくおいしい種苗を開発して77年超。「山陽種苗」の通販で家庭菜園を始めよう
2024/10/24
―代表ご就任の経緯を教えてください。
古川 弊社は祖父の代からの会社で、私は3代目です。1974年(昭和49年)に入社して、1984年(昭和59年)に社長になりました。
入社以来、営業を担当しています。私が営業をしていた頃は、“ものさえあれば売れる”ような時代でしたし、国からの補助がある農薬なども多くありましたから、営業もとても順調でした。現在は、国の補助も少なくなり、種苗がなかなか売れない時代になりました。
野菜や花の種苗の販売を中心に、資材や農薬の販売を展開。
現在は、「SKYTECH(農業用ドローンなど)事業」まで幅広く扱っている。
―現状の農業には課題が多いのですね。
古川 人口減に加えて野菜を食べない人も増えており、量的に出荷できなくなっています。さらにコロナ禍があって、大衆食堂さんや加工品関連の会社の営業が厳しくなりました。そうなると、農家さんにとってはそこが作物の納め先になるわけですから、当然打撃を受けます。
そして最近では異常気象という問題があります。雨が降らなかったり高温だったりして不作になることが多くあり、農業は本当に大変です。
野菜種子の育種及び高品質種子生産のための研究農場。
―種や苗を販売するだけでなく、農家に育て方指導もしていらっしゃいますね。
古川 1947年(昭和22年)の創業以来、種苗の提供を主な事業とし、「新品種の開発」と「種子の安定供給」に重点を置いていますが、農家の方に対面販売をして、技術指導も行っています。新しい栽培方法や資材のご提案をして、種苗と農薬、資材をセットで販売することもしています。時には、他メーカーさんとわからないことは教えあうなどして連携し、きちんと育て方を農家さんへフィードバックします。
ですから、農家の方との結びつき、信用を一番大切にしています。これはずっと代々大切にしていますし、これからも大切にしていきたいと思います。信用は失うのはすぐですが、得るには長い時間がかかりますから。
農業用ハウスの販売やメンテナンスや肥料、農薬など、一貫して農家のサポートに努めている。
―御社の主力商品は、キャベツとお聞きしました。
古川 山陽種苗は、キャベツで大きくなった会社です。「早生秋宝甘藍」、「夏早生甘藍」といった品種が大変人気があり、できた頃には、名古屋や四国といった遠方へも配達するなど、大変よく売れました。これからは「凛甘藍」「みかしほ甘藍」の販売に力を入れていかなければならないと考えています。
「凛甘藍」は、シャキシャキ感抜群の甘玉キャベツ。
「サラダなどの生食で食べてみて下さい。味の違いが分かると思います」。
―そういった種というのは、御社の独自開発でできたものですか?
古川 F1交配種といいまして、簡単にできるものではありません。いい遺伝子を持ったものを何度も掛け合わせ、10年ほどかけてようやくできるものです。新入社員が入社して、退社するまでに1ついいものが作れるかどうか、というくらい根気のいる研究です。
―特に春菊には特殊な技術が使われているとか?
古川 「アパッチSコート春菊」といいます。発芽のしにくい種子の果皮を取り除き、中身を取り出した種子のことをネーキッド種子というのですが、それを薄くペレットコート加工しています。春菊の場合は発芽率が高くなり、一斉発芽して良く揃います。
1996年に栽培用剥離種子の製造方法を開発して特許を取得。
水耕栽培に適したネーキッド法蓮草の種子や、播種機による点播きを可能にした
アパッチコート春菊の高発芽種子など、発芽の促進、発芽率を向上させることで栽培に関する効率化を推進。
―育てやすく収穫しやすい種子を常に研究されているのですね。オンラインでも販売されていますね?
古川 農家さんだけでなく、オンラインでは一般家庭向けにも種苗を販売しています。キャベツなどもご自宅の庭でもできますから、ぜひ挑戦してほしいです。
最近開発したものとして、ジャンボピーマン、レッドチェリートマト、マルボーノ茄子なども育てやすいのでおすすめです。
オンラインショップでは、一般向けに丁寧な解説もあり、
家庭菜園に挑戦したい人にとっても見やすいページになっている。
―今後の展望について教えてください。
古川 山陽種苗のキャベツ、大根、春菊といったいい商品を、もっとたくさんの人に知っていただきたいですね。そして、おいしくて育てやすい種苗をこれからも開発して、農家さんの助けになることを続けていきたいと思っています。
―種苗について、とても勉強になりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
「凛甘藍」(小袋)
価格:¥627(税込)
店名:SANYO SEED(山陽種苗)
電話:079-223-3441(9:00〜17:00 土日・祝日、年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sanyoseed.shop-pro.jp/?pid=176200334
オンラインショップ:https://sanyoseed.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
古川紀彦(山陽種苗株式会社 代表)
東京農業大学卒業。祖父の代から続く山陽種苗に1974年に入社、1984年に社長就任。「安心でおいしい食材の充実と楽しい食卓の推進に努める」という理念のもと、「野菜種子の育種及び高品質種子の生産」「野菜種子及び野菜苗の販売」「花種子及び花苗の販売」「農業生産資材及び園芸資材の販売」「農薬の販売」「SKYTECH(農業用ドローンなど)事業」と、幅広く展開している。
<文/尾崎真佐子 MC/山口優花 画像協力/山陽種苗>