今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、木桶製法の醤油を原料に作った「河村社長の河たれ」と「河ぽん」。この木桶製法を採用している企業は、全醤油業界の中でも1%しかないそうです。この非常に希少価値のある商品は、どのように開発されたのでしょうか。
「カワムラバンド」としてバンド活動も精力的に行っている、株式会社カワムランドの代表取締役の河村和範氏に、取材陣がお話を伺いました。
昔ながらの木桶製法がポイント。バンド活動のご縁で誕生した「河村社長の河たれ」と「河ぽん」
2024/10/30
株式会社カワムランド 代表取締役の河村和範氏
―河村社長は老舗家具屋さんの社長だったそうですね。
河村 僕は明治創業の家具屋の5代目を務めていました。その家具屋は高度成長期とともに事業拡大し、婚礼家具がよく売れていましたが、時代の流れと共に婚礼家具の需要が下がった上に、プライベートブランドを持つ他社が登場したり、家具のネット販売が盛んになったりと、昔ながらの家具屋は苦境に立たされてしまいました。
家具は一つ一つが大きいので、店舗が広くないと商品を置くことができません。だから、家賃だけでも何百万円もするので経営に行き詰まってしまい、ちょうど僕が還暦を迎えた節目に思い切ってお店を閉めることにしました。本当に良い社員に恵まれていたので、それだけが心残りです。
―その頃からバンド活動をされていたのでしょうか。
河村 僕は桑田佳祐さんが好きで、1990年から「カワムラバンド」というサザンオールスターズのトリビュートバンドの活動をしています。素人のものまね番組に出演させていただくようになり、それがきっかけで結婚式などに呼ばれるようになりました。
全国的に知名度が広まったのは、2011年頃です。テレビ放送をきっかけに、出演依頼が増えていきました。3月に東日本大震災があり、僕の仲の良い社長さんも被害に遭ったのですが、身近な人が被災するなんて初めてだったので、何か力になりたいと思い、家具屋でチャリティライブを行いました。全国から約200名のお客様が集まり、その後、福島県相馬市へ復興ライブをしに行きました。これが大盛況で、今でも毎年相馬に行っています。
「カワムラバンド」としてバンド活動もしている河村社長。
―「河たれ さらっとマイルド「白」」の開発は、バンド活動での出来事がきっかけだそうですね。
河村 バンドで全国ツアーをするようになったとき、たまたま韓国人の方が経営している焼肉屋さんに行ったら、たれに漬け込んだ味付きの肉に出合ったんです。この味付けが好きで、なんとか再現したくて帰ってから味の研究をし、いろいろなものを駆使して生ダレを作ってみました。それがすごくおいしくできたので、バンドのファンの人に味見してもらったら、そこでも非常に評判がよかったのです。
ただ、商品化するには日持ちしなければいけないし、いろいろなハードルがありました。そのとき、たまたま醤油工場の方を紹介していただいたので、初めての試みでしたが、2013年にたれを開発することになったのです。
すると、家具屋でたれを販売していたことが話題を呼んだようで、テレビ局が取材にきてくれました。バンドの営業先でも売ったら、人気商品になったのです。CDだと一枚買って終わりですが、たれならおいしかったからリピーターが生まれるので、年に1回行くところでは毎年買ってくれます。このように、半分冗談みたいな商売をやりながら、今に至ります。
―たれには「白」と「黒」がありますが、どんな違いがあるのでしょうか。
河村 「白」はさらっとしていて女性に人気で、特に漬け込みにおすすめのたれです。「黒」は味噌味がベースになっているので、少し味が濃く、ごはんが進むタイプの味だと思います。男性やお子さんによく好まれているようです。
肉を漬け込むのにおすすめのさらっとした「白」と、
味噌ベースで濃いめの「黒」。
―「河ぽん ポン酢」はどのように開発されたのでしょうか。
河村 当時、家具屋でたれを売っていたので、家具屋をしめる際にたれの販売も辞めなければいけないかなと思いました。製造工場の1ロットが非常に大きく、バンド営業だけでは売り切れないと思ったからです。
ところが、たまたま山口県でライブをした際に、醤油メーカーの方がお客様として来ていて、「僕と一緒に何か作れませんか?」と声をかけてくれたので、僕が「ポン酢作ってみませんか?」と提案したのです。そのメーカーさんの名前が「桑田醤油」だったのも、運命のようなものを感じました。
―なぜポン酢を作りたいと思ったのですか?
河村 僕が住む福岡は博多水炊きが名物なので、福岡の人はポン酢が好きな人が多いから、どうせなら水炊きに合うポン酢を作りたいと思ったのです。水炊きなどの鍋料理は食べていくうちに味が薄まってしまいますが、このポン酢なら味が薄まりにくいという特徴があります。
「河ぽん ポン酢」は博多水炊きと相性抜群。
河村 また、桑田醤油さんは昔ながらの木桶製法を採用しています。杉の木桶に微生物が住んでいて、いわゆる天然醸造で作っているので、味に深みとまろやかさがあるのです。
今の醤油業界では、木桶で作っているのは全醤油メーカーの中の1%しかありません。ほとんどが機械醸造なので、木桶醸造には非常に希少価値があり、可能性を感じました。
「河たれ さらっとマイルド「白」」も、販売時は違うところに依頼していましたが、桑田醤油さんに製造をご依頼し、2022年にリニューアルという形で再出発しました。
―それぞれおすすめの食べ方を教えてください。
河村 たれは、お肉を2日くらい漬け込んでいただくのがおすすめです。ふんだんに使っていただくために、容量も大きくしているんです。肉だったら牛、豚、鳥、羊と何でも合います。あとは、ドレッシングとして使うのもおすすめです。お客様からは、アボカドサラダや冷奴に合うというお声をいただいています。
「河たれ さらっとマイルド「白」」に豚肉を漬け込んだもの。
漬け込んだ肉は焼くだけで、ご飯がすすむおかずに!
河村 ポン酢は水炊きや鍋にぴったりなので、ぜひ試していただきたいです。ほかにも、皆さんがそれぞれ楽しく使っていただければいいなと思っています。
―お客様からの反響はいかがですか?
河村 たれもポン酢も、ありがたいことにヘビーユーザーさんがいらっしゃいます。また、四国のある焼肉店に業務用として卸しているのですが、そこのオーナーさんからは「いろいろ比較した上で、おたくのが一番おいしかった」と言っていただきました。たれを扱う会社はたくさんあるので、その中からプロの方に選んでいただいたのは嬉しいです。
―最後に、今後の展望を教えてください。
河村 今後はただ販路を拡大するというよりも、弊社の商品に合った広め方をしていきたいと思っています。まずは商品を知ってもらうことが大事だと思うので、そのきっかけを考えている最中です。
今は農協さんなどの店舗に置いていただいていますが、例えば自動販売機で販売するのもおもしろそうだなと思っています。
―貴重なお話をありがとうございました!
「河村社長の河たれ さらっとマイルド「白」」(500ml)
価格:¥1,000(税込)
店名:カワムランド
電話:092-985-0819
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kawamurand.shop-pro.jp/?pid=172587400
オンラインショップ:https://kawamurand.shop-pro.jp/
「河ぽん ポン酢 醤油」(300ml)
価格:¥650(税込)
店名:カワムランド
電話:092-985-0819
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kawamurand.shop-pro.jp/?pid=144007895
オンラインショップ:https://kawamurand.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
河村和範(株式会社カワムランド 代表取締役)
1963年福岡生まれ。明治創業の老舗家具店「カワムラ家具」の5代目として17年間社長を務めるも家具小売業そのものに限界を感じ2022年、112年間続いた社業に終止符を打つ。一方、1990年に趣味で始めたサザンオールスターズのコピーバンド「KAWAMURA BAND」はテレビやYouTubeで話題を集め、現在も全国規模でのライブ展開を続けている。また2013年には自らプロデュースする「焼肉のたれ」を発表し展開中。現在は企業CMなどを手掛ける制作会社としても活動。
<文・撮影/サカモトアヤ MC/菊地美咲 画像協力/カワムランド>